アイキャッチ画像:(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会
目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』についてお話していこうと思います。
本記事は一部作品のネタバレになるような内容を含む感想記事になります。作品を未鑑賞の方はお気をつけくださいますようよろしくお願いいたします。
良かったら最後までお付き合いください。
映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』
あらすじ
インテリアデザイン会社に就職した川奈つぐみは取引先との飲み会で、高校時代の先輩である鮎川樹と再会します。
彼はつぐみの初恋の相手でもありました。ただ高校生の頃の樹には既に彼女がおり、つぐみはその思いを告げる機会は訪れませんでした。
久しぶりの再会に胸を高揚させるつぐみでしたが、再会した樹は車椅子に乗っていました。
彼は大学生の頃に、交通事故に巻き込まれ、その際の脊椎損傷で歩くことができなくなっていました。
戸惑うつぐみでしたが、変わらない先輩の優しさにあの時告げることのできなかった思いが溢れ出してきます。
しかし、樹は自分という重荷を誰かに背負わせることはできないと、二度と恋をしないと自分に言い聞かせようとしていました。
障がいを抱えていることで多くの壁が立ちはだかる中で、2人は一体どんな決断をするのか?
スタッフ・キャスト
原作は有賀リエによる恋愛漫画「パーフェクトワールド」です。
現在単行本が第8巻まで発売されているようですが、完結はしていないようです。そのため映画と原作では異なる結末を迎えることになりそうです。
監督を務めるのは映画『流れ星が消えないうちに』でも知られる柴山健次さんですね。前作から考えると実に3年ぶりの新作ということになります。
脚本を担当したのは、映画『君の好きなうた』でも柴山監督とタッグを組んだ鹿目けい子さんです。
本作の主演を務めるのは「三代目J Soul Brothers」の岩田剛典さんですね。
『植物図鑑』で彼の演技を見た時は、実力的に未熟な部分を感じる点が多かったのですが、『去年の冬、君と別れ』を見た時に、そのイメージがガラッと変わった俳優です。
私が個人的に好きなのが、岩田さんの「空っぽの人間の目」なんですよ。これは『去年の冬、君と別れ』でもそうですし、今作『パーフェクトワールド 君といる奇跡』でもしばしば見ることができました。
窓の外を虚無感たっぷりの目で見つめている表情が素晴らしいので、その後に見せる愛らしい笑顔がまた映えますよね。このギャップがあまりにも凄いので、私が見た劇場でも女性ファンの方々が悲鳴にも似た声を漏らしていました。
本作『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の樹というキャラクターは常に他人への配慮を欠かさない優しいキャラクターなんですが、それを演じた岩田さんの舞台挨拶での立ち振る舞いが好印象でした。
決してトークが上手いとは言いませんが、それでもきちんと周囲の人のトークを聞いて、それに対してすごく気を使って話されているのが伺えました。
「人生で一番感動した瞬間」を発表する際に、岩田さんの直前に杉咲花さんが本作のクランクアップ時のエピソードを話していて、その後に岩田さん自身は「三代目J Soul Brothers」のオーディションに合格した時だと話されたんですね。
この時に、自分が映画に関係ないエピソードを挙げてしまったことを申し訳なさそうにしたり、杉咲さんを立てるような話しぶりをされていて、すごく周りの人を意識されているんだなぁということが伺えましたし、そういう人物だからこそ樹というキャラクターを演じていても「嘘臭さ」がないんだなぁと思いました。
そして、ヒロインのつぐみ役を演じたのが杉咲花さんですね。
個人的に杉咲さんって非常に童顔に見えるんですよね。ですので、彼女が20歳超えてますと言われてもイマイチ実感が湧かないですし、これからも彼女は「永遠の18歳」的な存在なんじゃないかと思ってしまう次第です。
ただ『BLEACH』の実写版を見ていた時も思いましたが、「芯の強い女性」を演じさせたら彼女はピカイチなんですよ。
本作『パーフェクトワールド 君といる奇跡』におけるつぐみというキャラクターも周りになんといわれようと、自分の樹への思いを貫き通そうとする「芯の強い」人物です。
そういう点でも、本作のヒロインは杉咲さんにぴったりの役と言えるでしょう。
そしてもう1人だけ触れておくとすれば、須賀健太さんですね。
子役時代のイメージがどうしても強い彼ですが、今も俳優として絶妙な演技で作品に華を添えてくれています。
今回彼が演じた是枝洋貴というキャラクターは、高校時代ファッショナブル陰キャで、大学デビューしようとしたけど上手くいかず、そのまま社会人になってしまったみたいな人物です(どんな人物だよ)。
須賀さんが持っている雰囲気がとにかく役にぴったりで、「こんな奴いるいる!」なんて気持ちで見ていました。
岩田さんのファン、杉咲さんのファンは見ておいて間違いない作品かと思いますよ。
そして主題歌を担当されたのがE-Girlsですね。曲名は映画のタイトルと同じ「Perfect World」です!
