みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね映画『ヴェノム』についてお話していこうと思います。
本記事は一部作品のネタバレになるような内容を含む感想・解説記事になります。
作品を未鑑賞の方はお気をつけください。
良かったら最後までお付き合いください。
目次
『ヴェノム』
あらすじ
悪を追及し、正義を希求するジャーナリストは人体実験の黒い噂が流れるライフ財団の代表ドレイクに取材をすることとなる。
その前日に彼は恋人であり、弁護士として働いていたアンのパソコンにライフ財団に関する重要な機密情報が届いていたことを知ってしまう。
正義に背くことができないエディは知り得た情報を、そのままドレイクに問いただそうとする。
すると取材は打ち切られ、エディはテレビ局を解雇され、さらには恋人のアンまでもが弁護士の職を追われてしまう。
この一件がきっかけで破局してしまった2人。
しかし、ライフ財団はエディの読み通り、地球外から持ち帰ってきた「シンビオート」という謎の生命体を使った人体実験を繰り返していたのだった。
ひょんなきっかけから研究所に侵入したエディ。
しかし、突然背後から女性に襲われてしまう。
目が覚めると、エディの体内に「何か」が入り込んでしまっていた・・・。
作品情報
本作『ヴェノム』の監督を務めたのは、ルーベン・フライシャーです。
この『ゾンビランド』という映画はとにかくおすすめです。超コメディ調のポストアポカリプスゾンビ映画なんですが、そのセンスがとにかくぶっ飛んでいます。
これを、見た人であれば『ヴェノム』の監督がルーベン・フライシャーだと知った瞬間にコメディ寄りのダークヒーロームービーになることはあらかた予測がついたことでしょう。
そもそもヴェノムがマーベルの映画シリーズに最初に登場したのがサム・ライミ監督の『スパイダーマン3』の時です。
プロデューサーのアヴィ・アラッド氏が自らの嗜好に基づいて半ば強引に出演させたとも言われている本作のヴェノムはほとんどアイデンティティらしきものが描かれず、非常に残念な仕上がりです。
その頃に既に『ヴェノム』の映画化プロジェクトは存在していたそうなんですが、当時は実現には至らずでした。
後に『アメイジングスパイダーマン』というリブートシリーズが始まり、この時に『ヴェノム』のプロジェクトも再始動するんですが、ご存知の通りリブート第2作目が興行的に大失敗してしまいます。
これにより再び『ヴェノム』の映画化が遠ざかってしまいました。
その後『スパイダーマン ホームカミング』の制作の動きが出てきたことで、『ヴェノム』は再び映画化に向けて動き始めます。
参考:【ネタバレあり】『スパイダーマン ホームカミング』解説:ヴァルチャーという稀有なヴィランの存在
そうなんです。ただ結果的にはソニー主導の独立したユニバースを形成する作品の1つという位置づけに落ち着きました。
そんな経緯を経て、2018年にようやく劇場公開の運びとなったわけです。
『ヴェノム』の映画化を待っていた人からすると感慨深いものがあるのやも知れませんね。
キャスト
本作の主演を務めるのは、今や人気俳優の1人となったトムハーディーですね。
『マッドマックス 怒りのデスロード』や『ダークナイト ライジング』、『ダンケルク』などの話題作に次々に出演しています。
Why the Heck Does Tom Hardy Keep Covering His Face In Films?より引用
さらに今作『ヴェノム』もまた顔が隠れるキャラクターですから面白いですよね(笑)
ちなみにトムハーディーは『ヴェノム』の大ファンだそうで、それが起用のきっかけの1つにもなったそうですよ。
本作『ヴェノム』のヒロイン的立ち位置に当たるアンを演じるのがミシェル・ウィリアムズですね。
個人的に今回映画を見ていて、すごく感じたことです。
ヒロインが似ているという点で、何となくピーターパーカーとエディブロックの存在が重なるというのも面白いですよね。ちなみに職業も似ています。
また本作のヴィランを演じるのがリズ・アーメッドです。
ジャーナリズムを扱っているという点で共通する点もある映画だと思いますので、良かったらご覧になってみてください。
何というか表面的には、好青年なのに正義感がねじれにねじれているというサイコなヴィランを絶妙に演じていて、個人的には素晴らしかったと思います。
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全世界で大ヒット!その理由とは?
