実写映画『ぐらんぶる』ネタバレ感想・解説:拷問紛いの107分を与田祐希の可愛さで乗り切る!

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね実写映画『ぐらんぶる』についてお話していこうと思います!

ナガ
英勉監督が苦手な自分には本当にただの地獄でした…。

今思うと、何で見に行ったんだろうなと思えてきましたね。というのも自分がこの映画にハマるイメージが持てていなかったので。

予告編の時点で、結構ぶっ飛んでいて、これならば自分でも見られるんじゃないか…と思ってしまったのが運の尽きでした。

英勉監督の作品って、もう自分には根本的に合わないんだと思っていて、世間では比較的評価の高い『前田建設ファンタジー営業部』やドラマ版の『映像研には手を出すな』に関しても完全にNGでした。

個人的には、今回の実写映画『ぐらんぶる』で完全に足を洗う覚悟ができたと思っているので、その決断を後押しさせてくれたという点では、見ておいて正解だったかもしれません。

正直に申し上げて、2時間プールに沈められるレベルの拷問に近い内容で、笑えるのはせいぜい最初の5分~10分程度の話です。

予告編では、キレキレだったギャグに関しても、基本的には

  • 酒を飲んで暴れる
  • 女性キャラクターがやべえ
  • 全裸

の3パターンくらいしかなくて、それをひたすら繰り返し続けるという引き出しの少なさで、料理スキルのない1人暮らし男性の自炊飯のレパートリーくらい少ねえよ…と。

とりあえず脱がせたり、BL匂わせたり、女性キャラクターにぶっ飛んだ立ち回りをする道化を演じさせたりと、化石みたいなギャグやノリの連続でとてもついていけませんでした。

そんなつまらない+令和にまだそんな時代錯誤なことやんのやよ…なギャグの波に飲まれ、窒息しそうになる中で、唯一「酸素」を与えてくれたのが、ヒロインの与田祐希さんの可愛さでした。

正直、鑑賞前は名前も知りませんでしたし、顔も認知していませんでした。

ただ、映画本編があまりにも拷問的すぎるがあまり、溺れる自分を何とか生かそうとしてくれる彼女のキュートさにほれ込んでしまうというのは、もう洗脳か何かの手法ですよね(笑)

ナガ
以下、与田祐希さんが登場しないシーンでの自分の表情です。
ナガ
そして、彼女の登場シーンではこうなります。

とりわけ当ブログ管理人は、奥から2番目の黄色い男性のようになっていましたね。何かを拝むような、救世主の到来に感謝するような…。

ナガ
やっぱり洗脳の手法だよね…(笑)

まあ簡単に集約しておきますと、実写映画『ぐらんぶる』は窒息系の拷問に近い映画で、見ていると感情が死んでいきます。それでも与田祐希さんの可愛さにかろうじて呼吸を許され、劇場を出る頃には彼女のファンになっている、そんな作品です。

ですので、本作はある意味というか、文字通り与田祐希さんのための「カルトムービー」だと思っています。

鑑賞前には、名前も顔も知らなった人間を2時間足らずで妄信的なファンに仕立て上げてしまうわけですから、こんなヤバい映画はないと思います…。

さて、ここまでで言いたいことのメインは述べましたが、ここからはもう少し、本作のどこがヤバいのかという話を掘り下げていけたらと考えています。




実写映画『ぐらんぶる』

あらすじ

美しい海に囲まれた島にキャンパスを構える大学に入学した伊織

キラキラした大学生活を夢見て、島へとやって来た彼は、おじさんが経営している「Grand blue」という店に下宿をさせてもらうこととなった。

しかし、店に辿り着くや否や、彼は突然意識を喪失し、オリエンテーションの朝、なぜか服も記憶もない状態で大学の講堂にいた。

疑問に思いながらも、何とか下着を回収し、「Grand blue」に戻るのだが、そこで再び記憶を喪失してしまう。

そして意識が戻ると、再びキャンパスで全裸で目覚める。このループを延々と繰り返し、抜け出すことができない。

そんなある日、伊織は同じようにキャンパスに全裸で放置されていた耕平という青年と出会う。

2人で、何とかしてこのループから脱出しようと試みるが、なかなか上手くいかず、入学式のあった4月の半分近くをパンツ一丁で過ごすこととなってしまう。

何とか、ヒントを手繰り、守衛室へと辿り着いた2人。監視カメラのログに残された映像には、筋肉ムキムキの男たちに運ばれ、全裸で放置される自分たちの姿が映し出されていた。

彼らの正体やいかに…?