この楽曲は映画のためだけに書き下ろされたということで、歌詞が映画に寄り添った内容になっています。ぜひぜひエンドロールが終わるまで座席から離れずに、楽曲も併せて堪能してくださいね。
より詳しい映画情報は公式サイトへどうぞ!
感想:感動するけど、もっと過程を見せて欲しい・・・。
この『パーフェクトワールド 君といる奇跡』という作品のすごさを伝える時に、必ず語る必要があるのは、本作はほとんどすべてのシーンで「泣ける」「感動できる」作品であるということです。
もう上映中に嗚咽交じりの号泣がいろいろな方向から聞こえてくるレベルでして、劇場は騒然となっていましたよ・・・。私が座っていた列の方々もみなさん号泣号泣で、大変なことになっておりました。かく言う私もボロボロ泣いてました。
ただこのあまりにも「感動出来すぎる」構造って本作の長所でもあるんですが、同時に短所でもあると思うんですね。
皆さんは学校や会社で先生や上司にこんなことを言われた経験ありませんか?
「もっと結果を出してほしいんだよ、結果を。言い訳してないで、結果を出せ!!」
学業やビジネスの場では常に過程よりも結果が求められる傾向が強いですよね。結果ではなく過程を評価しようという機運も高まって来てはいるのですが、まだまだ結果至上主義は根強いです。
でも恋愛って本当に結果だけが大切ですかね?ラブストーリーって結果だけを見たらそれで満足ですか?
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』という作品は、とにかく結果、結果、結果を追求しているんですね。登場人物の心情の変化や関係性の変化といった過程をほとんど排除してしまっていて、感動的な場面をハイライト的に繋ぎ合わせている状態です。
ただとにかく「結果」を徹底的に打ち出している映画なので、結果至上主義のあなたの上司も思わず微笑んでしまうような内容だと思います。
「君もやれば出来るじゃないか!この調子で結果を出し続けてくれたまえよ!」
ただ、先ほども申し上げたように恋愛は結果よりも過程が大切なんです。ラブストーリーは2人が恋に落ちる心情の変化や漸次的な関係性の変化にこそ見所があるはずだと私は思っています。
そう考えていくと、やっぱり『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の結果至上主義的な編集のアプローチは恋愛映画として致命的な弱点にも成り得ると思われます。
2人の関係性がどう変化したのかという部分だけを見せるのではなくて、そこに至るまでのプロセスをもう少し丁寧に描いて欲しかったですし、関係性の変化をもう少し緩やかに見せて欲しかったと思いました。
恋愛においては「押しと引き」が肝心なんて言いますが、この作品はとにかく「感動シーンのごり押し感」が強すぎて、「溜め」の部分が弱すぎるんですよね。
ただ、ここまで全編にわたって観客を感動させてやろうという作りにしたのも、それはそれで面白いと思いましたし、アリかな?とも思ってしまった次第です。
こんな気分になる時って誰しもあると思います。そういう時は、あまり深く考えずに感動できる映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』はおすすめできます。
ぜひ劇場でご覧になってみてくださいね。
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解説:障がいを抱える人が認められるために
本作の主人公樹は、大学生時代に交通事故に遭ってしまい、その時の後遺症で車椅子生活を余儀なくされています。
その中で印象的だったのが、彼の建築士という夢へのひたむきな情熱なんですよね。
この映画を見ていて、依然にウーマンラッシュアワーのインターネット番組「The Night」にNPO団体「マイフェイス マイスタイル」の方々が登場していた回を思い出しました。
