みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』についてお話していこうと思います。
放送当時、話題になっていたのは知っていたんですが、ノーマークだったもので見てなかったんです。
ただ、映画版が公開されるということで先日再放送されていたのを見て、ドハマりして一気に見てしまいました。
今回はそんな『おっさんずラブ』の映画版についてお話していこうと思います。
ドラマ版の情報・感想等についても書いておきますので、映画版の鑑賞前の復習がてら読んでいただけると嬉しいです。
本記事は作品のネタバレになるような内容を含む感想・解説記事となっております。
作品を未鑑賞の方はお気をつけください。
良かったら最後までお付き合いください。
目次
『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』
作品情報
『おっさんずラブ』は元々、2016年にテレビ朝日系で『年の瀬 変愛ドラマ第3夜』として単発放送されたテレビドラマでした。
ちなみに単発放送時のメインキャストは以下のようになっています。
- 春田創一:田中圭
- 黒澤武蔵:吉田鋼太郎
- 長谷川幸也:落合モトキ
- 湊あすか:宮澤佐江
春田と部長を演じた田中圭と吉田鋼太郎は連続ドラマ版と同様です。
一方で「牧」のポジションに当たるキャラクターは長谷川幸也という名前で落合モトキが演じており、「ちず」のポジションに当たる湊あすかは宮澤佐江が演じています。
そして同作が話題になったことで、「土曜ナイトドラマ」枠で連続ドラマ化されることとなった。
一番わかりやすいところで言えば、春田たちが働いているのがアイデアグッズ販売会社から不動産会社に変更になっている点でしょうか。
他にも「ちず」のポジションに当たる湊あすかは春田の同僚でしたが、連ドラ版のちずは同僚ではなく幼馴染という関係性に変更されています。
部長も威厳があり、仕事はできるが厳格な雰囲気を漂わせ、しかも最初からバツイチだった単発ドラマ版から優しく包容力があり、まだ妻と離婚しておらず、春田との関係のために離婚しようとしているという設定に変更されています。
キャストや設定がガラッと変更されており、連ドラ化されるにあたって、物語も大幅な加筆修正が成されていますが、やはり連ドラ版は脚本と演出が素晴らしかったですね。
これについては後程詳しくお話しようと思います。
あらすじ
連続ドラマ版のラストで上海、香港転勤になった春田創一が1年ぶりに日本へ帰ってくることとなった。
しかし、春田と牧は、転勤中の「浮気事件」がきっかけで微妙な距離感になっていた。
戻ってきた彼を黒澤部長をはじめとする天空不動産第二営業所のメンバーたちが歓迎するが、そこに牧の姿はなかった。
彼は、天空不動産本社で新たに発足したプロジェクトチームである「Genius7」に選出されており、多忙な日々を過ごしていたのだ。
メンバーリーダーの狸穴迅は、プロジェクトのためにと春田たち営業所側に無理難題を押しつける。
本社に異動し、狸穴と友好的な関係を築いている牧の姿を目にして激しく動揺する春田。
新入社員のジャスティスこと山田正義が元気づける形で、徐々に距離を近づけていく。
さらに、不慮の事故で春田の記憶を失ってしまった黒澤部長は再び春田に対して好意を抱くようになる。
再び始まる複雑な恋模様の行方は・・・?
