みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですねドラマシリーズ『マンダロリアン』についてお話していこうと思います。
『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』が失望を感じざるを得ない作品だったこともあり、ディズニーに対する不信感が高まっていますが、こちらのスピンオフドラマは本国でも好評ということで期待しておりました。
というのもディズニーの作る『スターウォーズ』スピンオフは面白いんですよ。
『ハンソロ』は個人的に大好きですし、『ローグワン』は古き良きスターウォーズらしさを保ちつつも革新性を担保した素晴らしい作品でした。
そして今回の『マンダロリアン』は『ジェダイの帰還』から5年後の世界を描くということで、時系列的には続3部作と旧3部作の架け橋にもなり得る作品です。
帝国が崩壊し、新共和国が再建された世界で、惑星マンダロアの戦士である「マンダロリアン」の戦いが描かれるということで、要注目ですね!
本記事は作品のネタバレになるような内容を含む感想・解説記事となります。
作品を未鑑賞の方はお気をつけください。
良かったら最後までお付き合いください。
目次
『マンダロリアン』
あらすじ
舞台となるのは、『ジェダイの帰還』から5年後の世界である。
帝国が崩壊し、新共和国が樹立した世界の片隅で、マンダロリアンは賞金稼ぎとして生きている。
ある時、マンダロリアンはグリーフ・カルガから大きな仕事を引き受ける。
その依頼人は大金を引き渡す代わりに、極秘の要人捕獲ミッションを彼に依頼する。
生きたまま要人を引き渡す必要があることや、ミッションの極秘性に困惑する彼だったが、その報酬額の多さに惹かれ、仕事を引き受ける。
彼が渡されたのは追跡装置と「獲物」が50歳という情報のみ。
荒野が広がる惑星へと急行し、ミッションを開始したマンダロリアンは、そこでアグノートという男に出会う。
アグノートは見返りを得る代わりに、彼が「獲物」を狩るための手伝いをすることを申し出るのだった・・・。
スタッフ・キャスト
- 製作総指揮 :ジョン・ファヴロー&キャスリーン・ケネディ
- 脚本:ジョン・ファヴロー
- 監督:リック・ファミュイワ&ブライス・ダラス・ハワード&タイカ・ワイティティ
『アイアンマン』シリーズの監督を務め、自ら出演し、2019年には超実写版『ライオンキング』の監督を務めたジョン・ファヴローが今作の製作総指揮・脚本を務めます。
一方で、各話の監督を務めるのは、個性豊かなメンバーで、しかも毎話監督が変わるというある種のリレー形式となっています。
監督のメンバーを見て見ると、『DOPE』のリック・ファミュイワ監督、『ジュラシックワールド』シリーズにクレア役で出演しているリック・ファミュイワや、『マイティ・ソー バトルロイヤル』の監督を務めたタイカ・ワイティティらが目につきます。
このように非常に豪華な顔ぶれで製作されるシリーズということもあり、非常に期待しております。
- マンダロリアン:ペドロ・パスカル
- キャラ・デューン:ジーナ・カラーノ
- アグノート:ニック・ノルティ
- モフ・ギデオン:ジャンカルロ・エスポジート
- グリーフ・カルガ:カール・ウェザース
- ドクター・パーシング:オミッド・アブタヒ
- クライアント:ヴェルナー・ヘルツォーク
主人公のマンダロリアンを演じたのはペドロ・パスカルですね。
彼は『キングスマン ゴールデンサークル』や『イコライザー2』などに出演しており、近年注目度を高めています。
またアグノート役には『サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方』でゴールデングローブ賞を制した経験も持つニック・ノルティが起用されています。
グリーフ・カルガ役には、『ロッキー』シリーズでアポロ・クリードを演じたカール・ウェザースが起用されました。
一方で、ドイツのニュージャーマンシネマの旗手でもあるヴェルナー・ヘルツォークが出演するなど、少し興味深い一面もありますね。
より詳しい情報を知りたいという方は、公式サイトへどうぞ!
