みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね映画『ソニック ザ ムービー』についてお話していこうと思います。
予告編等が公開されると、あまりにもオリジナルのソニックとデザインがかけ離れているということで、ファンから批判が集中する事態となりました。
(C)2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
ただ、今回の実写映画版は、あくまでもソニックがリアルワールドにやって来てという物語でしたので、その点で少しリアル路線に寄せようとしたのではないかと感じています。
それにしても、このデザインの違和感は尋常ではないですが、そういった多くの批判の声を受けて、制作側はCGを全てやり直すという方向で動きました。
その結果、オリジナルデザインに限りなく近い右側のルックへと変更されたわけですね。
この時点で、予算的にも相当かかっていたと思いますし、それだけに回収できるのかが不安ではありましたが、北米ではスマッシュヒットを記録し、既に制作費を回収したことは明白で、続編も期待されています。
公開時期を大幅にずらして、CGを徹底的にやり直したプロセスがしっかりと興行成績にも繋がったようで個人的にも嬉しいです。
肝心の内容についてですが、それほど驚きがある内容ではないですが、ゲームファンへの目くばせも忍ばせつつ、堅実に作り上げてきた印象です。
そのため、かなり細かい小ネタが散りばめられていて、当ブログ管理人も全ては把握できませんでしたが、少し懐かしい気持ちになりました。
今回は、そんな『ソニック ザ ムービー』について感じたことや気がついたことをお話していければと思います。
本記事は作品のネタバレになるような内容を含む感想・解説記事です。
作品を未鑑賞の方はお気をつけください。
良かったら最後までお付き合いください。
目次
映画『ソニック ザ ムービー』
あらすじ
ソニックはグリーンヒルサイドで毎日のように走り回って暮らしていたが、特別な力を持っていたが故に、ナックルズ族に狙われる。
彼は育ての親に、ワープ機能のあるリングを託され、その場から何とか逃げることに成功し、自分の能力を狙う刺客から隠れて生きることとなる。
それから1年が経過して、地球のグリーンヒルでは、保安官のトムが退屈そうにパトロールをしていた。その地域では、「青い悪魔」と呼ばれる生き物が生息しているという噂が立っている。
「青い悪魔」と呼ばれる生き物こそがソニックなのだが、彼は人間から隠れるようにひっそりと暮らしており、そんな日々に強い孤独感を感じていた。
強い孤独感を紛らわせようと、1人で野球をしていた時に、思わず自分の力を暴走させてしまい、彼は地域一帯を停電させる事態を引き起こしてしまう。
そんな怪奇現象の調査に乗り出したのが、マッドサイエンティストのドクター・ロボトニックだった。
彼は、ソニックの力を手に入れることで、新たな兵器やエネルギーの開発をしようと企んでおり、科学技術を駆使して捜索活動を開始した。
追われる身となったソニックは、リングを使って地球から逃げようと試みるが、保安官のトムに麻酔銃を撃ち込まれ、意識を失ってしまう。
その際に、リングでサンフランシスコに繋がるゲートを開いてしまった彼は、持っていたリングの入った袋をサンフランシスコにあるビルの屋上に落としてしまった。
こうしてソニックは、トムの協力を得て、リングを奪還すべく動き始めるのだが…。
スタッフ・キャスト
- 監督:ジェフ・ファウラー
- 脚本:パトリック・ケイシー/ジョシュ・ミラー
- 撮影:スティーブン・F・ウィンドン
- 美術:ショーン・ハワース
- 編集:デブラ・ニール=フィッシャー/ステイシー・シュローダー
- 音楽:ジャンキー・XL
監督のジェフ・ファウラー、脚本を担当したパトリック・ケイシーとジョシュ・ミラーは、テレビシリーズや短編映画の経験はあるようですが、商業長編映画はほとんど初経験に近いようですね。
正直、本作『ソニック ザ ムービー』は映画として何かが特別すぐれている作品ではないとは思いますが、それでもかなり安定した出来に思えました。
撮影には、『ワイルドスピード』シリーズを手掛けるスティーブン・F・ウィンドンがクレジットされていますね。
作中でカーチェイスのシーンがあったり、その場面で『ワイルドスピード』ネタが出てきたりしていたので、注意してセリフを聞いてみてください。
編集には『ハングオーバー』シリーズのデブラ・ニール=フィッシャーらが携わっており、コメディ的演出に磨きがかかっていました。
劇伴音楽を『アリータ バトルエンジェル』なども手掛けたジャンキー・XLが作曲したのも、個人的には嬉しいです。
- ソニック:ベン・シュワルツ
- トム:ジェームズ・マースデン
- マディ:チカ・サンプター
- ドクター・ロボトニック:ジム・キャリー
主人公ソニックの声を担当したのは、『スター・ウォーズ』シリーズでBB-8の声を担当したベン・シュワルツです。
一方で、宿敵のドクター・ロボトニックを演じたのはコメディキングとも言える俳優ジム・キャリーで、もうその演技がハマりまくりでした。
