【ネタバレ感想・解説】映画「アトミックブロンド」:ラストシーンの意味を考察してみる

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はじめに

みなさんこんにちは。ナガと申します。

今回はですね、映画「アトミックブロンド」をネタバレ有で語っていこうと思います。

この記事では、「アトミックブロンド」のラストシーンに関する解説や考察がメインになりますので、その点をご了承ください。ですので、作品を未鑑賞の方にはおすすめできない内容になっています。




あらすじ・概要

 「マッドマックス 怒りのデス・ロード」や「ワイルド・スピード ICE BREAK」など近年はアクション映画でも活躍の幅を広げているシャーリーズ・セロンが、MI6の女スパイを演じた主演作。アントニー・ジョンソンによる人気グラフィックノベルを映画化したアクションスリラーで、「ジョン・ウィック」シリーズのプロデューサーや「デッドプール」続編の監督も務めるデビッド・リーチがメガホンをとった。冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前の1989年。西側に極秘情報を流そうとしていたMI6の捜査官が殺され、最高機密の極秘リストが紛失してしまう。リストの奪還と、裏切り者の二重スパイを見つけ出すよう命じられたMI6の諜報員ロレーン・ブロートンは、各国のスパイを相手にリストをめぐる争奪戦を繰り広げる。共演に「X-MEN」「ウォンテッド」のジェームズ・マカボイ、「キングスマン」「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」のソフィア・ブテラ。

映画com.より引用)

予告編

映画のもろもろの解説について

映画「アトミックブロンド」をより理解するために重要になってくる情報を別の記事で解説しております。本記事では、ラストシーンにフォーカスして解説・考察していくので、他の要素に関しての解説が読みたいという方がいれば、こちらの記事をご参照ください。以下にURLを掲載しておきます。

ラストシーンの解説・考察その1

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ラストシーンに至るまでの経緯を簡単に説明しておきますと、シャーリーズ・セロン演じるローレン・ブロートンが実は「サッチェル」だったのだという展開だったわけですよね。

イギリス秘密情報部(MI6)に所属していたローレン・ブロートンは実はロシア(KGB)のスパイだった・・・と思わせておいて、実はアメリカ中央情報局(CIA)のスパイだったということが発覚したわけです。

皆さんスパイ映画におけるスパイってすごく華やかに描かれていますよね?近年の007はかなり暗いトーンでしたが、007シリーズやミッションインポッシブルシリーズ、ボーンシリーズ、最近だと「コードネームU.N.C.L.E.」や「キングスマン」も然りですが、基本的にスパイというものをある種、英雄的に描く傾向が強いのです。

さらにこういったスパイ映画では、主人公のアイデンティティというものがすごく確立されている傾向にあるんですよね。自分がどこのスパイでどういう人間なのかなんてことがキャラクター設定としてしっかりと存在しているのです。

ただ本作「アトミックブロンド」に登場するスパイたちって全然英雄的じゃないですし、アイデンティティが不明瞭ですよね。身体は傷だらけそしてスパイをしているうちに自分が何者なのか?どんな服を着れば良いのか?なんてことまでも見失ってしまっているわけです。

つまり、本作はそういったスパイという世界で生きる人たちの「闇」の部分にすごくフォーカスした作品だと思うんです。よくあるスパイ映画では、主人公がスマートに敵と戦って、そして蹴散らしていきます。ただ、映画「アトミックブロンド」はそうではないですよね。ブロートンは戦うたびに傷ついていきますし、自分が助けようとしている重要人物スパイグラスの助けを借りないと危うしみたいな状況もありました。

そういう意味でも、本作でデヴィッド・リーチ監督が徹底的にアクションシーンにこだわった点も頷けるわけです。アクションシーンは単なる映像的快感を提供するだけではなく、キャラクター性や物語性をも孕んだものだけでなくてはならないという見解の元、本作では「重い」アクションシーンにこだわったようです。物語中盤で登場する約7分間のノーカット風(長回し風)アクションシーンも素晴らしかったですよね。あれだけ「痛み」や「疲労感」、「緊迫感」溢れるアクションシーンを実現させることは容易ではなかったと思います。

そして、もう一点がブロートンには、典型的スパイ映画の主人公が持つ「アイデンティティ」というものが欠落しているんですよね。出自も服装も、髪型も何一つ自分のものとして定まっていないわけです。

終盤に、ブロートンが「英国女王のパーティーにどんな服を着ていけばいい?」と尋ねるセリフがありましたよね。あれって彼女には確固たるアイデンティティが欠けていたことを象徴的に表すセリフだったと思うのです。

 そして、ラストシーンです。彼女はアメリカに戻って、普通の生活に戻るという旨を話していました。つまり、彼女は一連の戦いの中で何か自分の中に確固たるものを見出した、または戦いを通して自分が何者か?が分からないことに気がつき、それを見つける覚悟をしたということなのではないでしょうか?

それを象徴するかの如く、終盤で彼女は女性性やフェミニズムを象徴するような赤色のドレスを身に着けていたわけです。

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 つまりあのラストシーンは、彼女がこれからは「女性」として「ローレン・ブロートン」として普通の生活を送っていくということを示唆していたのではないでしょうか?

 

 

ラストシーンの解説・考察その2

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みなさんは映画「アトミックブロンド」のあのラストシーンには納得しましたでしょうか?

