目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガです。
今回はですねタイトルの通りで、当ブログ管理人が選ぶ2018年上半期ベスト映画について書いていきます。
作品の展開的なネタバレはしないよう細心の注意を払っていこうと思いますので、その点はご安心ください。
良かったら最後までお付き合いください。
当ブログ管理人が2018年上半期に映画館で見た作品ラインナップ
1月
- ノクターナルアニマルズ
- 伊藤くんA to E
- 中二病でも恋がしたい Take on Me
- キングスマン ゴールデンサークル
- ジオストーム
- 嘘を愛する女
- ルイの9番目の人生
- 5パーセントの奇跡
- アランフエスの麗しき日々
- ダークタワー
2月
- RAW
- グレイテストショーマン
- 今夜ロマンス劇場で
- マンハント
- 羊の木
- ロープ 戦場の生命線
- 絵文字の国のジーン
- 曇天に笑う
- さよならの朝に約束の花を飾ろう
- 犬猿
- アイドルキャノンボール2017
- リバーズエッジ
- 空海
- ビガイルド
3月
- ブラックパンサー
- シェイプオブウォーター
- 15時17分、パリ行き
- リメンバーミー
- ダウンサイズ
- 聖なる鹿殺し
- 去年の冬、君と別れ
- ちはやふる 結び
- ヴァレリアン
- レッドスパロー
- ウィンストンチャーチル
4月
- 娼年
- リズと青い鳥
- 君の名前で僕を呼んで
- 名探偵コナン ゼロの執行人
- パシフィックリム アップライジング
- ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル
- レディプレイヤー1
- アベンジャーズ インフィニティウォー
- いぬやしき
- となりの怪物くん
- さよなら僕のマンハッタン
5月
- ラブドック
- さらば青春されど青春
- のみとり侍
- ピーターラビット
- ファントムスレッド
- ラプラスの魔女
- アイ、トーニャ
- フロリダプロジェクト
- 犬ヶ島
- ゴジラ 決戦機動増殖都市
- 孤狼の血
6月
- 友罪
- デッドプール2
- 万引き家族
- バーフバリ 王の凱旋
- レディバード
- ハンソロ
- ワンダー 君は太陽
- vision
今回は上記の65作品を対象として上半期ベストを選出します。
第10位:『ノクターナルアニマルズ』
いきなり昨年公開の映画を選出してしまいましたが、私が今年の1月に見たのですから、これはもう今年のランキングに入れさせてください。
トムフォード監督の『シングルマン』に次ぐ作品ですね。元々彼はファッションデザイナーなんですよね。そして映画監督もやっているという異色の経歴の持ち主です、ただ監督作品2作目にしてこのクオリティの映画を撮れるのは、もはや天才としか言えません。
彼の映画は「おしゃれ」なんですが、それだけではないんですよね。やはり「見られる」ものとしてのファッションを作り上げてきた人物ということもあって、映画の中でも常に視覚的な情報で我々に訴えかけてこようとします。だからこそ彼の映画には無限の解釈が生まれますし、奥が深いわけです。
映画『ノクターナルアニマルズ』は1冊の小説が劇中に登場し、そのフィクションの世界と現実の世界を行き来しながら、繰り広げられる愛と憎しみのサスペンスなんですが、瞬きも許されないほどの情報量が映像に組み込まれていて、その全てに意味があるように思えてきます。まさに我々が頭の中でこの映画をどう再構成するかと言うところに楽しみを見出すことが出来る傑作ですね。
第9位:『さよなら僕のマンハッタン』
この映画は、『500日のサマー』や『ギフテッド』の監督としても知られるマークウェブの最新作です。この監督は常に映画の中で崩壊と再生のドラマを優しく彩ってきましたが、今作でもそんな彼の視点が生き生きと反映されています。
それだけではなくこの映画は構成がとても見事なんですよね。作品の中にとんでもないギミックが隠されていて、それが作品の後半で分かるんですが、それを知ってしまうとどうしようもなくこの映画がもう1度見たくなります。