周囲の部下への当たりのきつさだったり、天才科学者なのに間抜けすぎるところだったり、それでいて見せる邪悪な表情だったり、もうどれをとっても完璧でしたね。
ジム・キャリーに関しては、非の打ち所のないはまり役だったと思います。
映画『ソニック ザ ムービー』感想・解説(ネタバレあり)
飛び抜けた何かはないが堅実な作り
(C)2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
これまでにも『名探偵ピカチュウ』や『ピクセル』そして『バイオハザード』など数多くのゲームが実写化されてきました。
『バイオハザード』のような元々がリアル志向で、ある程度ストーリー性が最初から備わっている作品は、映像化しやすいとは思います。
一方で映画化が控えている『モンスターハンター』のような作品も含めて、あまりストーリーが全面に押し出されていないような作品は、かなり後づけをしていく必要がありますので、当然脚本の構成が難しくなっていきます。
『ソニック』シリーズももちろんストーリーはある程度ありますが、どちらかと言うと『スーパーマリオ』に近い、ゲーム性でありそれほどストーリーが重要視されるゲームではありません。
その点で、『名探偵ピカチュウ』はすごく世界観の作り方が巧くて、ポケモンと人間が共生している世界でかつ、ポケモンのおもちゃや人形も当たり前のように存在している世界線を舞台としました。
これの何が巧いのかと言うと、単純なポケモンと人間が共生している世界ではなく、ポケモンのおもちゃやカードが存在していることを明示していることで、私たちのリアルワールドとの地続き感を演出したんですよね。
一方で、今回お話する『ソニック ザ ムービー』は、ゲームの世界(グリーンヒルサイド)にいたソニックがリアルワールドの「グリーンヒル」に迷い込むというアプローチを取りました。
『ピクセル』もどちらかと言うと、ゲームがリアルを侵食していくという作りになっていましたね。
ゲームの住人をリアルワールドに持ち込むというのは、ある種の究極なロマンなわけで、私たちの大好きなキャラクターが自分の見知っている場所を駆け抜けていくのですから胸が熱くなります。
とりわけ、『ソニック ザ ムービー』ではソニックがサンフランシスコの市街地であったり、中国の万里の長城でドクター・ロボトニックと激しいチェイスを繰り広げる描写があり、これは誰もがゲームをしながら想像した「夢」だよな!とガッツポーズでした。
また、ソニックという超高速で移動する生物が、人間の世界で戦うにあたって、『X-MEN』シリーズのクイックシルバーの戦闘シーンのような演出を入れてきたのは、個人的に好きでした。
特にビルの屋上で、ドクター・ロボトニックのドローンに取り囲まれた時の、「catch me if i’m falling」の楽曲に乗せて、ソニックがミサイルを次々にドローンに突き刺していくシーンは、クイックシルバーのそれにそっくりではありましたが、ベタで大好きです。
物語的な面でも、映像的な面でも、正直衝撃を受けるような何かはない作品ですが、堅実に作りこまれており、ゲームファンのツボはしっかりと押さえてくれている印象を受けました。
物語はゲーム同様ないに等しいか
『ソニック』シリーズはゲームとしても、基本的には『スーパーマリオ』に近くて、それほどストーリー性が重視されるようなものではありません。
そもそもの第1作はサウスアイランドと呼ばれる場所をドクター・エッグマン(ドクター・ロボトニック)から守るという至極シンプルなプロットでした。
ですので、今回の映画版もそれを踏襲したのか、基本的には物語展開はシンプルで、何か衝撃の展開が…といったタイプの作りではありません。
ただ、そもそものオリジナル作品ではドクター・エッグマンの目的は、ソニック自身ではなくて、サウスアイランドにあるカオスエメラルドと呼ばれる物質でした。
ただ、今回の『ソニック ザ ムービー』では、舞台が現実世界へと移ったということもあり、ドクター・ロボトニックの目標がソニック自身に設定されているというのが1つキーになるポイントだと思いました。
今作の敵であるドクター・ロボトニックももちろんゲーム初のキャラクターではあるのですが、彼は『ソニック ザ ムービー』の世界観においてはリアルワールドの住人なんですよね。
そして科学者というある種の合理主義的かつ現実主義的な人物像であり、彼はソニックという存在には興味がなく、彼を解体してその秘められたエネルギーさえ手に入ればよいという考えを持っています。
その点で、彼はソニックというフィクショナルな存在を否定するものと言えるかもしれません。
一方で、保安官のトムはゲームで言うところのプレイヤーですよね。ただ彼は今作においてはソニックと共闘するパートナーでもあります。
つまり、今作の構図というのは、ソニックを否定しようとする科学者 VS ソニックを愛するプレイヤーたちという風に意図的に仕向けられているんですよ。
ですので、この戦いの決着はドクター・ロボトニックをフィクションの世界へと突き飛ばすことでつきましたよね。
その後のシーンで、ドクター・ロボトニックが私たちのよく知っているドクター・エッグマンの姿になっていましたが、これはまさしく彼がリアルの存在からフィクションない存在へとコンバートされた瞬間と言えるかもしれません。