『マンダロリアン』感想・解説(ネタバレあり)
世界観の解説
(『クローンウォーズ』より引用)
今作『マンダロリアン』の世界においてはエンドアの戦いによって帝国が没落したという状況にあります。
そしてまさしく第1話で触れられていましたが、マンダロリアンたちは自分たちの民族の独立を取り戻すチャンスにもあるわけです。
マンダロリアン民族はかつて戦闘が絶えない民族だったとされていて、内戦やジェダイたちとの紛争を幾度となく繰り広げ、繁栄と荒廃を繰り返してきました。
そんな中で現れたのが、サティーン・クライズという女性の指導者で、彼女はマンダロリアンから好戦的な民族を排除し、平和と秩序を取り戻そうとしました。
この時、彼女はクワイ=ガン・ジンやオビ=ワン・ケノービといったジェダイたちの助けを借りました。
ここから『クローンウォーズ』等でも描かれたクローン大戦の物語へと移行していきます。
かつてマンダロリアンの一族において有力者であったウィズラ一族のプレ・ウィズラという男はサティーン・クライズへの忠誠を誓うふりをし、その一方でクーデターを起こす準備を進めていました。
とりわけジェダイと組んだ彼女に対抗するために、彼が手を結んだのがフォースの暗黒面つまりシス卿たちですよね。
彼はドゥークー伯爵らと手を組み、そして「デス・ウォッチ」と呼ばれている軍勢を率いていました。
彼の狙いは共和国がマンダロアが敵対することであり、元老院にマンダロアへの派兵決議を促し、それが可決されたタイミングで、自分がマンダロリアンを救う英雄であると名前を上げるつもりであった。
しかし、元老院は決議に踏み切らず、プレ・ウィズラの計画は失敗に終わってしまいます。
そして、さらなる力のよりどころを求めた彼が手を組んだのは、かつてクワイ=ガン・ジンに敗れたダース・モールでした。
映画『ハンソロ』をご覧になった方はご存知と思いますが、ダース・モールはシャドウ・コレクティヴという自身の統括する犯罪者組織を作っています。
ダース・モールはオビ=ワン・ケノービを倒すことが悲願でありますから、ある意味ではプレ・ウィズラと利害が一致していたというわけです。
シャドウ・コレクティヴが惑星マンダロアを攻撃し、そしてプレ・ウィズラがその攻撃から惑星を守るという手続きを踏み、彼はマンダロリアンの長に就くこととなりました。
その後、ダース・モールがプレ・ウィズラを打倒したことにより「デス・ウォッチ」と呼ばれていた軍勢はダース・モール傘下に入ります。
ただ、ご存知の通りダース・モールはダース・シディアスに戦いを挑んで敗北してしまいますから、この出来事がきっかけでマンダロリアンたちは帝国の支配下に入ることとなります。
そして帝国の支配下に入ったが故に、マンダロリアンたちは帝国の崩壊に大きな影響を受けています。
自分たちの民族がこれからどんな方向へ進んでいくのか・・・。
今回のドラマシリーズ『マンダロリアン』はまさしくそんな転換期にある民族たちの物語とも言えるでしょう。
Chapter 1
小ネタ解説
まず、そもそも冒頭にならず者たちが集まる酒場が登場するというシチュエーションそのものが『スターウォーズ 新たなる希望』を想起させることは言うまでもないでしょう。
また、冒頭にマンダロリアンが賞金首を逮捕するシーンで、『スターウォーズ 帝国の逆襲』でも印象的に登場したあの氷漬けの装置が登場しましたよね
また、冒頭で捕まっていた賞金首がマンダロリアンの宇宙船から逃亡しようとするシーンで、「life day」というキーワードが登場します。
これは1978年の『The Star Wars Holiday Special』に登場したキーワードで、『スターウォーズ』の世界におけるクリスマスのような祭日とされています。
とりわけ『The Star Wars Holiday Special』はウーキーたちのパートがひたすらに続く特別編であり、あまり意味は分からないのですが、キャリーフィッシャーの歌声が聞ける貴重な映像でもあります。
『The Star Wars Holiday Special』の小ネタは実はこれだけではありません。
というのも、実はこの作品のアニメーションパートにボバ・フェットが登場していて、そこで登場したブラスターから、今回のマンダロリアンが持っている武器のデザインが生み出されました。
(『The Star Wars Holiday Special』より引用)
また『スターウォーズ 帝国の逆襲』などに出演していた賞金稼ぎドロイドであるIG-88を想起させるIG-11が登場し、マンダロリアンと共闘するシーンがあったのも良かったですね。
ディズニー『スターウォーズ』シリーズは、特にスピンオフで顕著ですが、コアなシリーズのファンへの目くばせを欠かさない印象があります。
この手のファンサービスには、どうしても保守的な臭いがつきまとうので、個人的には好きになれない部分もあったりはするのですが、それでもここまで細かいところまで『スターウォーズ』を知り尽くした人間が手がけたんだという意志表示をすることが大切なのかもしれません。
ライアン・ジョンソンは『スターウォーズ 最後のジェダイ』にて、大胆な過去シリーズからの脱却を図り、ファンから総攻撃にあってしまいました。
高橋ヨシキ氏が著書『スターウォーズ ダークサイド禁断の果実』の中で興味深い指摘をしていました。
