(C)2018「来る」製作委員会
目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね映画『来る』の情報について書いていこうと思います。
キャラクター紹介に作品の終盤の展開に言及しない程度のネタバレ要素がありますので、ご注意ください。
良かったら最後までお付き合いください。
『来る』のあらすじ
秀樹は幼少の頃、祖父母の家を訪れた際に不思議な来訪者に出会った。
扉のガラス越しに映る灰色の人影。
何も知らない秀樹はその異形の存在の呼びかけに返答してしまった。
大人になり、会社に就職し、香奈という女性と結婚した秀樹。さらには女の子を授かった。
育児に協力的な姿勢を見せる「イクメンパパ」の秀樹、それを支える妻の香菜、幸せな家族像そのものに見えた。
しかし、そんな秀樹の下に「異形の存在」は確かに忍び寄っていた。
突然血を流し、目の前で死亡した職場の同僚。
同僚の身体に遺されていた謎の「噛み傷」
そして浮かび上がってくる「ぼぎわん」という謎の存在。
「それ」は人の心の隙間に来る!!
原作情報
映画『来る』の原作を著したのは、澤村伊智さんです。
彼は、フリーライターとして活動する中で『ぼぎわん』というタイトルで応募した同作で第22回日本ホラー小説大賞の大賞を受賞しています。
文体も読みやすく、ホラー小説のお手本のような構成になっており、またミステリー的な側面や伏線の張り方も非常に巧いので高く評価されるのも納得の作品です。
加えて、ホラー映画に民俗的な要素を絡ませることで、現代日本社会への痛烈なアイロニーとして機能している点も指摘できますね。
日本ホラー小説大賞という賞は非常に狭き門でして、第25回まで行われてその内12回は対象作品が「該当なし」と発表されたような賞になっています。
そこで大賞を獲得した作品ですので、まずその「面白さ」は保証されているようなものです。
そうなんですよ。予告編から考えると、映画『来る』はかなり原作とは違うシーンや展開が用意されているように思います。
ですので、原作を読んだ方には映画も見て欲しいですし、映画を見た後に原作を読むのもアリでしょう。
当ブログではネタバレありで『来る』の原作である『ぼぎわんが、来る』の考察記事を書いております。
スタッフ
さて、ここからは映画『来る』のスタッフ陣を紹介していきましょう。
監督・脚本:中島哲也
本作の監督を務めるのが中島哲也さんです。
彼の作品を最初に見たのは『嫌われ松子の一生』でした。
悲劇的な物語ながらコミカルな演出を多く取り入れた中谷美紀主演のミュージカル映画は非常にインパクトがあり、この映画を見た時に彼の名前が記憶に刻まれました。
そして、彼の最高傑作とも言われているのが2010年の映画『告白』ですね。
原作から映画脚本へのコンバートも抜群に巧いですし、松たか子という女優の魅力を最大限に引き出した衝撃的な映画だったように思います。
そして同じく大きな話題となったのが2014年の『渇き。』でしょう。
サブカル感とオカルト感満載の演出に加え、かなり大胆に原作と展開や設定を異なるものにする中で、中島監督の映画として確立された1本だと思います。
アニメーションを取り入れていたのも印象的でしたね。
そんな今の邦画界を牽引する存在の1人である中島監督が満を持して送り出すのが映画『来る』になるわけです。
独特の色使いや光の使い方もそうですし、オカルトチックな世界観の作り方やアニメーション的な演出など中島印が至るところに散りばめられた予告編でした。
脚本:岩井秀人
脚本を中島監督と共に担当するのが岩井秀人さんです。
元々は劇作家として活躍しており、最近は映画やアニメの脚本を担当されることも増えてきた方です。
今年は『フリクリ オルタナ』と『フリクリ プログレ』の脚本を担当し、かなり賛否両論を引き起こしました。
岩井さんはかなり苦労してこられた方なので、そういう経験がフィクションに向かう際に反映されているんだと思いますが、それが作品によって生きることもあれば、生きないこともある印象です。
ただ劇場版『フリクリ』2作品を見て思ったのは、非常に現代社会問題や今日の社会情勢を作品に取り入れるのが上手い方だなということです。
そういう点では、『来る』という作品は非常に今日の日本に痛烈なアイロニーを突きつけるという側面も持っているので、非常に彼の手腕が発揮されやすい作品だと思います。
その他のスタッフ
企画・プロデュース:川村元気
今や売れっ子プロデューサーであり、作家でもあります。
今年映画が公開された『億男』は正直あまり面白くなかったですが、プロデューサーとしての腕は本物です。
2016年に大ヒットした『君の名は』の立役者の1人とも言えます。
撮影:岡村良憲