この番組の中で村本さんが『僕と世界の方程式』という映画作品を挙げられていたんです。この作品は自閉症を抱えた主人公ネイサンが国際数学オリンピックに出場するという実話をベースにした映画なんですね。
この作品に関して「マイフェイス マイスタイル」の方々のうちの1人が非常に興味深いお話をされていました。
それは障がいを抱えている人が活躍したというエピソードが美談のように語られていますが、障がいを抱えている人がそういう風に認められるためには普通の人(健常な人)の何倍も努力しなければならないという現状があるということなんです。
だからこそこの『僕と世界の方程式』という映画は、障がいを抱える人が特別なことをして認められる姿ではなく、当たり前のことをして当たり前の幸せを手に入れる物語を描いたという点で素晴らしかったという風に述べていました。
このお話を伺った時に、私の中で「障がい」を扱う物語に対する視点が180度変わったように思いました。まさに青天の霹靂のような言葉だったんです。
本作『パーフェクトワールド 君といる奇跡』における「障がい」の描き方も非常にその考え方に共通する部分があります。
樹が何か特別なことをして認められるでもなく、特別なことをしたからつぐみに愛されるわけでもありません。
ただ当たり前の「幸せ」を手に入れる、それだけの物語なんです。
「障がい」を扱うということはフィクションにとって非常にデリケートなので、難しいところはあると思うんですが、この作品は良い意味で肩の力を抜いている印象です。
ぜひこの作品をご覧になった後に、みなさまご自身でじっくり考えてみてください。
解説:この結末は本当にハッピーエンドなの?
私が個人的に気になったのは、本作の結末です。
普通に考えれば、詳細は伏せますが、皆さんの大方の予想通りのハッピーエンドということになるでしょう。
ただ私にはそうは見えませんでした。
人によっては何となく察しがついてしまうかもしれないんですが、ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』や『シェイプ・オブ・ウォーター』がふいに頭を過りました・・・。
この作品はハッピーエンドなのか?それともバッドエンドなのか?
この衝撃すぎる結末をぜひとも皆さまの目でご確認していただけたらと思います。
解説:本作のラストを勝手に深読み!(ネタバレ注意)
さてここからは作品のネタバレを一部含む形で、ラストシーンの検証をしていきたいと思います。
というか公式が特番でほとんどストーリーをネタバレしちゃってましたね(笑)
なおこの検証はあくまでも当ブログ管理人の個人的な見方なので、あまり参考にならないかと思います。
第1の謎:唯一の未回収伏線?
終盤の展開の中で、手術をすることになった樹。そこにつぐみが駆けつけます。
手術室の前で樹の家族と、彼のヘルパーが待機していたのですが、そのシーンで突然医師から母親が呼び出されているんです。
しかしこの映画の中では樹の母がなぜ医師から呼び出されたのかは結局分かっていません。
第2の謎:樹の快復シーンがない?
普通映画の中で手術のシーンが登場したのであれば、その後、病室で意識が戻るシーンを取り入れるのがセオリーですよね。
彼の手術は難しい手術で、助からない可能性もあると言われていたくらいですから必ずしも成功したとは言えないはずです。
それにも関わらず、映画『パーフェクトワールド君といる奇跡』では手術からの快復シーンは描かれることなく、突然高校の桜のシーンへとぶっ飛んでいます。
第3の謎:つぐみの桜の絵は叶わなかった願いの象徴?
本作の中で印象的なモチーフの1つとして挙げられるのが、つぐみが高校時代に描いた桜と体育館の絵です。
つぐみはこれを樹先輩にプレゼントしようとして描いたわけですが、結局その願いが果たされることはありませんでした。
つまり彼女の描いた桜の絵というのは、彼女の叶わなかった願いの象徴なんですよね。
3つの謎から見えてくるラストシーンの本当の意味?
