映倫やMPAAによる映画のレーティングについていろいろと調べてみた。

アイキャッチ画像:(C)2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED 映画「マッドマックス:怒りのデスロード」より引用

はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね、映倫の審査についてゆるーく語っていこうと思います。

良かったら最後までお付き合いください。

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日本の映画審査基準

日本では、映画倫理機構、通称映倫が国内で公開される映画のレーティングを一任しています。映倫では以下の4つの区分に映画を分類しています。

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http://www.eirin.jp/index.phpより引用

・G(General Audience)

この「G」に区分される映画は簡単に言うと全年齢対象の映画になります。小学生以下の子供が見てもショックや悪影響を与えないように配慮して作られている作品ということになります。またその評価基準として、興味深いのは簡潔な性描写・暴力描写・犯罪描写で、本編の展開上必要な最低限に留まっていればこの「G」に分類されるということです。

最近見た作品で「ナラタージュ」という作品がありまして、その作品に関する映倫の審査講評を調べてみました。

 大学2年の春、泉に高校時代片想いしていた演劇部の葉山先生から、後輩の為に卒業公演に参加してくれないかと電話が掛ってくる。ラブストーリー。
映画倫理寄稿HPより引用)

この作品は、映倫の区分ではこの「G」に分類されています。しかし、作品を見てみますと意外と性的なシーンは多かったように感じます。あれほど性描写を作品に取り入れても「G」に分類されるに留まるんですね。

・PG12(Parental Guidance)

このPG12というのはつまり、できれば保護者の方と見に来てくださいねという趣旨です。12歳以下の子供が鑑賞する場合は、保護者の助言や指導が必要です、と審査基準には明記されています。内容的には小学生の鑑賞に不向きな刺激的な描写を含んでいるということです。

今年公開の作品で「ハクソーリッジ」という戦争映画の、映倫審査講評を調べてみました。

 第二次世界大戦の沖縄で、米兵のデズモンドは武器の携帯を拒みながらも、敵地から多くの負傷者を救出する。戦争ドラマ。戦闘における殺傷・出血、肉体損壊の描写がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。
映画倫理機構HPより引用)

この映画も鑑賞しましたが、個人的にはかなりグロテスクな表現が含まれていると感じました。ただあそこまで描写しても「PG12」で審査されているというのは意外でした。やはり戦争映画ということもあって、教育的意義も内包する作品ということで少し寛大な審査になっているのでしょうか?

・R15+(Restricted)

この「R15+]という表記は、15歳以下は見てはいけませんよという拘束力を持っている審査区分になります。ですので、これに分類されている作品を中学生が見ようとすると、年齢確認をされて鑑賞を断られてしまうということです。15歳以下の年少者では理解力や判断力の面で不向きな内容が含まれているということですね。過激な性描写や、暴力描写、放送禁止用語を使用した作品なんかはここに分類されるようです。

今年公開の「彼女の人生は間違いじゃない」という作品の映倫審査講評を調べてみました。

 震災で母を失い、父と2人、福島県内の仮設住宅に暮らす みゆきは、市役所に勤めるかたわら、休日は東京に出てデリヘル嬢として働いていた。ドラマ。刺激の強い性愛描写がみられ、標記区分に指定します。(映画倫理機構HPより引用)

この作品は、やはりデリヘルや半ば強制性交まがいの描写が登場しましたし、女性の裸体が完全に露出してしまっていたので、「R15+」の指定がついてしまうのもやむなしと感じました。

・R18+(Restructed)

この「R18+」という区分は、18歳未満は鑑賞できませんよ、という拘束力を持つものです。ですので、高校生なんかがこの区分に分類されている映画を鑑賞しようとすると、間違いなく学生証の提示を求められるということです。ここに分類される作品は、描写のみならず、主題や題材そのものの刺激が極めて強いものだそうです。またここに分類されると、広告やCM等の宣伝が難しくなるので、興行的に厳しくなってしまうということです。

映画「ムカデ人間2」に関する映倫の審査講評を調べてみました。

 「ムカデ人間」のDVDを見て興奮した駐車場の警備員は、自ら人体結合を再現しようとして12人の犠牲者を拉致監禁し、文具・工具を使って外科手術をはじめる。残酷ホラー。ほぼ全編白黒映画だが、大人向きの作品で、極めて刺激の強い殺傷出血、肉体損壊、性的暴力、惨殺死体の描写、性的倒錯及び性的台詞がみられ、標記区分に指定します。
映画倫理機構HPより引用)

何と言いますか、納得の「R18+」指定ですね。これくらいやると当然のごとく18歳未満は見れませんよという制限がつくということです。

参考:映画倫理機構HP:http://www.eirin.jp/index.php

アメリカの映画審査基準

アメリカではMPAA(Motion Picture Association of America)という団体が映画のレーティングを担当しています。MPAAは映画を5つの区分に分けて審査をしています。

・G(General Audience)

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https://filmratings.com/より引用

これは先ほども説明したように全年齢対象作品ですね。

・PG(Parental Guidance)

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https://filmratings.com/より引用

これも先ほど説明したように、できれば年少者は保護者の方と一緒に見に来てくださいねという注意書きのようなものですね。

・PG13(Parental Guidance)

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https://filmratings.com/より引用

これは日本にはない区分ですよね。「PG13」は簡単に言いますと、13歳未満の年少者が鑑賞するには不適切な内容を含んでいますよという警告ですね。ですので、作品を見るに当たって保護者が同伴したり、しっかりとした助言が与えられることが望ましいですよということを示しています。