スタージョンという事務所に所属する新進気鋭のカメラマンです。
テレビCMやMVなどで活躍してきましたが、今回はシネマトグラファーとして映画撮影に挑みます。
照明:高倉進
照明の演出が肝要な中島監督作品において、監督から全幅の信頼を寄せられている照明監督です。
『告白』や『渇き。』に引き続いて、中島監督作品の照明を担当しています。
美術:桑島十和子
『パコと魔法の絵本』来の中島監督作品スタッフで、その美術を支えています。
彼の作品の独特で奇抜な美術は彼女が生み出しているということになります。
編集:小池義幸
中島監督作品の特徴的な編集を支えているのがこの方。
高速フラッシュ挿入や、独特の間を活かした編集、唯一無二のテンポ感の創出など彼の編集なしに中島監督作品は成立しないだろうと言えるほどに重要なスタッフです。
映画『告白』にて日本アカデミー賞最優秀編集賞を獲得しています。
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キャスト(キャラクター)
さてここからはキャスト(キャラクター)についてお話していこうと思います。
岡田准一(野崎)
本作の主人公で、オカルトライターの野崎を演じるのが岡田准一さんです。
今年公開されました映画『散り椿』でも抑えた演技ながら、微細な感情表現を丁寧に表現していましたし、また見事な殺陣を披露してくれました。
岡田さんはすごくホラーが苦手だそうで、これまでもホラー映画への出演を避けていたようです。
映画comの記事ではこう書かれていました。
自身は「ホラーは苦手」と語り、怖さのあまり台本を読み進められなかったことを告白。「台本がメチャメチャ怖くて、時間がかかりましたね。完成度が高くて、怖くて進まなくて……。監督から『出てほしい』と手紙を頂いたのがよかった。中島監督じゃなかったら、ホラー苦手なので、もしかしたらやっていないかも」と苦笑いを浮かべた。
ただそういう役者本人が持っている「恐怖感」が演技に良い方向に左右することもあるんじゃないかと思っておりますので、個人的には非常に期待しております。
岡田准一さんと言えば映画に出演するたびに「ひらかたパーク」とコラボされていますが、今回もコラボポスターが発表されています。
野崎はオカルトライターとして活動していて、ひょんなきっかけで妻夫木聡演じる秀樹の身の回りで起こる不可解な事件を調査することとなります。
原作では、第3章の「部外者」にて主人公ポジションになります。
映画版では設定が改変されている可能性がありますが、原作では小松菜奈演じる比嘉真琴の恋人でもあります。
また、無精子症でかつて結婚していた女性と離婚することになった過去があります。
子供があまり好きではないが、真琴の知紗(秀樹と香奈の娘)に向き合う姿勢に絆され、彼も知紗を救うために奔走します。
田原香奈(黒木華)
当ブログ管理人が最も大好きな女優、黒木華さんが演じるのは秀樹の妻である香奈です。
黒木華さんは今年の下半期、特に立て続けに映画に出演していますし、ドラマ『獣になれない私たち』の演技でも注目されています。
2018年下半期の出演映画作品は以下の通りです。
- 『散り椿』
- 『億男』
- 『日日是好日』
- 『ビブリア古書堂の事件手帖』
- 『来る』
当ブログ管理人はちょっと大好きすぎて、この記事ではその愛を語りきれません。
良かったら黒木さんが出演している映画の中でおすすめを紹介した記事を書きましたので、そちらも読みに来てください。
さて、では香奈という役について少しお話していきますね。
香奈は妻夫木聡演じる秀樹の妻です。
娘の知紗が生まれ、パートとして働きながら子育てに勤しんでいます。
香奈は「イクメン」である自分に酔いしれ、子育てに真に携わろうとしない夫の秀樹に強い嫌悪感を感じており、表面的には幸せな家庭に見えますが、彼女自身は秀樹に「消えて欲しい」とまで思っていました。
子育てとふがいない夫に追い詰められ、娘の知紗に対してきつく当たってしまうこともありました。
それでも「ぼぎわん」と対峙しながらも、必死で娘を守り抜こうと戦います。
比嘉真琴(小松菜奈)
小松菜奈さんが演じるのは、霊媒師の比嘉真琴という女性です。
『渇き。』で中島監督作品に初出演し、大きな話題となりました。
そんな彼女が再び中島監督の映画に出演することとなったわけです。
ちなみにマーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙』にてハリウッドデビューまでしています。
彼女が今回の映画『来る』にて演じているのは霊媒師の真琴です。
霊感があり、姉ほどの凄腕ではないまでも霊媒師のような活動をしており、「ぼぎわん」に悩まされる秀樹と知り合います。
彼女はガンのために支給を全摘しており、子供が産めません。