 

スタッフ・キャスト

スタッフ
  • 監督:英勉
  • 原作:井上堅二 吉岡公威
  • 脚本:英勉 宇田学
  • 撮影:小松高志 大嶋良教
  • 照明:蒔苗友一郎
  • 編集:相良直一郎
  • 主題歌:sumika
ナガ
英勉監督って福田雄一監督よりはるかにヤバいような…。

映画ファンの間では、福田雄一監督がいつも槍玉にあげられている印象がありますが、当ブログ管理人としては英勉の方が、その何倍もきついです。

ドラマだったらギリギリ許容できるかなと思うことはあるんですが、映画として見るには耐えがたいクオリティの作品を連発していますし、ギャグに関してもすべり散らかしていてどうしたものかと。

その上、演出がかなりコテコテで、かなり派手にやってしまうので、それも自分の映画鑑賞のスタンスとは決定的に相いれないなと思っている次第です。

今回の実写映画『ぐらんぶる』は特に英勉監督の悪いところを凝縮したような、そんな作品になっていたような気がしました。

撮影には、『前田建設ファンタジー営業部』小松高志さんと大嶋良教さんのコンビが起用され、照明にも英勉監督作品ではお馴染みの蒔苗友一郎さんが起用されました。

主題歌と挿入歌にはsumikaが起用されていますね。

キャスト
  • 北原伊織:竜星涼
  • 今村耕平:犬飼貴丈
  • 古手川千紗:与田祐希
  • 古手川奈々華:朝比奈彩
  • 浜岡梓:小倉優香
  • 吉原愛菜:石川恋
  • 古手川登志夫:高嶋政宏
ナガ
高嶋政宏のパンイチ踊りは流石に迫力ありすぎました…(笑)

主人公の2人には竜星涼さんと犬飼貴丈さんが起用されています。

竜星涼さんはドラマ『オトナ高校』のコメディテイストの演技が結構好きだったので、今作にもハマるのではないかなと思っておりましたが、ばっちりでしたね。

その一方で、女性陣は本当に良いメンバーを集めてくれましたね。

朝比奈彩さん、小倉優香さん、石川恋さん、そして何と言っても与田祐希さん!

ナガ
眼福だったぁ…(笑)

心は作品の出来栄えに疲弊しきっていましたが、目だけはひたすらに保養されているような感覚がありますね。

そして、高嶋政宏の際どい水着一枚でのバモスダンスが本当に強烈で、股間の毛がかなり気になってしまいました…。

映画com作品紹介ページ
ナガ
ぜひぜひ劇場でご覧になってみてください!



実写映画『ぐらんぶる』感想・解説(ネタバレあり)

連載漫画の映画化の悪いところが凝縮されている!

(C)井上堅二・吉岡公威/講談社 (C)2020映画「ぐらんぶる」製作委員会

邦画の実写映画では、連載漫画の映画化というのは、1つの稼ぎ頭となっているコンテンツとなっているわけですが、 近年脚本の作り方が変わってきたような気もするんですね。

というのも、連載漫画では、基本的に「○○編」→「○○編」と小さな章立てが1つの物語として成立していて、それが繰り返されていくことにより、1つの大きな作品を構成しているというケースが多いのです。

そのフォーマットをそのまま映画という1つの物語として成立していることが求められるメディアに落とし込もうとすると、昨年の実写映画『かぐや様は告らせたい』のようになるのでしょう。

原作からそのまま単発のエピソードを脚本に持ち込んで、その連続で「映画」として何とか成立させることを試みたわけです。

映画ファンとしてはこの傾向が良いものだとは思いませんが、少なくともYouTubeの動画のような10分弱のコンテンツにコミットした若い世代には受けているのだと思いますし、現に実写映画『かぐや様は告らせたい』は興行的に見ても大成功を収めました。