普通に見れば、普通に見れば、この映画はハッピーエンドなんだと思いますよ。
ただ私にはどうしてもハッピーエンドに見えなかったんですよ。
まず、第1の謎。この時、母親が呼ばれたのはもしかすると、息子が助からなかったことを告げられたのではないか?という懸念が拭いきれません。とにかく回収されていないことが不気味です。
次に、第2の謎。この映画には樹が快復する様子を見せるシーンがないんですよ。ラストは病院でつぐみが手紙を読むシーンから唐突にあの校庭でのシーンに突入しています。
最後に第3の謎。ラストシーンのロケーションが桜舞い散る校庭なんですが、この場所というのはつぐみが絵を描いたあの絵の中の光景に近似しています。そう考えると、あのラストシーンもまたつぐみの「叶わなかった願い」なのではないかと想像できるんですよ。
ここまで解説すれば、私の言いたいことが何となく分かってきたのではないでしょうか?
そうなんです。この映画のラストにおいて樹は手術の失敗により命を落としていて、つぐみはそのショックから逃れるために「美しい夢」を見ているのではないかという可能性が考えられるんですよ。
つぐみは、樹が死んでしまったがために叶えることができなかった「体育館前の桜を見る」という願いを自分の夢の中で叶えてしまったのではないでしょうか?
あのシーンでつぐみのセリフの中に「夢の中の鮎川先輩は車椅子に乗っていました」というセリフがありました。ラストシーンでの彼ももちろん車椅子で登場です。
そう解釈していくと、「パーフェクトワールド」というタイトルの意味は、ちょっと恐ろしい意味にも思えてきます。
君が失われてしまった不完全な世界。そんな中で、つぐみは彼のいる夢の中の「完全世界」を作り出してしまったのでしょうか?
この映画を見て、皆さんがこの終盤の展開にどのような感想を持つのかが楽しみですね。
ぜひこの不穏さ漂う終盤の展開を劇場で見て欲しいです!!
おわりに
いかがだったでしょうか。
『センセイ君主』以来スイーツ映画の新作がなかなか公開されなかったので、久しぶりに栄養補給が出来た印象です。当ブログ管理人は珍しがられるんですが、少女漫画の実写化映画が大好物でかなりの数見ております。
参考:当ブログ管理人がおすすめする本当に面白い少女漫画の実写化映画はこれだ!!
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』は前半はコテコテの少女漫画プロットなのですが、徐々に「障がい」というものが作品の主題として見えてきて、きっと見終わった後に「感動した」という感情と共に、深く考えさせてくれる何かを与えてくれる映画だと思います。
ぜひぜひ劇場でご覧になってみてください。
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
私も今日観てきました。
確かに、あの手術って一体何の手術だったの?と終わってからもずっと疑問に思ってました。
2人の関係にかなり大きく左右した手術であったのに、その説明が「かなり難しい手術」だけでは…。
ラストについては素直にハッピーエンドと受け取れました。
高校時代には叶わなかった夢の象徴の桜と体育館。それを今、成就させたんだと。
ただ、ネタバレになりますが…「え?いきなり結婚?」とも思ってしまいましたけど。
岩田さん、作品に出るごとに力を付けられている気がします。
去年の冬、きみと別れは彼の代表作になってもおかしくないくらい素晴らしかったです。
友蔵さん、コメントありがとうございます!
この記事に書いたのは、あくまで自分の想像の世界なので、制作側の意図はハッピーエンドだと思います。
ただ友蔵さんも仰っている通りで、いろいろと唐突だったので、不可解さはありましたよね。
「去年の冬、君と別れ」素晴らしかったですね!あの映画で岩田さんの役者としてのイメージが変わりました(^^)
公開したのは先ですが、去年の冬、君と別れのほうがパーフェクトワールドより後に撮影したそうですね。実力派女優の杉咲花さんとの競演がとても良かったと思います。インタビューや舞台挨拶等いつも彼女を人柄が素晴らしく尊敬しているとおっしゃっていて、お互い褒め合い信頼しあっていて仲の良さを感じていました。
ショウさんコメントありがとうございます!
「去年の冬、君と別れ」の方が先だったんですね!
ということはあの作品での素晴らしい演技には、パーフェクトワールドでの演技も繋がっているということですか!なるほど!
貴重な情報ありがとうございます!