スタッフ・キャスト
- 監督:瑠東東一郎
- 脚本:徳尾浩司
- 撮影:高野学
- 映像:高梨剣
- 照明:坂本心
- 編集:神崎亜耶
- 音楽:河野伸
監督を務めるのは、単発ドラマ版から『おっさんずラブ』の演出を担当してきた瑠東東一郎さんですね。
瑠東さんは当ブログ管理人も大好きだった『オトナ高校』というドラマの演出も担当してきた方で、社会派コメディには定評がありますし、この手の複雑な行為のベクトルが入り乱れる作品にも長けてますよね。
脚本を担当したのも同じく単発ドラマ版からこの作品に関わっている徳尾浩司さんです。
ドラマ、映画、舞台など幅広い分野で脚本を担当してきた方ですが、やはりこのシリーズで一気に知名度が上がりましたね。
映画で言うと彼が脚本を担当した『探検隊の栄光』は鑑賞しましたが、これは結構好きでした。
その他スタッフもドラマから続投が多く、劇伴音楽を担当した河野伸さんもテレビシリーズに引き続き参加しています。
- 春田創一:田中圭
- 牧凌太:林遣都
- 新井ちず:内田理央
- 栗林歌麻呂:金子大地
- 瀬川舞香:伊藤修子
- 荒井鉄平:児嶋一哉
- 狸穴迅:沢村一樹
- 山田正義:志尊淳
- 武川政宗:眞島秀和
- 西園寺蝶子:大塚寧々
- 黒澤武蔵:吉田鋼太郎
- 速水薫子:ゆいP
先ほどもご紹介したテレビシリーズの面々はそのままに沢村一樹さんや志尊淳さんなど豪華な新キャストが発表されています。
志尊淳さんは中性的な顔立ちで、可愛いらしい印象を与えるということで、後輩役としてもハマってましたね。
逆に沢村一樹さんは大人の色気を漂わせる上司の雰囲気をまとっているので、春田を嫉妬させる立ち位置としては完璧でした。
あとは、ゆいPは意外となところで登場するので、めちゃくちゃ笑いました(笑)
より詳しい情報を知りたいという方は、映画公式サイトへどうぞ!!
『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』感想・解説(ネタバレあり)
このシリーズの何に感動したか?
(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会
『おっさんずラブ』シリーズを見ていて、私が特に素晴らしいと感じていたのは「あくまでも王道のラブコメを貫いている」という点でした。
普通、このようなホモセクシャル、ゲイの人たちの恋愛を扱った作品を作るとなれば、もっと社会派でメッセージ性のある作品を志向するように思います。
また、作品の世界観としてホモセクシャル、ゲイの人たちを際立たせるためにも、社会や周囲の人たちからの冷ややかな視線や差別的な扱いというものがあるともう少しリアルな作りになると思われます。
確かに『おっさんずラブ』も単発ドラマ版では、そういった典型的な周囲からの反応というものを描いていました。
黒澤部長と春田のパーティーでのイチャイチャが社内に噂として伝わってしまい、春田がゲイとして認定されてしまい、周りの社員から距離を取られるようになるのです。
こういった描写を見てみても、やはり性的マイノリティの物語はマジョリティ側の視線や反応をきちんと反映させることで、リアルさと切実さが増すんだと思います。
基本的に主人公の春田が男性同士の恋愛に対して一抹の嫌悪感を抱いているものの、彼の周囲にいるキャラクターたちは基本的にそれを差別したり、嘲笑したりすることはありません。
幼馴染のちずだって春田が黒澤部長に告白されたという話を聞いても、それほど「男性同士」という点に反応している様子もなく、春田が不誠実な対応をすると、本気で叱っていました。
瀬川さんを初めとした職場の同僚たちもそれほど春田と黒澤部長、そして牧の関係性に対して疑問や嫌悪感を抱いている素振りもなく、当たり前のことのように受け入れています。
そして『おっさんずラブ』という作品は、男性同士の恋愛を描いているだけではなく、熟年夫婦の離婚、男女の歳の差カップル、幼馴染同士の恋愛であったりと様々な恋愛模様を同時進行的に描いています。
つまり、男性同士の恋愛というものを特異なものとして描こうとしているのではなく、数ある恋愛のカタチの中の1つなんだという視点で描いているのが『おっさんずラブ』という作品の凄みなんだと思います。
これについてはスタッフも明言している通りで「王道のラブコメ」をきちんと貫いています。