映画『ヴェノム』は現在中国でも上映がスタートし、全世界興行収入が7億ドルに迫る大ヒットとなっています。
しかし、公開直後に出てきた批評家からの評価はかなり低いものだったと言えます。
北米の大手批評家レビューサイトRotten Tomatoesでも30%を下回る支持率となっています。
Rotten Tomatoesより引用
ただ見ていただけたら、お分かりのように観客からの支持率は87%と非常に高い水準になっています。
これは近年のMCU作品と比べても遜色ない、むしろ上回る評価と言えます。
確かに昨今ヒーロー映画は立て続けに公開され、北米興行収入ランキングの上位を常に獲得しています。
しかし、その一方でユニバース化が進行し、内容がどんどんと複雑になり、単体のヒーロー映画として楽しめる作品が少なくなっています。
そんな中で公開された『ヴェノム』はMCUからも独立しており、これまで公開されたスパイダーマンムービーを見ていなくとも楽しめる設計となっています。
そう考えると『ヴェノム』がこうして特大ヒットする結果になったのは、世間の「複雑化したヒーロー映画疲れ」の空気感を反映したものなのかもしれません。
00年代の空気感を有した、どこか懐かしさと愛嬌のあるヒーロー映画。それがこの『ヴェノム』なのかもしれません。
『ヴェノム』感想
バディムービーとしては最高!
(C)&TM 2018 MARVEL
公開前から『ど根性ガエル』だなんだと言われていた映画『ヴェノム』ですが、その噂に違わぬ王道バディームービーに仕上がっていたと思います。
バディムービーにおける2人の関係性ってもちろんいろいろあると思うんです。
例えば、2人が互いに全く異なる特性や人間性をもっていて、だからこそ互いにかけている部分を補い合うなんて関係性も王道の1つでしょう。
そして本作『ヴェノム』におけるバディの関係性は互いに似た特性や性質を持っているからこそ共鳴し合うものがあるという設定になっています。
それぞれの世界で「負け犬」扱いをされてきた2人がマイナス×マイナスはプラスだと言わんばかりに、強敵に立ち向かっていく様子が微笑ましくも、手に汗握る熱い展開だったと思います。
また先ほど本作『ヴェノム』のルーベン・フライシャー監督が『ゾンビランド』の監督であるという点を指摘しましたが、エディとヴェノムの掛け合いが非常にユーモアにあふれていて、ずっと見ていたいと思わせてくれるんですよね。
彼ら2人のコミカルな掛け合いをもうあと30分くらい見せてくれても良かったんじゃないか?というくらいに個人的には楽しませてもらいました。
また2人の(ヴェノムを数える単位が「人」でいいのか?(笑))出会いのシーンなんかもすごく意識して作られていますよね。
女性に憑りついたヴェノムがエディに乗り移ってきましたよね。
このシーンって冒頭にエディが自身のガールフレンドであったアンとの関係を終わらせてしまったことで一層際立っているように思えます。
『500日のサマーで』サマーにフラれた主人公がオータムに出会うが如く、エディはアンにフラれ、そしてヴェノムと運命的な出会いを果たしたわけです。
そう考えると『ヴェノム』はアクション映画やヒーロー映画と言うよりもラブストーリーなのかもしれませんね。
とにかくエディとヴェノムが形成するバディの物語としては最高に楽しめる内容でした。
全体的に駆け足すぎるような・・・