「ファンボーイ」を標榜するのは、自分こそが聖典の奥義に通じており、だからこそ「聖なるもの」としての『スターウォーズ』世界に直接触れる聖職者の役にふさわしいと証明するためだ。
(高橋ヨシキ『スターウォーズ ダークサイド禁断の果実』より)
ディズニー『スターウォーズ』はこの傾向があまりにも露骨であり、それが故にファンサービスに徹してしまい、続3部作は物語の行き場を失いました。
ただ『ローグワン』のようにファンサービス増し増しの作品だったとしても、1本で完結する内容であれば、それほど物語的に齟齬をきたすこともないので、面白いというのもあるでしょうね。
今回の『マンダロリアン』もおそらくはファンサービスだらけのドラマシリーズになるのだと思いますが、そこにこだわりすぎるがあまり、物語の面白さや革新性を犠牲にすることがないように祈るばかりです。
西部劇らしさが漂う『スターウォーズ』の原点
『スターウォーズ』シリーズはそもそも「西部劇」というジャンルに強い影響を受けています。
プリクエルトリロジーに突入し、続3部作になる頃には、その色はかなり薄れてきてはいましたが、『ハンソロ』や今回の『マンダロリアン』はそれを強く思い出させてくれるような内容でした。
『ハンソロ』では、ヒロインとの関係性や定番の電車戦に「西部劇」らしさが見られましたが、『マンダロリアン』では冒頭からいきなり「西部劇」調の展開が映し出されます。
バーで静かにたたずむマンダロリアンと店に迷惑をかける男。
一触即発に至る手前の緊迫感を見事に演出し、トリガーが惹かれた瞬間に一気に銃撃戦へとなだれ込んでいきます。
ジャンゴ・フェットやボバ・フェットも用いていましたが、ワイヤー状の武器を用いるところも何とも西部劇を想起させますよね。
また、今作『マンダロリアン』の魅力的な点として挙げたいのは、ジェダイとダークサイドの二元論的世界観を貫いてきた『スターウォーズ』の世界において、どちらにも属さない一匹狼の戦いを描くという点です。
彼は、善人でもなく、それでいて悪人でもありません。
ただ自分のために戦い、賞金を稼ぐだけであり、誰の味方をするでもありませんよね。
かつて『スターウォーズ』においてはダース・シディアスという「絶対悪」が君臨していたわけですが、どんどんとこういった存在は時代にそぐわないものになっているように感じます。
善と悪は常に重なっているのであり、ディズニー『スターウォーズ』はそんな新時代のヴィランとしてカイロレンというアイコンを1つ打ち出しました。
ダース・ベイダーとはまた一味違った、弱く迷いが強く感じられるシス卿は、私たちが近年感じるようになった「善と悪の境界線の消失」を強く投影しているようでもあります。
そして、今作の主人公であるマンダロリアンも「善と悪のどちらも属し得ない」特異点的なキャラクターとして描かれます。
ある視点で見ればヴィラン的であり、一方でヒーローのように見える可能性もある今作の主人公。
「西部劇」というジャンルはかつて「単純な勧善懲悪」の象徴の様でしたが、クリントイーストウッド監督の『許されざる者』といった作品を1つの潮目として、その内容が大きく変遷してきました。
そういう意味では、今回の『マンダロリアン』は『スターウォーズ』の持ち味の1つでもある「西部劇らしさ」を取り戻しつつも、二元論的世界観に縛られないシリーズの新たな側面を見せてくれるのではないかと思っています。
ドロイドIG-11と共闘しながらも、意見が割れると、あっさりと銃殺してしまう非情さにも痺れました。
Chapter 1はまだまだ導入という段階ですが、これからが非常に楽しみになりました!
「ベビーヨーダ」登場!?
第1話終了時点では、やはりラストに登場した通称「ベビーヨーダ」が気になりますよね!
Original concept art. #TheMandalorian pic.twitter.com/4VWm6WUzFl
— Jon Favreau (@Jon_Favreau) 2019年11月19日
この「ベビーヨーダ」にはフォースの力が宿っているのか?
「50歳」と言われていたが、『ジェダイの帰還』で息を引き取ったヨーダとの関係性は?
などなど様々な疑問が浮かびますが、その辺りの謎も今後明らかになっていくと思いますので、非常に楽しみです。
ただ、『スターウォーズ』がそもそもジョージ・ルーカスがサムライの文化に強く惹かれて製作したことを鑑みると、今回の『マンダロリアン』もそのエッセンスを感じさせてくれますよね。
というのもマンダロリアンが今後この「ベビーヨーダ」と共に旅をしていき、その謎を解く展開になっていくというのであれば、実に「子連れ狼」的な内容になりますよね。
ただ、アメリカ本国では、この「ベビーヨーダ」に対して賛否両論なんだとか・・・。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回はドラマシリーズの『マンダロリアン』についてお話してきました。
北米では既にChapter 7付近まで公開されているようで、最終話の公開も近いとのことです。
ちなみにですが『マンダロリアン』は、日本ではディズニーデラックスにて配信中です!
Chapter 1が12月26日公開で、以降は毎金曜日に1話ずつ公開されていくようですので、まずは31日間の無料体験期間に登録して見てください。
今回も読んでくださった方、ありがとうございました。