これもまたこのドラマの巧さなんですが、本作のラブコメ要素って男性同士の恋愛だから成立する「面白さ」や「胸キュン」にはしてないんですよ。
男女の恋愛模様として描いたとしてもラブコメとして成立しそうな設定や展開になっていますし、そういう「あざとさ」で笑いを取ってやろうとか女性ファンの「胸キュン」を誘ってやろうという魂胆では作ってないように思います。
そこがこの作品の「ラブコメ」というジャンルへの誠実さです。
このように、『おっさんずラブ』シリーズは「男性同士の恋愛」を特異なものとして描こうという方向性では作られていないんですが、それでいて時折鋭い「社会からの視点」をインサートしてくるのが素晴らしいんですね。
とりわけそういった「男女恋愛をマジョリティとする社会」からの視線の影響を受けているのは、本作においては牧です。
例えば、ちずという幼馴染の女性の影がちらついたり、春田の母親が「孫の顔が見たい」と言っていたりといった何気ないところで牧が自分が男性であるという事実を突きつけられ、苦悩する姿が描かれます。
こういった牧の苦悩が『おっさんずラブ』という作品の中ですごく際立つのは、観客を「あらゆる恋愛のカタチが当たり前のように受け入れられる優しい世界」に巻き込むことに成功しているからです。
だからこそ牧が「男性であるが故」の障害に直面した際に、我々もふと冷静になって、現実の壁を痛感させられます。
『おっさんずラブ』という作品に対して私が感じた素晴らしさをまとめると次の通りです。
- あくまでも王道のラブコメであり、男性同士の恋愛だから成立する描写や設定にしていない。
- あらゆる恋愛のかたちが当たり前の世界観を実現しつつ、時折牧に「男性であるが故」の試練を強いている。
映画版のラストが地味に個人的には驚きでした。
志尊淳が演じる正義と沢村一樹が演じる狸穴は当然ゲイなんだと思っていましたからね・・・。
ここも『おっさんずラブ』の巧さが光っていたポイントだと思っていて、この作品を見ていると、私たちは「男性同士の恋愛」に対する抵抗が全くなくなりますし、むしろ当たり前のように思えてきます。
それ故に、映画版のラストで正義が女性と結婚したり、狸穴がすでに結婚していて5人子供がいるという「当たり前」のことに驚かされてしまうんでしょうね。
本作のLGBTへの向き合い方は、1歩先を見据えた作りになっていると思います。
仕事と私どっちが大事なのよ!
さて、ここからは映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』に話を移していきましょう。
この映画版は「仕事と私どっちが大事なのよ!」という男女の恋愛でもしばしば顕在化する問題を扱っていますし、恋よりも深い関係を2人が目指していく上で向き合う必要がある課題を描いています。
『おっさんずラブ』シリーズが素晴らしいのって、ラブコメでありながら、お仕事ドラマの側面も持っていることではないでしょうか。
単発ドラマ版では、春田たちの会社はアイディアグッズ会社ということになっており、作中でそれほどラブコメに影響を及ぼすことはありません。
そこを連続ドラマシリーズ化するにあたって、不動産会社へと設定を変更し、その設定をしっかりとラブコメにも還元できる脚本に仕上げたスタッフ陣の手腕は称賛に値しますよね。
お忍びで恋愛をしている芸能人カップルの不動産探しや、新婚夫婦の家探しといったお仕事エピソードが春田と牧の関係にも密接に絡んでくるので、物語として非常にノイズが少ないです。
そして、映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』では仕事(夢)と恋愛の間で揺れ動く春田と牧にスポットを当て、そこに天空不動産の物語をリンクさせました。
今作は、巨大リゾート施設の開発のために春田たち営業所の人間が該当の土地の権利所得に奔走させられるという内容になっています。
この物語の構造が天空不動産の掲げる「夢」がそこに暮らしている人たちのささやかな暮らしと幸せを奪おうとしているというものになっていることは明確です。
だからこそそれが、自分の夢を優先して生活や恋愛を犠牲にするのか、それとも夢よりも生活や恋愛なのかという春田の苦悩・葛藤に繋がっているわけですね。
まさに「王道のすれ違い恋愛譚」というテイストの物語なのですが、やはり先ほども指摘したように「男性同士の恋愛」だから成立するような内容にはしていません。