それを知った上で、登場人物の表情の1つ1つ、セリフのトーン、その細部までを見返してみると、1回目に見た時とは全く違った映画に見えてくるんです。
家族の映画であり、父と子の物語であり、そして何よりも『逃げないこと』の強さを讃える映画であります。ぜひぜひこの映画を2回ご覧になってみてくださいね。
第8位:『犬ヶ島』
ウェスアンダーソン監督が贈る新たなる家族の物語は、日本への愛が込められた素晴らしいアニメーション映画でした。ストップモーションで撮影された本作は、一体どれだけの時間と労力を懸けたんだというくらいに細部まで徹底的に作りこまれていて、映画を見ているだけでも視覚的な快感が尋常ではありません。
またウェスアンダーソン監督作品の系譜として見ても、彼が常にスポットを当ててきた「捨てられた存在」「軽んじられる存在」としてのアメリカ個人主義的家族観における子供の物語になっています。
加えて、この映画では日本語と英語の言語の違いが重要なギミックとして機能しています。日本語を話す人間と英語を話す犬たち。言語を超えて、心の奥深くで繋がっていくアタリ少年と犬たちの交流に少しユーモアを感じつつも、コミュニケーションの尊さを教えられます。
第7位:『アイドルキャノンボール2017』
これってAV(アダルトビデオ)じゃないの?と思われた方がたくさんいらっしゃると思います。確かにこの映画の中では○○○○を飲んだり、○○○を食べたり、ナンパして○○○をしたりといったAVさながらの描写が数多く登場します。
ただ断言します。これは断じてAVではありません。これは紛れもなく映画なんです。キャノンボールというAV監督たちがどれだけ女性にお近づきになれるかを点数制で競うゲームをするという趣旨の映画なんですが、この作品の中にはフィクションを超えたドラマがあるんですよ。
ただのゲームじゃなくて、自分のプライドとか人生とかそういうものを全部懸けて本気で何かと戦っている男たちの姿が映画の中に息づいているんです。
本当にしょうもない、しょうもない映画だなぁと笑いながら見れるんですが、気がつくと拳を握りしめて、映画の中の彼らを応援している自分がいることに気がつきます。全力で何かをやり通すことの素晴らしさを教えてくれる映画でもあります。
第6位:『万引き家族』
これはとんでもない映画でしたね。是枝監督がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した作品なんですが、もうここまで完成度が高い映画って日本映画では見られないと思います。というか近年だと他に例を見ないです。
私は映画を見た後にこのノベライズ版を読むことをおすすめしています。ノベライズ版は映画版でぼかした描写を明確に描いてしまっているので、解釈の幅が狭まってしまうというデメリットもあるんですが、このノベライズ版と映画を比べることで如何に是枝監督が映画監督として優れているのかがはっきりとわかります。
おそらくこのノベライズ版を並みの映画監督が映画化したとしてもこんなに評価される映画にはならなかったことでしょう。もう是枝監督って演出力に関しては世界でもトップクラスだと思いますね。『万引き家族』はそんな彼の演出力が極限まで高められた映画と言えるでしょう。
第5位:『ちはやふる 結び』
『万引き家族』を押しのけて今年の上半期の邦画で1番良かったのがこの小泉監督の『ちはやふる結び』ですね。まず評価したいのが原作のすごく広い範囲から要素を抜き取って来て2時間の映画にしてしまった圧倒的な構成力、そして元々2部作の映画の急遽決定した3部作目だったにもかかわらず、この出来栄えに仕上げてきた脚本力ですね。
映画館に今年複数回見に行った映画はいくつかありますが、5回見に行ったのはこの『ちはやふる結び』だけですね。それくらいもう自分の「好き」が溢れてどうしようもない映画です。
「青春を経験した全ての人に贈る」というキャッチコピーがつけられる映画ってたくさんあると思うんですが、この映画はそれだけではなくて「青春を味わえなかった人」にも刺さる映画になっているんですよね。そこがこの映画の素晴らしいというか、他の青春映画とは完全に別格の存在感を放っている理由でもあると思います。
この映画を見ずに今年の邦画は語れませんよ!!