このように、シンプルで特にひねりがあるわけではないプロットながらも、ソニックの友人である「私たち」とそれを否定する者との戦いという構図を作ることで、ゲームに慣れ親しんできた私たちが自然に闘いに参加できるような作品に仕上げたのは、非常に巧いと言えるのではないでしょうか。
ゲームからの引用や小ネタが散りばめられていて懐かしい
今回の『ソニック ザ ムービー』はゲームからの引用が、作品のいたるところに散りばめられており、ゲームをプレイしたことがある1人としては懐かしさを感じる内容でした。
まず、パラマウントのロゴの星の部分がお馴染みのリングになっていたり、作品の前にきちんと「SEGA」のロゴと「セーガー」の音が流れたりするのはテンションが上がりますよね。
キャラクター的な部分で言うなれば、冒頭にソニックに攻撃を仕掛けてきた仮面の一族が、おそらくナックルズ族であり、ゲームを遊んだことがある人であれば、ご存知であろうナックルズへの目くばせになっていることは明白です。
また、映画のポストクレジットシーンでは、続編への布石として、テイルスが登場しました。彼はソニックに憧れていて、いつも後をついて回るようなそんなキャラクターです。
(C)2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
一方で、シリーズのメインヴィランでもあるドクター・エッグマンは、初登場時は馴染みのないリアル路線の出で立ちでしたが、彼がマッシュルームヒルゾーンに飛ばされた後は、お馴染みの姿になっていたのは笑いました。
(C)2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
そして、ゲームのシステム的なところで言うと、ソニックが泳げないという設定がしれっと登場していたのは面白かったです。
基本的にゲームシリーズにおいて、ソニックは水に弱くて、泳げないという設定にされているのですが、それ故に任天堂が発売するオリンピックのゲームの時にひと悶着ありました。
そこでソニックの監修者に、「オリンピックなので、泳がせたいんだけど?」
「いや、ソニックは泳げないんだから無理です」
「でも、水泳競技のないオリンピックはありえないし!」
みたいなやりとりを何度もしまして。
結局、ソニックは同ゲームにライフジャケットを着て、犬かきのようなフォームで泳ぐという独特な登場の仕方をしたんですよ。
映画の中で、ソニックが1人でサンフランシスコを目指そうとした時に、びしょ濡れでかつ頭に魚や海藻を乗せた状態で戻ってきましたが、そこで彼は水があるから無理だという話をしていました。
これは、彼がゲームの中で泳げない設定になっていたことに対する目くばせなんですね。
また、ソニックはゲームの中でダメージを受けると、所持しているリングがその場にばらまかれるという仕様になっています。
これが、サンフランシスコのビルでの戦闘シーンで、ドクター・ロボトニックのミサイルに被弾した際の演出に盛り込まれていたのは気がつきましたか?
加えて、ソニックとドクター・ロボトニックのラストバトルは完全に、初期作のボスバトルの再現になっていました。
(C)2020 PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
マシンに乗って飛行しているドクター・エッグマンにスピンアタックでぶつかってダメージを与えていくというスタイルは、映画として見栄えがする演出が施されながらも、原初的なバトルに仕上がっており、素晴らしかったです。
また、劇中のソニックのセリフの中で、彼が「チリドッグ」を食べたというものがありましたが、これも彼の好物であり、細かいところまでネタを盛り込んできたなという印象を受けます。
地名的なところですと
- グリーンヒルサイド
- マッシュルームヒルゾーン
- ヒルトップロード(ゾーン)(ソニックが卓球に使っていた看板に文言が記載)
といったファンにはお馴染みの場所が数多く登場しており、グリーンヒルサイドについてはあのお馴染みの音楽も聴くことができるので、非常にノスタルジーを掻き立てられます。
また、ツッコミどころ満載の展開ではありましたが、ソニックのトレードマークでもあるスニーカーをマディの姪っ子がプレゼントするという展開には驚きました。
といった具合に、まだまだ細かく見ていくと、様々な小ネタがありますが、ゲームをプレイしたことがある人にとってはすごく懐かしい香りがする作品になっていると思いますよ。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は映画『ソニック ザ ムービー』についてお話してきました。
そもそもの初期作が発売された当時は、まだ私は生まれていなかったので、もちろんプレイしたことはなくて、ゲームキューブへの移植版の初めてプレイしました。
直感的な操作性とスピード感満載のアクションが非常に素晴らしく、個人的にも大好きでした。
キャラクターとしては、やはりテイルスが大好きなので、ポストクレジットで登場したときにはテンションがバク上がりでしたね。
今回も読んでくださった方、ありがとうございました。