映画『ヴェノム』に個人的にどうしても感じてしまったのが、展開の軽さと尺の足りてなさ加減です。
基本的に展開が駆け足すぎて、特にヴィランであるドレイクなんかに関しては描写が不足している感が否めないです。
エディとヴェノムの関係性ももう少し掘り下げて欲しかった(もっと見ていたかった)ですし、後はヴィランの描写が薄すぎて、魅力に欠けています。
そんな中で唐突にラストバトルに突入していくので、いよいよ決戦だというのに全く手に汗握らないんですよね。
もう1つ大問題なのが、ヴェノムはラストバトルの前にエディに勝てる可能性はほとんど0だと告げていたにも関わらず、戦いのシーンを見ていてその言葉が沁みてこない点だと思います。
それにも関わらず、戦いにおいてエディたちが圧倒的劣勢であるという印象もあまり受けないですし、そもそもバトルの尺自体が短いので非常に「あっさり」としています。
似た者同士の「負け犬」バディが絶体絶命の状況に追い込まれながらも必死で這い上がり、何とかドレイクを打倒するという構図をもっと演出や見せ方でも際立たせてほしかったですね。
それもこれも全体的に駆け足すぎるがために、キャラクターの掘り下げが甘すぎたり、ラストバトル自体の尺が短すぎたりするという事態になっているわけですが。
『アントマン&ワスプ』が2時間以下の尺で、同じくコメディ調バディムービーとして出色の内容だったので、余計に『ヴェノム』の物足りなさは際立ってしまう印象がありますね。
女性キャラクターの描き方の巧さ
近年MCUは『アントマン&ワスプ』『キャプテンマーベル』、DCEUは『ワンダーウーマン』と女性のヒーロー映画に注力しています。
本作『ヴェノム』は一見そんな女性ヒーロー映画の流れを全面的に汲んでいる作品というわけではないのですが、サラッと巧みな描写で女性キャラクターを引き立たせているんですよね。
そもそもこの映画はエディという正義感が強く、不正を許さないことを使命とするも、どこか力不足な面が目立っていた人物が、ヴェノムという「力」と邂逅し、悪に立ち向かう姿勢を新たにしていくという物語と言えます。
1人ではどうしようもなかった彼と、ヴェノムが互いに協力し合うことで、強大な存在にも太刀打ちできるようになるというところが何とも熱いわけですよ。
では、本作においてアンというヒロインポジションのキャラクターの描き方に注目してみましょう。
彼女は弁護士という「正義」を追求する仕事についている人物です。
しかし、冒頭で彼女は「正義」を貫こうとした自分のボーイフレンドであるエディを突き放しているんですよね。
おそらく彼女は自分のパソコンに届いていたライフ財団の機密情報を裁判において持ち出す気はなかったでしょう。
それゆえに彼女はエディに対して過度な正義の追及よりも自らの保身をすべきだという旨の進言をしているわけです。
冒頭では正義を追求するはずの弁護士でありながら、その勇気がなかったアンが後半になり、ライフ財団と真っ向から対峙し、正義を希求しようとするエディのために尽力しようとする姿はまさしく彼女の成長なんですよ。
綺麗事であると言わんばかりに切り離したエディの行為に、危険を冒してでも協力しようとする姿は、物語の前半の極めて対照的に描かれています。
ヒロインポジション的役割に身を置いているアンという女性キャラクターの決断、成長、勇気をサラッと描いているところがこの映画の巧さだと個人的には思いました。
エンドロールが長すぎる?