日本では全年齢対象の「G」に区分されている作品でも、アメリカではこの「PG13」に分類されている作品は非常に多く存在します。例えば、アカデミー賞で高い評価を獲得し、日本でも大ヒットした「ラ・ラ・ランド」なんかも日本では「G」区分ですが、アメリカでは「PG13」に分類されています。

・R(Restructed)

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https://filmratings.com/より引用

「R」も日本にはない区分ですよね。これは17歳以下の者は、保護者や両親の同伴無しでは鑑賞できませんよという拘束力を持つ区分になります。

例えば、日本でも「R15」指定がついていた「デッドプール」なんかは、アメリカではこの「R」指定になっています。審査講評を読んでみましょう。

 Rated R for strong violence and language throughout, sexual content and graphic nudity.
https://filmratings.com/Search?filmTitle=DEADPOOL&x=0&y=0より引用)

強い暴力描写や放送禁止用語が作品の至る所に含まれていて、性的な内容や裸になっているシーンなどが見られるということですね。まあ妥当な評価でしょうか(笑)。放送禁止用語も連発してますしね。

・NC17(No One 17 and Under Admitted)

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https://filmratings.com/より引用

これは簡単に言いますと、17歳以下の者は鑑賞できないという審査区分になっています。

例えば、「アデル、ブルーは熱い色」なんかはアメリカでこの「NC17」に分類されています。審査講評を読んでみましょう。

 Rated NC-17 for explicit sexual content.
https://filmratings.com/Search?filmTitle=adele&x=0&y=0より引用)

 

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きわどい性描写を含んでいるというシンプルな文言ですね。確かに私がこれまで見た中でもトップクラスで過激な性描写を含んでいる映画でしたので、この区分も納得できます。このクラスで過激な内容になると、この「NC17」に区分されてしまうということですね。

参考:Film Rating com.:https://filmratings.com/

日本とアメリカの審査の違いは?

基本的に日本とアメリカでは近い審査基準が出るようにはなっています。これは当たり前ですよね。

例えば、邦画の「アウトレイジ」は日本で「R15+」指定がついていて、アメリカでもほぼ同等の「R」指定がついています。また洋画「テッド」なんかはアメリカで「R」指定がついていて、日本でも同等の「R15+」指定がついています。

ただ、個人的にはアメリカの方が、少し審査が厳しめなのではないか?というパターンが意外と存在しているように思いました。

アメリカのMPAAは比較的「PG13」の表示は多くの作品に設定しているという印象があります。先ほど「ラ・ラ・ランド」の例を挙げましたが、他にも日本では「G」指定の作品でも、アメリカでは「PG13」がついているケースは非常に多いです。

(アメリカでは「F××k」等の放送禁止用語への指定が厳しいので、これが1回使われただけでも「PG13」指定がつくという背景があるみたいです。数回使われると「R」指定がついてしまうなど、非常に言語面での規定は厳しいみたいですね。)

また、「バイオハザード」シリーズなんかは日本では「PG12」に分類されていますが、アメリカでは「R」指定がついています。

そして日本でも来年1月に公開が決まっている「キングスマン2:ザゴールデンサークル」はアメリカでは「R」指定がついているにもかかわらず、日本では「PG12」指定での公開が決定しました。審査講評を見てみましょう。

 アクション。簡潔な殺傷、薬物使用の描写がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます。(映画倫理機構HPより引用)

このように日本の方が映画の審査が少し緩いのではないかとは個人的には感じました。もちろん逆のケースもあるとは思いますが、相対的に見てということです。

映画の審査に関する小噺

・あんなにグロテスクなのに・・・

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2017-03-16



昨年「ミュージアム」というクライムサスペンス映画が公開されたときに、この映画の審査問題が少し話題になりました。私もあの映画は見たんですが、正直かなりグロテスクだなあと感じる場面がいくつかありました。しかし、映倫のレーティングを見てみますと、「R15+」でも「PG12」でもなく何と全年齢対象の「G」指定になっていたんですね。まじですか・・・という印象でした。

・白黒になると・・・

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トム・ハーディー
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2016-04-20



映画「マッドマックス:怒りのデスロード」はアメリカでも「R」指定、日本でも「R15+」指定がついて公開されました。公開当時からこれくらいの暴力描写で「R」指定がつくのか?という点が話題になっていたように思います。

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ただ日本で後発で公開された同作の白黒版はなんとレーティングが「PG12」に下がったんですね。どうやら白黒映像になると、映像の刺激が軽減されて、レーティングも緩和されるようです。

余談ですが、白黒映像で公開された映画「ムカデ人間2」は日本で「R18+」指定です。

おわりに

私は映倫の関係者でも何でもないので、詳しい審査基準がどうなっているのか?なんてことまでは分かりません。

 しかし、映画がどれくらいの性描写、暴力描写、薬物描写、放送禁止用語、犯罪描写で、どの審査区分に分類されるのか?という点は注視してみると面白いと思います。

 また、アメリカと日本では微妙に指定が異なったりするので、そういう作品があれば、その理由を作品を見ながら考えてみるのも興味深いかもしれませんね。

他の国々の映画審査についても調べてみると面白いかと思います。

ぜひ、映画の審査基準にも注目してより映画を楽しみましょう!!

今回も読んでくださった方ありがとうございました。




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