普段私は他人のレビューは読むだけで、このようなコメントを一度も書きたいと思ったことはありません。
ちょっと長くなりますが、それだけ珍しいことだと思って読んで頂ければ、と思います。
原作のコミックは未読ですので、映画限定で話を進めます。
感想は人それぞれなので、どう受け取って頂いても結構ですが、できれば感想を聞かせて下さい。
まず、最初に一読して感じたのは、やはり深読みのし過ぎではないか、というのが正直なところでした。
御指摘の通り回復シーンはありませんが、最後の結婚式のシーンまで割と自然に繋がっていると思いますし、
まあハッピーエンドと考えるのが一番妥当なのではないでしょうか。
でも私はこういう見方は嫌いではありません。想像を膨らませながら映画を楽しんでいるように思えます。
手術に関しても実は失敗していて全てはつぐみの妄想だという解釈もいいと思います。(私もよくやります)
それでもやはり流れから見ると、どうしてもそっちに持って行きたいのか、と思ってしまうのです。
ところが・・・、話はここから本題に入ります。
最後まで観ていて、実は私も引っかかった点が一つだけあったのです。
ここまで散々考え過ぎだ云々と言っておきながら今更と言われそうですが、それは最後の結婚式のシーンでした。
それに気付かなければ私も最後までつぐみの妄想説は考えすぎだと思っていたかもしれません。
しかし、このエンドロールの結婚式のシーンを見てハッとしたのです。結婚式の樹のネクタイを思い出して下さい。
どう思われますか。
私はこの樹のネクタイが黒というのが全てを語っているのではないか、と思えてならないのです。
もしかすると、結婚式の黒のネクタイに違和感を感じ100%あり得ない、と思ったのは私だけかもしれません。
しかし、ご自身のコメントで「つぐみの桜の絵」に関して、かなりのこだわりを持って第3の謎としている様に、
全く違う点ではありますが、私も気付いてしまってから、この樹のネクタイの色が気になって仕方がないのです。
ここで、私が辿り着いた結論を言うと手術失敗、つぐみの妄想説と同じように結婚式、実は葬式ではないか説です。
なんだ、結局同じ様な妄想じゃないのか、と思って頂いてももちろん結構です。
しかし、そう考えると今度は別なところも気になってきます。それが、タイトルです。
コメントの中に「君が失われてしまった不完全な世界・・・」とありましたが、私の解釈はちょっと違います。
いつの時代のどんな場合も完全な世界というのはあり得ません。例え、君が居ようが居まいが、です。
もし、そんな世界が存在するとすればそれは理想の世界、夢の中の世界だけです。
そう考えると、不完全な世界とは「君が失われてしまったから」ではなく現実の世界だからなのです。
つまり、パーフェクトワールドとはつぐみの「夢の中の世界」を言い換えた言わば同義語としての
「パーフェクトワールド」なのです。そして何故「夢の中の世界」が持ち出されなければならなかったのか。
それこそ言うまでもありませんが、敢えて言うのならその理由はただひとつ、君はもう存在しないから。
ただし、ここでちょっと紛らわしいのは君はもう存在しないから君のいる完全な世界を求めている、のではない
と言うことです。もし、君が存在するのならば不完全な現実の世界でもいい筈です。
しかし、君は存在しない。となれば、夢の中の完全な世界に君を求める他に手段はないのです。
だから、パーフェクトワールドとは夢の中の世界を言い換えた同義語としての「パーフェクトワールド」なのです。
そして、これこそ私の独断と偏見なのですが、タイトルを「パーフェクトワールド」にしたのは
映画としての仕掛け、言わばトリックなのです。
つまり、黒の蝶ネクタイをした樹の結婚式の真実に目を向けるならば「パーフェクトワールド」と言う題名そのものがつぐみの叶わなかった想いを表しており、実はそれこそが彼女の「夢の中の世界」パーフェクトワールドを暗示している、というのが私の結論ですが、如何でしょうか。
還暦のオヤジさんコメントありがとうございます!!
結婚式の黒い蝶ネクタイ!全然気がついてませんでした。また、そうだとすると私自身も少し違和感を感じます。
もちろんこの手の映画ですし、ハッピーエンドを志向した物語であることは分かるんですが、還暦のオヤジさんが指摘されたネクタイも含めて不可解な描写がありますよね。
「完全な世界」の解釈は同感でございます!
非常に興味深いご指摘と長文にわたる考察ありがとうございました!非常に参考になりましたし、また作品を見返してみたくなりました(^^)