そう感じた方は多いんじゃないかと思います。
どうやら『ヴェノム』のエンドロールはポストクレジットのシーンを含めて約16分あるようです。
これはこれまで最長のエンドロールとの呼び声の高かった『Xミッション』を上回る数字です。
ただ『ヴェノム』のエンドロールが長かった要因の1つは明らかに『スパイダーマンバース』の予告編のせいですし、いくら次回作だからといっても『ヴェノム』に関連性の薄い作品の映像を流すのはどうなのか?とは思いました。
近年のアメコミヒーロー映画は、エンドロールが終わるまでお楽しみに!というのがある種の定番となっていますが、『ヴェノム』に関しては全く不必要な映像を流していたように見受けられました。
そんなもん流す余裕があるなら、もう少し本編の上映時間を長くしてくださいよ(笑)
『ヴェノム』解説(ネタバレ)
ヴェノムを単独作で描く難しさ
今回、作品を見ていて一番痛感したのがヴェノムというダークヒーローを単独作で描くことの難しさです。
そもそもダークヒーローの定義自体が難しいところではあるのですが、個人的には正義のためというよりは私情や復讐感情、利害のために戦っていて、その行動が結果的に人々を救うことに繋がっているタイプのヒーローという風に解釈しています。
ヴェノムとエディの利害が一致している点というのは、映画版ではあまり色濃くは描かれていませんが、自分たちと同じような「弱者(負け犬)」を味方になることです。
一般的なヒーロー的存在は、正義感から「弱者」を守ろうとするはずですが、ヴェノムはどちらかというと私的な感情で動いていて、その自分たちと同じ境遇の存在を救おうとする行為が結果的に正義になっているというタイプとも解釈できます。
そういう点でヴェノムは王道のスーパーヒーローというよりは、ダークヒーローとして君臨するタイプのキャラクターと言えるでしょう。
そしてここでダークヒーローという存在を単独作で描くことの難しさが表出していきます。
原作では強いスパイダーマンへの憎悪を契機としてヴェノムが誕生する流れになっていますが、映画版のエディはただただジャーナリストとして正義を追求している王道のヒーロー的な存在になっています。
それでいて地球の滅亡を目論む敵との戦いを繰り広げたり、弱い者たちを守ろうとしたりと行動そのものは正義漢そのものと言えます。
そのため本作におけるエディとヴェノムってダークヒーローとしてはいまいちなんですよね。
というよりもダークヒーローとしてのアイデンティティが確立されていません。
そんな状況になってしまったのは、スパイダーマンの不在も祟ったのではないかと思います。
スパイダーマンは誰もが認める王道のスーパーヒーローです。
そんな存在がいるからこそヴェノムのような少し邪道な正義の希求の仕方を志向するキャラクターがダークヒーローと定義づけられるわけです。
しかし、映画『ヴェノム』にはそういうヴェノム&エディの存在意義を対比的に浮かび上がらせてくれるスパイダーマンのような存在がいません。
それが故に『ヴェノム』ってダークヒーロー映画というよりも、ただのヒーロー映画に成り下がっている印象を受けます。
確かにウィークポイントを考えていくと『ヴェノム』と『スーサイドスクワッド』には共通点があると思います。
この作品もせっかく犯罪者集団が自らの利害のために戦うというダークヒーローな題材なのにもかかわらず、メインキャラクターたちのあざといまでに「善人」な過去の描写を入れ込んでしまったりしたがために、こいつらそんなに悪くないじゃん・・・とがっかりしてしまうんですよ。
その点ジェームズガン監督の『ガーディアンズオブザギャラクシー』は巧いんですよね。
登場するキャラクターたちが全員犯罪者であるだけでなく、戦う理由も利害が絡んでいたり、自分たちの仲間のためだったりと絶対的な正義のために戦っているわけではないことが明確になっているので、王道のスーパーヒーローときちんと線引きができています。
『ヴェノム』に関しては日本版のポスターに「最も残虐な悪(ダークヒーロー)が誕生する」なんてキャッチコピーを入れておきながら、本当にただのヒーロー映画なんですよ。