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第4位:『ヴァレリアン』
現在セクハラ問題で糾弾されているリュックベッソン監督ですが、この映画はもうとんでもないの一言です。フランス映画史上最高レベルの予算がかけられ、そして興行的に振るわなかったということで何とも言えない結果にはなってしまったんですが、肝心の映画の内容はアメイジングですよ。
この映画のアートブックを購入したんですが、もう映画に登場していないような細部の細部に至るまで徹底的にコンセプトが錬られていて、設定も細かく作られています。だからこそ映画で見ることが出来た『ヴァレリアン』の世界って本当にごく一部分なんだなぁと思わされました。
映画を見る時に私はこういうブログを書いている性質上、いろいろと考えてしまうんですが、この映画は良い意味で何も考えずに、童心に帰ったような気持ちで映画の世界に没頭できました。この世界にもっと浸っていたいそう思えた映画だったように思います。
第3位:『ハンソロ』
ようやくあの”スターウォーズ”が帰ってきた。その懐かしさだけで涙が止まらない一作でした。ロンハワード監督は大の苦手ですし、正直ディズニースターウォーズにあまりノれなくて新作を見るたびに失望を重ねてきたため、この映画に対して何の期待も無かったんですが、そんな私の不安を見事に払拭してくれました。
もうメタ構造的に優れたスターウォーズって正直どうでもいいなぁって思い始めていた自分がいたんですよね。特に『スターウォーズ:最後のジェダイ』ってメタ構造的にはとんでもなくすぐれた作品ですが、単純に脚本の面でボロボロです。『ローグワン』も面白かったですが幾分暗く、重い内容でした。『スターウォーズ:フォースの覚醒』は論外です。
そんな中で純粋にワクワクできるあの頃のスターウォーズを思い出させてくれたのがこの『ハンソロ』でした。これが見たかった!!これが見たかった!!その思いでいっぱいです。しかも往年のファンへの目配せに終始しているわけではなくて、様々な面で革新性を秘めた作品であり、それでいて世界観を拡張し、深化させる映画にもなっています。
これがスターウォーズだ!!
第2位:『アランフエスの麗しき日々』
私の敬愛するヴィムヴェンダース監督の最新作ですね。私はこの映画を見た時に、これが映画の1つの完成形だなと確信したんです。映像の連続性によって物語を生み出すことに主眼を置く「イメージ」の映画監督ヴィムヴェンダースが旅路の果てにようやくたどり着いた映画の極致こそがこの作品なのではないかと思わされました。
この映画は1組の男女がパリの小高い丘の一軒家のテラスでひたすら会話をしているだけの映画なんですよ。確かにつまらないと感じる人も多いと思います。ただ映画と言うジャンルを突き詰めて、余計なものを全てそぎ落としたら私はこのような映画が出来上がるんだと思っています。
ひたすらに会話を映し出し、その映像の連続性が我々に無限のイメージを与えてくれます。シンプルな映画なんですが、そこに隠された映画的な豊かさは他の追随を許しません。
正直多くの人におすすめできる内容かと言われると、難しいです。ただこういう映画の形もあるんだということを、本作を見て知っていただけたらなぁと思いますね。
第1位:『15時17分、パリ行き』
クリントイーストウッド監督はキャリアの晩年に差し掛かってもなお、これだけ挑戦的な映画を世に送り出し続けるんですね。もうその姿勢だけで尊敬に値する映画人です。
この映画を見た時に、映画というジャンルのマスターピースを見たような気がしました。映画の源流にはフランスのリュミエールの日常の何気ない風景を映し出したシネマトグラフがあるわけですが、その楽しみ方というのは現実を追体験することで見えてくる日常の機微に気づくというところにあったんです。
この映画の中盤に差し込まれた旅の映像のシーンは多くの人が冗長で、退屈だと言っているような気がしましたが、むしろこれこそが本来の映画なんですね。ただ何気ない、それだけでは物語になり得ないような映像を連続的に続けていく。そしてその無意味だった映像があのパリ行きの電車の一幕へと繋がっていき、その全てに意味を付与する。まさに物語誕生の瞬間を映し出した映画と言えます。
どんな人生も映画的だし、誰の人生にも物語がある。そんな究極のテーマをこの上ない形で落とし込んだのがこの『15時17分、パリ行き』という作品です。
私の中ではここ5年間、いや10年間で最高の映画でした。
おわりに
いかがだったでしょうか。各作品の詳しいことについては添付してあるリンク先の方で読んでいただけたらと思います。この記事はあくまでも上半期ベストの発表がメインですので、短評に留めさせていただきました。
皆さんは2018年上半期に素晴らしい映画に出会えましたか?皆さんのベストランキングを見るのを楽しみにしております。
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
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