お互いに子供を儲けられない身体であると知った上で野崎と恋人関係にあります。
野崎の紹介で秀樹の一件に関わることになりますが、「ぼぎわん」の霊感を初めて感じ取った時には震えが止まらなくなるほど、恐れおののいています。
未熟ながらも知紗を守りたいという気持ちが強く、命がけで「ぼぎわん」と対峙します。
比嘉琴子(松たか子)
真琴の姉で、霊媒師として活動する女性、琴子を演じるのが松たか子さんです。
中島監督作品である『告白』にて主演を演じ、その演技で高い評価を獲得しました。
そんな彼女が演じている琴子は霊媒師としてかなりの実力者です。
秀樹の事件に対してはアドバイスはするものの実際に現れて対処しようとはしませんでした。
第3章の『部外者』にて妹の真琴の窮地に現れ、「ぼぎわん」に立ち向かっていくこととなります。
これまでの様々なオカルト的存在達との戦いゆえに身体はボロボロになっており、傷だらけです。
しかし、その実力は「ぼぎわん」も名前を聞いただけで驚くほどです。
田原秀樹(妻夫木聡)
香奈の夫であり、知紗の父親の秀樹を演じるのが妻夫木聡さんです。
もはや言わずと知れた実力派俳優ですね。
特に高く評価されたのは、やはり映画『悪人』での演技でしょう。
この作品での演技で第34回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞や第53回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞しています。
そんな彼が今回演じる秀樹は「イクメン」を自称し、パパ友たちと関わり合いながら子育てに対する意欲を見せる現代的な父親像を体現する人物です。
幼少期に「ぼぎわん」に遭遇しており、その時に返事をしてしまったことが原因で「ぼぎわん」に狙われることとなりました。
外から見ると、子育てに意欲的な父親ですが、その実情は「子育てが好きな自分大好き人間」であり、たいしたこともしていないのに子育てに協力した気になって満足しています。
そのため妻の香奈には精神的なストレスが積もっており、家族は破綻寸前です。
しかし、そんな時に「ぼぎわん」が現れ、彼の身の回りに次々と異変を引き起こしていきます。
さらにそんな「ぼぎわん」の狙いが彼であることも発覚し、秀樹はオカルトライターの野崎や霊感の強い真琴に助けを求めることとなります。
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映画『来る』は怖いのか?(少しネタバレ注意で)
さてここからは映画『来る』が怖いのかどうかについて考えてみようと思います。
当ブログ管理人もまだ作品は未見ですが、原作の内容と予告編を照らし合わせながら予測的に書いていこうと思います。
まず、ジャンルとしては間違いなく「ホラー」に分類されることとは思います。
正統派の日本ホラー映画というと『呪怨』や『貞子』のような幽霊的な存在と、見えないところからやって来る恐怖、そして暗い映像が雰囲気を煽ってくるという構造が定型的です。
ただ『来る』(『ぼぎわんが、来る』)の「恐ろしい」シーンって基本的にあまり暗い場面であったり、夜の場面では展開されないんです。
(C)2018「来る」製作委員会
「ぼぎわん」がやって来るシーンでもめちゃくちゃ昼間の明るい室内にやって来たり、夜のシーンであっても比較的明るい演出が施してあったりと、典型的日本ホラー的な映画ではない作品だと思います。
また、作品のメインは幽霊から逃げ回ったり、登場人物が恐れおののいたりというよりも、スーパー霊媒師と「ぼぎわん」の頂上決戦だったりするんですよ(笑)
だからこそ正統派ホラー映画というよりは「ホラーエンターテインメント」という言葉が適切かな?と勝手に想像しております。
ただ予告から考えてもかなりグロテスクなシーンはあると思いますし、もちろん一定の「怖さ」はあると思われますので、苦手な方は見に行かない方が賢明かもしれません。
ただ1つ言っておくと、原作を読んだ人間の意見ですがストーリーは最高に面白いです!
見ておいて損はないと思いますよ。
おわりに
いかがだったでしょうか?
2014年の『渇き。』以来の中島監督作品ということで個人的にも非常に楽しみにしている次第です。
やっぱり唯一無二の独特な映画を撮る監督なので、原作を読んでいてプロットを知っていたとしても映画館で見たくなりますね。
またおそらく『渇き。』の傾向から考えても『来る』は原作とは異なる展開になる部分もあると思いますので、映画と併せて原作も読んでみてください。
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
映画『来る』ぜひぜひ劇場でご覧になってみてください!