目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回も前回の記事に引き続き、「響け!ユーフォニアム:北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章:前編」に関する記事になります。
・第1回:チームモナカの肖像
ということで、第2回に当たる今回の記事では、リズと青い鳥に見る、みぞれと希美の将来ということで語っていきたいと思います。

みぞれと希美
2人について簡単に紹介しておこうと思います。
まずは、鎧塚みぞれですね。
©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会
彼女は、北宇治高校吹奏楽部2年生(今作では3年生)で、部内で唯一のオーボエ奏者です。
無口で無表情な性格ですが、オーボエの実力は田中あすかも一目を置いていたほどでした。
次に、傘木希美ですね。
©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用
彼女は、北宇治高校吹奏楽部に所属していましたが、先輩との軋轢から部を退部しました。
しかし、後に部に復帰し、コンクールメンバーのサポート役を引き受けます。実力としても、久美子が当時の吹奏楽部員のフルート担当よりも数段上手いと評するほどでした。
この2人の関係性が、実に複雑で、今回の「響け!ユーフォニアム:北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章:前編」でも多くの含みを持たせつつ描かれています。おそらく後編ではこの2人の物語がメインになってくることでしょう。
まずは、2人の関係性を順を追って整理していきましょう。
市立南中学校時代
©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用
市立南中では、みぞれと希美は親友同士でした。
特にみぞれにとっては希美が唯一とも呼べる友達でした。そして、希美が吹奏楽部に勧誘したことで、みぞれは吹奏楽部に入部することになりました。
市立南中学での2人が臨んだ最後のコンクールでは金賞を取ることができず、2人は高校では絶対に金賞を取ろうと誓い合ったのでした。
一方でこの頃から、2人の人間関係のもつれは少しずつ始まっていました。
それは2人のお互いに対する思いの熱量に大きなずれがあったことが原因でした。
希美はその明るい性格から友達も非常に多くいました。
一方で、みぞれはその大人しく無口な性格から、希美以外に友達はいませんでした。
そのため、希美にとってみぞれはたくさんいる友人の中の1人にしかすぎませんでしたが、みぞれにとってはかけがえのないたった1人の親友でした。
希美はそれに関して何も思っていないようでしたが、みぞれはそのギャップに一人苦しんでいたのです。
北宇治高校吹奏楽部1年
©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用
2人は北宇治高校吹奏楽部に入部し、中学の最後のコンクールで誓い合った金賞獲得のために努力しようと意気込みます。
しかし、そんな2人を待っていたのは、やる気のない3年生部員たちでした。
そんな先輩たちと、希美は部の在り方を巡って衝突してしまい、3年生部員の引退を前にして部を去ってしまうのでした。これが2人の関係性を狂わせた最大の要因になりました。
というのも希美は、みぞれに何も告げることなく部を去ってしまったのです。
みぞれは、後から他の部員から希美の退部を知らされて大きなショックを受けます。自分は、希美に部からの退部すら知らせてもらえないような存在だったのかと失望し、それ以来、希美に強い嫌悪感を抱くようになります。
その嫌悪感は「吐き気を催すほどの強い感情」と表現されています。
一方で、希美はそんなことを微塵も感じていませんでした。
希美がみぞれに何も告げずに退部したのは、みぞれがオーボエの練習に一生懸命取り組んでいる姿を見て、邪魔をしたくないという思いからでした。
この思いのすれ違いから、2人は長い間関わりを持たなくなってしまったのです。正確に言うとみぞれが希美のことを意識的に避けるようになってしまいました。
北宇治高校吹奏楽部2年
©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用
滝昇が顧問になり、吹奏楽部はどんどんと実力をつけ、ついには関西大会への切符を手にしました。
すると、退部していた希美が部に復帰したいとあすかたちに申し出るようになりました。しかし、あすかは希美の復帰を認めず、希美も部活動への復帰を諦めようとしていました。
一方で、みぞれもオーボエを続けていました。彼女はいまだに希美に執着し続けていて、再び彼女に拒絶されることを恐れていました。また、希美にそこまで執着している自分自身にも嫌悪感を感じていました。
そして、そんな二人が部活中に偶然再会してしまいます。
みぞれは突然の再会に驚いて逃げ出してしまいます。
その後、2人はようやく向き合って話をすることになりました。
みぞれは希美が退部した経緯と彼女の思いを知り、避けていたことを謝罪します。そして希美は、みぞれの素晴らしいオーボエの音色をまた聞かせて欲しいと告げます。
それに対して、「私も、聴いてほしい。」と答えるみぞれ。
こうして2人の関係性は修復され、希美も晴れて吹奏楽部への復帰が決まったのでした。
ここまでが原作第3巻、アニメ版第2シーズンまでで描かれていた2人の関係性です。
ここから、「響け!ユーフォニアム:北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章:前編」では、またこのみぞれと希美の関係性に変化が生じていくこととなります。
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リズと青い鳥