こういう単発エピソード羅列型の脚本が増えてきている中で、実写映画『ぐらんぶる』はある種のその傾向を代表する作品と言えるかもしれません。

まず、この映画の力点は明らかに物語にはなくて、いかにそのシーンで笑いを取るかというすごく瞬間瞬間にフォーカスした作りになっているわけです。

言い方は悪いですが、瞬間瞬間で観客が笑ってくれていたら、それで良くて、全体はどうでも良いというスタンスすら垣間見えるんですよね。

それが顕著に出ていたのが、伊織耕平以外のキャラクターの描写の仕方だと思います。

伊織耕平に関しては主人公的位置づけですし、今回の実写映画『ぐらんぶる』はあの島から逃げようとしていた2人がダイビングの魅力に引き込まれるところを1つのゴールにしていますからまだ良しとしましょう。

2人以外のキャラクターって、そのバックボーンも心情もほとんど描写されていなくて、ただのギャグ・コント要員でしかないんですよ。

特に、与田祐希さんが演じた千紗なんてあまりにも心情の変化の積み上げがなさ過ぎて、見ているこちらが混乱するほどでした。

ナガ
登場するたびに心情が何の前触れやきっかけもなく変化していて、多重人格か何かかと思いましたよ…。

これも彼女の心情をあくまでも、シーンごとにコミットさせていった結果の産物なわけで、だからこそ全体で通して見た時に、彼女の心情の変化や行動原理が全くもって理解不能なものになっているわけですよ。

中盤で、千紗伊織の彼女を演じ出したシーンなんて、あまりにも前触れがなさ過ぎて、自分が10分くらい意識を失っていたのかと思いました。

また、冒頭では嫌悪感丸出しだった彼女が、伊織を献身的にサポートするようになっていくまでの心情の変化も良く分かりません。

あとは、千紗ってダイビングないし海が大好きで大好きでたまらないキャラクターなのだと思いますが、それを映画では上手く表現できていないのも勿体ないと思いました。

本当にただただ千紗を演じている与田祐希さんが可愛いというだけになっていて、キャラクターとしての彼女に全くもって愛着が湧かないわけですよ。

エピソードの構成的な面で見ても、場当たり的なインサートが目立ちました。特に矢本さんと森永さんが登場するパートは、いい加減にしろよと思いました。

なぜなら、あのエピソードってその前にも後にも一切関係のない謎エピソードですし、あの時に彼女面をしていた千紗の心情や経緯は全く明かされることもありません。

ナガ
ただ、笑いを取るためだけにあのエピソードを入れたのだとしたら、映画の脚本としては最悪でしょうね…。

ここまでもお話してきましたが、結局のところ今作って、伊織耕平以外のキャラクターが死んでるんですよね。

千紗はどこまでも与田祐希さんでしかないし、奈々華朝比奈彩さんでしかないという具合に、単にギャグ要員、お色気要員、可愛い要員としてキャラクターというよりは、役者があの場に居合わせているというだけで、全然ドラマとして成立していないんですよ。

言うなれば、コント集を見ているような感覚で、シーンが変わると同じキャラクター名なのに、心情やバックボーンがブレブレで連続性が皆無なのです。

こういった場当たり的というか、瞬間瞬間で面白ければ良いやという脚本の作り方が、個人的には大嫌いですし、今回の実写映画『ぐらんぶる』はその典型だったと言えるでしょう。



原作との違い…かなり変わってる?

今回の実写映画『ぐらんぶる』ですが、ざっくり言うと原作の第1巻~第5巻までの内容を集約し、映画オリジナル要素を多分に加えながら、構成されています。

まず、そもそもの伊織耕平の入部に至るまでの経緯の部分が、原作からはかなり盛り盛りになっています。

ナガ
なぜなら原作では2人はパンツを穿いた状態でキャンパスに放置されるのに対し、映画では全裸なんですよ(笑)

なんで、原作のマンガよりも実写映画の方が過激になるんだよ!と思わずツッコミを入れてしまいましたね。

冒頭の謎解きタイムループの設定というかプロットもこれは原作にかなりアレンジを加えた映画オリジナルですし、これについては個人的にも楽しんで見れた部分はあります。

そこからはある程度原作でも描かれていた単発のエピソードを積み重ねていくのですが、原作では第5巻付近で描かれるライセンス所得のエピソードをかなり前倒しにしてありましたね。

そして、そこからのラストの展開が一応は映画オリジナルになっていて伊織耕平が所得したライセンスとダイビング道具を駆使して、島から脱出しようとするわけです。

ただ、そこでサークルのメンバーと合流して、大きなサンゴを一緒に見に行くという体験を通じて、ダイビングないし海の魅力を再確認することになりました。

ナガ
このオチのつけ方は悪くないと思いましたね!