その中で春田は、自分の「夢」を模索し、同時に恋人である牧との関係性について考えるようになります。
天空不動産の掲げるリゾート施設という「夢」を住民たちに押しつけてしまうことで、彼らから笑顔を奪っていることに気がついた彼は、それを覆さんと行動を起こしました。
そして自分が牧に対して嫉妬し、自分の思いや理想を押しつけようとしていたことにも気がつきました。それは牧も同様だったのではないでしょうか。
押しつけ合うのではなく、相手のことをしっかりと理解しようとし、相手が思い描く「未来」や「夢」を尊重し合える関係性こそが重要なのだということに2人は気がついたわけです。
ラストシーンでお互いの「夢」へと向かって歩き出す2人が映し出されます。
このシーンが個人的に大好きなのは、2人が「振り返らず」去っていくからなんですよね。
春田と牧がお互いの「夢」を尊重し合い、心から応援しているからこそ、あの場面で「振り返る」必要はもうありません。
2人がテレビシリーズのラスト以上に深いところで繋がっているということを視覚的に明示したとも言えますね。
やはり『おっさんずラブ』は脚本と演出が抜群に巧いと思います。
喪失感と幸福の物語
今回の映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』は、主題として「喪失感」というキーワードを据えていたように思います。
新キャラクターの正義は、交通事故で自分以外の家族を失っていて、それが原因で幸せになることに対して恐怖と不安を抱いています。
黒澤部長と離婚した蝶子さんもそうですよね。彼女は栗林との結婚を頑なに拒否していますが、それは自分が彼に飽きられ、捨てられてしまうことへの恐怖感が故です。
そんなキャラクターたちの葛藤に対して本作は「爆発」というこれまた衝撃の展開を用意しています(笑)
まあ舞台装置としては大げさすぎはするんですが、きちんとタイトルにもある「LOVE OR DEAD」に繋がる重要なシーンになっていたと思います。
どんな人間だっていつかは死んでしまうし、それは今日かもしれないし明日かもしれません。私たちは、いつこの身を焼き尽くされるかわからない死の炎の中で懸命に生きているのです。
それでも、いつか終わると分かっていても、今だけはあなたと一緒にいたい、抱きしめ合っていたい、そう思えるのが恋であり、愛なのではないかということがしっかりと作品のメッセージとして打ち出されていました。
倉庫に火が燃え広がっていく中で、最後まで一緒にいたいと強く願いながら抱きしめ合う春田と牧の姿に思わず涙がこぼれました。
そして映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』では、喪失感を抱えたキャラクターたちのその後が描かれます。
正義は、家族を失う恐怖に怯えていましたが、薫子との結婚を選択し、幸せになることを選びました。
蝶子は栗林からのプロポーズを受け入れ、離婚の恐怖を乗り越えることができました。
上司の武川も自分が好きになった人はいつも他の人を好きなってしまうという不安に駆られていましたが、ついに好意を寄せる部長に対してアクションを起こします。
私たちは誰だって、喪失感を抱えることを恐れています。ずっと1人であれば、孤独を知ることもありません。
しかし、一たび誰かと共に過ごす幸福感を知ってしまえば、元に戻ることはできません。誰かと共に過ごす幸せを知っているからこそ孤独なのです。
いつか深い喪失感を背負うことになるとしても、それでも一緒にいたいと強く願ってしまうのが本気の愛なのだと映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』は我々に強く訴えかけます。
春田と牧の恋人関係は一度は破綻してしまいました。
それでも2人はその喪失感を乗り越えて、より強い関係性で結ばれました。
壊れたって、失ったって何度だってまた始められるんだという優しいメッセージを感じますね。
この映画が作られたことそのものが尊み
(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会
『おっさんずラブ』好きな人と一緒に見に行って、その方に「映画としてはちょっと評価高くないかも・・・。」とぽろっとこぼしてしまったんですよ。
すると、「この映画は作られたことそのものが尊いんだよ!」と言い返されてしまいました。