ローレン・ブロートンはMI6のスパイだと思っていたら、実はKGBのスパイだったと思わせておいて、結果的にはアメリカCIAのスパイだったわけですよね。

ただ、私はこの結末に額面通りには納得したくないわけです。というのもあまりにも不可解で、思わせぶりな描写を随所に散りばめているからなんですね。

まずは、ブロートンが冒頭で殺害されたMI6のスパイであるガスコインと深い仲にあったということですよね。そして、ガスコインの情報がKGB(ソ連国家保安委員会)に流れてしまって、結果的にKGBのスパイであるバクティンがガスコインを始末して、リストを奪ってしまいました。このことから察するにブロートンがKGBと何らかの繋がりを持っている可能性が容易に推測できます。

次に、バクティンの行動が不可解ですよね。リストを回収したにもかかわらず、ロシア本国に戻ることなくベルリンに滞在していました。なぜ、すぐに本国に重要機密であるリストを持ち帰らなかったのか?という点がすごく疑問ですよね。

そしてブロートンが飲んでいるお酒も意味深ですよね。体を氷水につけて、そしてウォッカで体を温める。これってもう典型的なロシア人のお酒の飲み方ですよ。イギリスやドイツの気候が暑いと言わんばかりに氷水に使って体を冷やしてますよね。

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パーシヴァルが典型的なアメリカのお酒であるジャックダニエルを愛飲しているのも対比的でしたよね。

 

 



またよくよく考えると、ブロートン自身ってKGBのスパイとは全く交戦していないんですよね。パーシヴァルが差し向けてきた戦闘員たちとは交戦を繰り広げましたが、ロシアスパイとはほとんど交戦していません。バクティンに手を下したのもパーシヴァルでしたからね。いよいよ彼女は関与していません。

そしてもう一つ重要なのが「色」ですよね。彼女が終盤に着ていた「赤」いドレス。「赤」っていわばコミュニズムないし共産主義を象徴する色なんですよ。

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一方で、本作で印象的に登場していた「白」や「金」そして「青」といった色は、資本主義の色であるとも言われているものです。

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さて、ここまで提示してきたヒントで、私が何を言おうとしているのかはもうお分かりいただけましたよね。


私が言いたいのは、ブロートンはCIA(アメリカ)のスパイなんかではなくて、やはりKGB(ロシア)のスパイなのではないか?ということです。

ここからは私の想像の世界ですが、KGBないしブロートンは、アメリカに「リストを回収できたという安心感」を与えるために今作で描かれたような行動を取ったのではないかと推測しています。ソ連はバクティンがリストを手に入れた時点で、彼を即時帰還させて、リストを回収すれば西側陣営の重要機密を握れたわけですよ。でもそうはしなかったんですよね。そうしてしまうと、「ソ連がリストを得た」という事実が明確になってしまい、有効な武器として機能しなくなる恐れがあります。

バクティンをあえてベルリンに滞在させて、西側陣営のスパイの標的にさせたのです。そして、MI6とCIAを兼任していたブロートンが、西側陣営の人間としてリストを回収するわけです。つまりCIAの指令通りに行動するわけです。結果的にアメリカはリストの東側陣営への流出は防げたと考えているでしょう。

しかし、ブロートンは実はKGBのスパイで、アメリカにリストを渡す傍らで、ソ連にも情報を流していると考えられるわけです。冷戦においては「情報」が何よりの武器だったわけです。つまり、「相手に自分たちの国がリストを得た」という情報を悟られないことこそが、リストを手に入れることそのものよりも大きな武器になると考えたのではないでしょうか? よってCIAの指令通りに行動したと見せかけて、実はそれすらKGBの予定調和なのかもしれません。


ですので、額面通りにあのラストシーンを受け取ってしまうと、もしかしたら我々はローレン・ブロートンにまんまと騙されていることになるのかもしれません。

おわりに

いやはや、「ジョンウィック」のような頭を空っぽにして見るタイプの映画かと思いきや、まさかのゴリゴリの硬派なスパイ映画でしたね。

ストーリーもしっかりとしていて、それでいてアクションシーンは近年トップクラスときますから、個人的にもすごく満足できました。

やはり何といってもシャーリーズ・セロンのスタイルがアクション向きですよね。すごく映画映えします。

 今回は私なりのこの「アトミックブロンド」という作品に対する見解を述べさせていただきました。ぜひ皆さんも自分なりの解釈を考えてみてはいかがでしょうか?

今回も読んでくださった方ありがとうございました。

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4件のコメント

普通にcia, kgb, MI6のトリプルスパイでMI6 だと思わせておいてkgb でした!ところが本当はcia でしたってだけですよ
フランスのスパイはレズの恋人で
リスト持って逃げなかったのは値段の吊り上げやらで欲をかいただけです

ブロートンが終盤に着ていた赤いドレスに共産主義の意味があるとは参考になりました。しかし、そのドレスはKGBのおじさんに会いに行く時に着ていたものであり、最後に飛行機に乗るシーンは違う色のコートでした。なので赤いドレスは観客にKGBのスパイだという印象を与えるためのものであり、最後のどんでん返しを強調するためのものではないかと私は考えました。ウォッカなどのロシア的な印象を与えるアイテムも実はKGBなのでは?と思わせておいて最後にそっちかーと言わせるための伏線だと思いました。

匿名さんコメントありがとうございます!
一部修正させていただきました!
ご指摘ありがとうございました!!

タケゼロさんコメントありがとうございます!
確かに普通に見ると一連のあの描写はミスリードですよね!見る者の裏をかく演出でした。ただ個人的には裏の裏は表みたいな考察をしてみたいということでこの記事を書きました!いろいろな解釈ができる作品かと思います!

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