だからこそ今回の単独作ではヴェノムという特異なヒーロー像をきちんと描き切れていない印象を受けました。
スパイダーマンのような絶対的なスーパーヒーローを登場させるか、カーネイジのような絶対悪を登場させるかすれば、もう少し「ヴェノムらしさ」を引き立てられたような気はしますね。
そうみたいですね。結果的に本編には登場せず、エンドロールクレジットの間に挿入されたシーンにてカーネイジは初登場になりました。
とにかくヴェノムという特異な存在を如何にして単独作の中で引き立たせるかという点に置いては、今回の『ヴェノム』は失敗してしまっているような印象を受けました。
R15指定にしなかったことによる縛り
もう1つ本作がダークヒーロームービーとして確立し得なかった理由が、やはりPG13指定(日本ではPG12指定)で公開してしまったからということになるでしょう。
R15指定にしてしまうと子供や子供連れの家族の動員を獲得できなくなってしまうので、興行的なリスクが生じてくるんですよ。
そのため多少描写に妥協してでもPG13で制作してしまった方が映画ビジネス的には成功する可能性が高いということになります。
『MEG ザモンスター』はサメ映画にもかかわらず中国市場を意識したためにPG13指定で公開され、映画ビジネス的な側面から見ると、大成功を収めています。
『ヴェノム』も公開前は誰もがR指定(日本ではR15指定)での公開になるだろうと予想していますが、蓋を開けてみるとPG13指定になっていました。
確かに劇中でヴェノムがやっていることって一応は残虐な行動だと思うんですが、その行動に残虐性を付与するだけの演出が施されていないので、ヴェノムが本作のキャッチコピーで書かれているような「最も残虐な悪」には到底思えないんです。
近年中国市場への進出を意識するがあまり、作品性を度外視してでもPG13に収めようとする傾向がハリウッド映画界に渦巻いているようですが、それが原因で作品の質が落ちては本末転倒ではないでしょうか。
ヴェノムがなぜ王道ヒーローではないのかという点をきちんと演出するためには、彼らの残虐性をきちんと引き立たせる必要はあったはずです。
ただ今作は興行的には大成功していますし、おそらく中国でも今後大ヒットすることとなるでしょう。
それでもやっぱりR指定有の『ヴェノム』が見たかったという思いは強いですね。
悪は易く、正義は難し
『ヴェノム』という作品は実に今の世の中を映しているように思います。
例えば、ライフ財団の恐ろしい実態に関する機密文書を握っておきながら、それを告発することができないというアンの姿は近年のハリウッドを席巻したMetooの流れを想起させます。
どれだけ自分が正しい主張をしているんだと思い込んでも、大きな力によって圧力がかけられてしまう。ハリウッド映画界でも権力者に性的な関係を迫られ、自らの夢のために泣き寝入りせざるを得なかった女優がたくさんいたわけです。
劇中でエディは人一倍正義感が強いキャラクターとして描かれていますが、街の売店で店員が強盗に遭っている様子を見ても、見て見ぬふりをしてやり過ごしていました。
このように正義というものを行使するという行為は非常に難しく、勇気が必要なんですね。特に自らの身に危険が迫る可能性がある場合はなおさらです。
そんな世の中に『ヴェノム』という作品は圧倒的劣勢にさらされ、危険が伴うとしてもそれでも立ち向かおうとする「負け犬」たちの姿を希望の物語として描きました。
人間は生きていく中で、正しくないと分かっていることをやらざるを得ない状況に直面することがあるでしょう。
そんな時にこそ人間の真価が問われるのでしょうし、1人で無理なら2人で、それでも無理なら3人で立ち上がり、正義を希求していかなければなりません。
また本作のエディとドレイクの対立構図というのは非常に興味深いものがあります。
というのもラストバトルにおいて2人はシンビオートという力でもって違う利害と目的の下で戦っています。
同じ力であってもその行使の仕方次第で正義にも悪にも成り得るのだという二面性を上手く演出したヒーローとヴィランの対立構造だったと思います。
VFXがすごい!!