詳しく聞いてみると、次のような内容でした。
やはりこの手の「ボーイズラブ」を扱ったコンテンツって深夜アニメのイメージが強いですし、どちらかと言うと同人や公式の二次創作などで盛り上がってひっそりと楽しまれていた世界なんだそうです。
だからこそ『おっさんずラブ』という「ボーイズラブ」を扱った作品が、今が旬のキャストを起用して、大々的にドラマ化が決まった時に、すごく嬉しかったと語っていました。
そして、自分たちがこれまで日陰でひっそりと愛してきたジャンルが多くの人に認知され、高評価され、話題になったことそのものに感動し、「ボーイズラブ」というジャンルに対する抵抗や壁を壊してくれたことにもすごく感謝しているそうです。
だからこそそんな作品が単発ドラマから始まって、ついには劇場版まで辿り着いたことがそもそも感慨深いのだと熱弁してくれました。
また、今作がテレビドラマシリーズに比べると、ちょっと「狙った」演出が多いのではないかという点についても聞いてみました。
これについては、公式が「同人界隈のノリ」を本気で、全国300スクリーン規模でやってくれることに対して感謝していると語っていました。
この話を聞いていて、ふと自分自身に置き換えるとこれは『けいおん!』になるんじゃないかな?と思いました。
深夜アニメなんてものがまだまだ市民権を獲得できていない時代に放送されていたアニメで、自分は本当に周りに隠して隠してひっそりと応援していました。
それが放送を経て、一気に人気になり、社会現象になり、そしてテレビシリーズ第2期、劇場版ととんとん拍子でコンテンツが展開されていきました。
ただそれだけ話題になったということで、劇場版は普段アニメを見ない人も多く足を運んでいた印象でしたし、『けいおん!』は深夜アニメが市民権を獲得するために大きな貢献をした作品だと思います。
もちろん映画の内容はテレビシリーズ最終回の裏話的なこともあり、初見さんを置いてけぼりにするような側面はあったんですが、それでもファンとしては「ここまで応援してきてよかった!」という感動にただただ涙が止まりませんでした。
今回の映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』ってまさにそういう映画だったんじゃないかな?と思うんです。
映画版はテレビシリーズでは絶妙なバランスで回避していた「コテコテなBLノリ」を全面的にぶち込んできていたんですが、これを全国大規模上映の作品でできるようになったということこそが『おっさんずラブ』という作品の意義でもあるはずです。
だからこそ、これまでこのシリーズを応援してきた人にとっては感慨深い内容になっていると思いますし、私のように付け焼刃で臨んでもその熱量は感じられないのは当然だと思います。
でも、『けいおん!』という作品で似たような経験をした私は、そんな映画もあって良いと胸を張って言えます。
映画は作り手がきちんと明確な意図をもって、自分たちが描きたいものを追求しなければなりません。
しかし、たまには作り手が観客に寄り添う映画があっても良いと私は思っています。
「見せたいもの」を見せるのではなく、「見たいであろうもの」を見せる。これは確かに映画としては「タブー」でしょう。
それでも、熱心なファンに支えられて話題が沸騰したシリーズの1つのフィナーレだからこそ、私はその「タブー」が許されて良いと思いました。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は映画『おっさんずラブ LOVE OR DEAD』についてお話してきました。
ドラマ版を見ている人にはニヤッとできるシーンもたくさんあって良かったですよね!
部長の描写に関しては、記憶喪失をしたということもあり、ある種ドラマ版のリフレインのような感じだったので、ドラマ版を見ているとより楽しめたのではないかと思います。
また、シリーズが持っている良さもきちんと継承されていて、「映画といえば爆破」というある種のお決まりを敢えてベタベタに持ち込んだうえで、本作のテーマに還元していくスタイルも見事だと感じました。
(C)2019「劇場版おっさんずラブ」製作委員会
ドラマの映画版って個人的にはあまり良い印象がないんですが今年の『コンフィデンスマンJP』と『おっさんずラブ』はかなり気合が入った作りで、映画としても非常に楽しめました。
今回も読んでくださった方、ありがとうございました。