ただ、1つ気になったのは予算があまりかけられなかったのかどうかは分かりませんが、ラストで伊織耕平を改心させることとなる海の風景が画的に弱すぎることですね。

ダイビングに取り組まれている方が、あれをどう捉えるのかは分かりませんが、素人目で見ると全然視覚的にインパクトがなくて、あの風景を見て、2人が改心するという方向に進むことにイマイチ説得力を感じられませんでした。

全体的にプロットは散らかっていましたが、ラストの締め方については悪くなかっただけに、もっと視覚的に引きが欲しかったなというのが正直なところです。

(C)井上堅二・吉岡公威/講談社 (C)2020映画「ぐらんぶる」製作委員会

あれなら、与田祐希さんが可愛いから俺たち島に残るぜ!と言われた方が、まだ説得力があった気がしています(笑)

 

その中でも輝く与田祐希さんの魅力

(C)井上堅二・吉岡公威/講談社 (C)2020映画「ぐらんぶる」製作委員会

記事の冒頭でも書きましたが、やっぱり実写映画『ぐらんぶる』与田祐希さんが全部持って行った感すらありますね。

ナガ
それくらいに圧倒的と言いますか、魅力があるキャストでしたね!

しかも、登場するタイミングがまた絶妙で、私がちょうどつまらないギャグやコントの連続で心が折れそうになった頃に現れて、また去って、心が折れそうになるとまた現れてというその繰り返しで映画が成立しています。

眠らせなかったり、殴る蹴るなどの拷問を与えたり、薬物を使用したりして、心身に激しい苦痛を与え、そのあとに今度は一転して優しくするというのは、洗脳のテクニックですが、そのアプローチが実写映画『ぐらんぶる』には盛り込まれているような気すらしてきます。

ダイビングをした人間が水中で酸素ボンベに依存するかのように、観客である自分が与田祐希さんの可愛さで何とか耐え忍んでいるというそんな状況が続く2時間弱。

軽く自分の思考回路が魔改造されるような恐ろしさすらあるこの映画ですが、彼女のファンにはたまらない内容だと思います。

そして、見た人はもれなく洗脳されて、彼女のファンになります。

それはさておき、今後彼女にはどんどんと女優としても活躍して言って欲しいとは思うのですが、今回は脚本の悪さもあり、あまり役に入り切っていなったのが目にはつきましたね。

彼女に非があるというよりは、明らかに脚本の問題なので、あまり触れる必要もないのかもしれませんが、どうしても千紗としてというより与田祐希さんご自身としての主張が強くなっていて、キャラクターとしての魅力はあまり感じないというのが1つ気になる部分でした。

ぜひとも、もう少し脚本がしっかりとした作品の出演機会に恵まれて、演技力を磨いていってほしいですね。

ナガ
あと、写真集出てるんですね…。

当ブログ管理人もスクリーンを後にしたその足で、パンフレットではなく、彼女の写真集でも購入しようか葛藤するほどでした。

おそらく劇場というか、スクリーンの出口あたりで写真集の即売会でも開けば、思考回路がバグった私のような観客は漏れなく買うでしょうし、飛ぶように売れると思います。

といいつつAmazonのカートに写真集が入っていて、もうポチる寸前でございます…。



おわりに

いかがだったでしょうか。

今回は実写映画『ぐらんぶる』についてお話してきました。

ナガ
映画としては明らかに今年のワースト候補筆頭ですけどね…。

脚本の出来の悪さは今年の邦画の中でも屈指のものだと思いますし、キャラクターを映画の中で「生かす」という感覚がまるで内容に感じられて、非常に不気味な映画でした。

ただ、与田祐希さんを知ることができたという点と、英勉監督の作品から足を洗う決断ができたという意味では、見た意義があったとは思っております。

ナガ
原作でもこんなセリフがあるくらいではありますからね…。

(C)井上堅二・吉岡公威/講談社

当ブログ管理人のように、下手に難しく考えずに、とにかく頭を空っぽにして楽しむのが1番良いと思います。

ぜひ、この夏は実写映画『ぐらんぶる』を見て、皆様も思考を魔改造されてきてくださいね!

今回も読んでくださった方、ありがとうございました。

 

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