「リズと青い鳥」は作中に登場する童話ないしそれを元に作曲された吹奏楽ための曲とされています。
あらすじ
まずは、簡単にではありますがそのあらすじを紹介しておきます。
主人公のリズは町はずれに住む少女で、両親をすでに亡くしていました。
彼女は街のパン屋で働いています。リズは家の近くの湖で、パンの余りをちぎって森の動物たちに分け与えていました。その動物たちの中でもリズは、青い鳥と仲が良かったのでした。
ある日、突如として嵐が森を襲い、湖にいた動物たちはみんな姿を消してしまいました。
そんな中で、湖のほとりに透き通るような青い髪の少女が横たわっていました。リズはその少女を連れて帰り、一緒に暮らすようになります。家族がいなかったリズにとって、その少女はかけがえのない存在になります。
しかし、そんな日々の中で、リズはその少女が、自分がパンをちぎって与えていたあの青い鳥だと悟ります。リズはこのことを少女に告げれば、彼女は去ってしまい、また一人ぼってになってしまうと危惧します。
しかし同時に美しい翼でどこまでも羽ばたくことのできる彼女を自分が縛ってしまっているということを感じていました。
リズは、森に飛ぶ青い鳥たちの群れを見て、彼女を空に帰してやることを決断しました。そして、リズは彼女に空に戻り、自由になるよう告げます。しかし、彼女はリズということがこの上なく幸せであるとしてそれを受け入れません。
しかし、リズはここで彼女に別れを告げてもらうことが、自分の愛の在り方であると告げ、青い鳥もリズの望みを拒否することはできないとして去っていきました。
コンクールの自由曲
この「リズと青い鳥」は今年の北宇治高校吹奏楽部のコンクールの自由曲に選ばれました。
そして部員たちはこの元になった童話を各自で読み進めていくんですね。
そんな中でこの本を読んだ、久美子は次のように感じていました。
このリズと青い鳥の関係性が、みぞれと希美にそっくりであると。大空へ羽ばたいていく、青い鳥をただただ眺めるしかないリズの姿がみぞれに重なったのです。
一方で、希美も同じように感じていました。リズと青い鳥の関係性がまるで自分たちのようであると考えたのです。コンクール本番が楽しみであると告げる希美と、コンクールが終われば希美と一緒に吹奏楽ができなくなることを憂うみぞれ。
2人の関係性はこれからどうなってしまうのでしょうか?
みぞれと希美のこれから
ここまでいろいろと整理しましたが、今回の「響け!ユーフォニアム:北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章:前編」の内容を踏まえつつ、後編での展開を予想していきたいと考えています。
注目すべきはやはりエピローグと「リズと青い鳥」です。
エピローグでは、滝先生の知り合いである新山聡美がみぞれに音大に進みオーボエのプロを目指す道を勧めます。
©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用
決断できず、とりあえずパンフレットだけを受け取って、みぞれはパート練習室に戻りました。そしてそのパンフレットを見つける希美、そしてみぞれはそれを新山先生にもらったことを告げます。
すると希美は、ここの音大に進もうかなとみぞれに言います。みぞれは、私も同じ音大に行くと告げるのでした。
久美子は、「リズと青い鳥」を読んで、リズがみぞれ、青い鳥が希美であるとイメージしていました。しかし、私はこのエピローグを見る限りでは、逆なんじゃないかと考えています。
希美はみぞれのオーボエの才能を認めています。それは間違いありません。希美も確かにフルートの技術は高いですが、みぞれは別格です。おそらく希美はそのことを分かっているんだと思います。
©武田綾乃・宝島社/「響け!」製作委員会 「響け!ユーフォニアム2」第4話「めざめるオーボエ」より引用
だからこそ、みぞれが新山さんに音大へ誘われたことを知った時、希美の表情が変わったんだと思います。
おそらく、希美は、みぞれが自分が選んだ進路について来ようとすることを悟っていたんだと思います。しかし、みぞれにはオーボエの、音楽の才能が有ります。このまま自分が選ぶ進路についてくるのは、みぞれのためになりません。
希美はおそらく、自分が音大に行くと言えば、みぞれがついてくることも悟っていたのでしょう。そしてその通りになりました。
希美は、本気でその音大に行こうとは考えていないように感じます。みぞれにその音大を目指させるために、自分も音大に行くと告げただけなのではないでしょうか?
リズは希美のことであり、青い鳥はみぞれなのです。希美は自分自身がみぞれを縛ってしまっていると感じていて、それではだめだと感じています。そのため、音楽の世界にみぞれを解き放ってあげたい、自分という呪縛から解いてあげたいと考えているのではないかと思います。
そして、それは部活動を辞める際に何も告げなかった時の希美の心情とは違います。みぞれの真なる幸せを願って、成功を願って、突き放そうと画策しているのです。それこそが希美の愛なのです。
おわりに
後編でどのような展開になるのかはまだ誰にもわかりません。
作者の武田綾乃さんのみぞ知るところです。そのため今回は私なりに、後編でのみぞれと希美の関係性の変化とこれからを予想してみました。
京都アニメーションの新作劇場版でも、希美とみぞれの物語が描かれることが決定しています。

今回も読んでくださった方、ありがとうございました。
関連記事
・みぞれと希美の物語にフォーカスした青春の地獄を描く映画版
・久美子の視点から再構成する第二楽章
さっき前編を読み終えたばかりですが、私も全く同じことを考えていました!
久美子のコメントに対して、「リズの青い鳥」の本当の意味とは!?という巻末の広告といい間違いないと思います(^^)
のぞみぞ大好きさんコメントありがとうございます。
こういう展開なら胸熱だなあと思いつつ書かせていただきました。後編でもしこういう展開になった時に、希美とみぞれが最終的にどういう決断をしていくのか、非常に楽しみですね!