最後に少しだけ触れておきたいんですが、映画『ヴェノム』におけるヴェノムのVFXってすごく難しかったんじゃないかと個人的には思っています。
(C)&TM 2018 MARVEL
そうなんですよ。ディズニーのアニメーション映画も近年の『モアナと伝説の海』なんかになってくるととんでもないレベルで液体の質感が表現されていましたが、VFX(CG)で液体の物質を表現するのはなかなか難しいタスクです。
さらにヴェノムというキャラクターは、鑑賞する我々が一目見ただけで恐怖と嫌悪感を抱くようなインパクトが必須と言えます。
そう考えると本作のつやつやとした粘膜のようなヴェノムのVFXというのはスタッフが研究に研究を重ねて辿り着いた形なのではないかと思われます。
ただその一方でアクションシーンのVFXは雑すぎて笑ってしまいましたけどね(笑)
凄いのかそうでないのかよく分からない作品です・・・。
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は映画『ヴェノム』についてお話してきました。
個人的にはヴェノムというキャラクターは結構好きでして、それだけに今回の映画版はあまりヴェノムの「特異点」を演出しきれていなかったような気がします。
というよりも単独作で描くこと自体が凄く難しい立ち位置のキャラクターなんですよね・・・。
エンドロール中に挿入された映像からも次回作をやるとすれば、カーネイジが確実にヴィランとして登場しますから、そうなってくるともう少しヴェノムらしさというものも出てくるんじゃないかと思います。
ヒーロー映画というよりは、バディムービーであったりラブストーリーであったりというコンテクストで楽しめる作品に仕上がっています。
そうなんですよ。これは個人的に評価しているポイントです。
というのも最近のヒーロー映画って基本的にユニバース化されていて、1本だけで純粋に見られるヒーロー映画って無くなってきているんですね。
サム・ライミ版の『スパイダーマン』が公開されていた頃って、そんな気風はまだなかったわけで、ヒーロー映画も他の映画同様1本完結が基本路線でした。
もっと言うと最近のヒーロー映画は現代社会の諸事象を反映させたり、脚本を複雑にしたりとかなり捻りを入れたり趣向を凝らす傾向も強いです。そういう作品がRotten Tomatoesで批評家から称賛されることもしばしばです。
ちなみに今作『ヴェノム』のRotten Tomatoesの評価は批評家支持率が30%を下回っています。
それも無理はなくて、この映画は実にシンプルで、捻りも少ない超王道ヒーロー映画です。
ただ、そういうド直球な作品だからこそ無性に「懐かしさ」みたいなものを感じる作品でもあります。
おそらくRotten Tomatoesでオーディエンス支持率が80%超になってるのも、近年のヒーロー映画の複雑化、ユニバース化につかれている人が多い証拠なんだと思います。
そういうアプローチで攻めてきたところはすごく好感が持てました。
あとエンドロールの後まできちんと映像があります!!席を立たずに最後まで見ましょう。
なんでそんな映像わざわざ流すんだという疑問はあります。普通に『ヴェノム』をシリーズ化するのであれば、それに絡めた映像を見せてくれた方が良かった気がします。
これ以上の愚痴は止めておきましょう。
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
いつも映画の感想ありがとうございます。
自分も今回のヴェノムはナガさんとほぼ同じ感想でしたね。
デッドプールぐらいノリノリでもよかったんじゃないかなーと思いました。
原作版ヴェノムを読んで、ゴア描写を期待してしまいました。
cgも所々微妙な部分があって、やっぱり低予算だったから、ちょっとショボくなってしまったんじゃないかなーと思います。
話が駆け足気味だったのは、上映時間もあると思うのですけど、そこら辺は同じぐらいの時間のアントマンの方が上手かったなーと感じております。
多分ロッテントマトで、低評価だったのはそれらの点があったからなんじゃないかと感じております。
作風がmcuより前のアメコミ映画みたいに感じました。
後、スパイダーマン3は本来ならヴェノムを登場させる予定はなかったんですけど、アヴィ・アラッドが無理矢理ねじ込んだ結果、あのイマイチなヴェノムが出来上がってしまったと推測しています。
ライミはそもそもヴェノムを登場させるつもりはなかったはずなので。
トッシーさんコメントありがとうございます!
アヴィアラッドさん!そうでした!ちょっとその辺りを曖昧に覚えてしまってました。ご指摘感謝です。
確かにアントマン&ワスプはコメディ調バディムービーなので、今作と似てますし、明らかに上位互換ですね。
ただユニバース化してヒーロー映画が複雑化するなかで、すごくシンプルなヒーロー映画を久々に見れたような気がしたので、そこは良かったかなぁと思います(^^)