(C)2018映画「ニセコイ」製作委員会
目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね実写映画『ニセコイ』についてお話していこうと思います。
本記事は一部作品のネタバレになるような要素を含む感想記事になっております。作品を未鑑賞の方はお気をつけくださいませ。
良かったら最後までお付き合いください。
実写映画『ニセコイ』
あらすじ
集英組(極道)の若頭である一条楽は、子供の頃に出会った少女と鍵とペンダントを交換しており、再会することができたならば、結婚するという約束をしていたのでした。
月日は流れ、楽は高校生になっていました。極道という血生臭い世界とそんな自分の境遇を嘆く日々。
そんなある日、楽は門をジャンプで飛び越えてきた金髪美少女に膝蹴りを食らわされます。
教室に向かうと、担任の先生から転校生が紹介されます。
なんとその転校生の少女「桐崎千棘」は、校門で楽に飛び蹴りを入れた少女だったのです。
その場でいがみ合い、一触即発状態の2人。
その夜、楽は組頭である父親から頼みごとを申し出られます。
というのも楽の家である集英組が、ギャングのビーハイブと抗争状態に発展してしまったというのです。
楽の父は、楽をビーハイブのボスの1人娘と(偽の)恋人関係にさせることで和睦を図ろうとします。
現れる少女。その正体はなんと転校生の桐崎千棘だったのです!
始まる2人の「ニセコイ」!!その行方は!?
スタッフ
さて、ここからは実写映画『ニセコイ』のスタッフ・キャスト陣についてお話していこうと思います。
そもそも『ニセコイ』という作品は週間少年ジャンプに掲載されていたラブコメマンガです。
原作は古味直志さんによって著されています。
まず監督を務めるのは、河合勇人さんですね。
この監督の作品で個人的に見たことがあるのが『鈴木先生』『俺物語』そして『チアダン』の3作品ですね。
漫画的演出を上手く実写映像の中で機能させていて、さらには脚本もしっかり作り込まれていたので個人的にはマンガ実写映画の中でもお気に入りの1本です。
『チアダン』に関しては、こちらもマンガチックな演出を多用しているんですが、昭和のコント感が漂っていて、作品に馴染んでいない印象を受けました。
河合監督の特徴としてはやはり「コント仕立て」の映画というところにあると思います。
確かに映画としては安っぽい劇伴の使い方や、効果音の挿入、編集の仕方なども目立っていて盛大にスベリ散らかしていることもあるんですが、『俺物語』のようにハマっている時もあって個人的には憎めない作風です。
そう考えると、実写映画『ニセコイ』はすごく河合監督らしい映画だと言えるでしょうか。
そして実写映画『ニセコイ』の脚本は、小山正太さんと杉原憲明さんが担当しておられます。
まず、小山さんは基本的にドラマ畑の脚本家というイメージですね。
映画としては、今年公開された『高崎グラフィティ』にて脚本を担当されているようです。
そしてもう1人の脚本担当である杉原さんは、菊池監督の『ディアーディアー』や湊かなえ作品の映画版である『望郷』などでも脚本を担当されています。
ちなみに実写映画『ニセコイ』は脚本面はかなり良かったと思うので、後々詳しく書いていきますね。
キャスト
実写映画『ニセコイ』で主人公の一条楽を演じるのはSexy Zoneの中島健人さんですね。
個人的には彼を見ると、昨年のクリスマスイブに1人で『未成年だけどコドモじゃない』を見に行った苦い記憶が蘇ってくるので辛いです(笑)
彼は生粋の王子様キャラクターということで、ライブなんかでも甘いセリフを恥ずかしがることなく口に出しているそうで、そんな彼だからこそ一条楽というキャラクターを演じても違和感が少なかったですね。
個人的には、かなりキャラクターに合っていた印象です。
そして実写映画『ニセコイ』のヒロインである桐崎千棘を演じるのが中条あやみさんですね。
河合監督作品に出演するのは『チアダン』以来2度目ということになるでしょうか?
当ブログ管理人、どうしても本作の中条あやみさんに言っておきたいことがあります・・・。
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おそらく女優さんの方でNGなんだと思いますが、邦画で髪色が奇抜なキャラクターが登場した時に眉毛だけが黒色のパターン多すぎませんかね?
金髪のキャラクターを演じるならば。そこまで徹底してほしいものです。
えっ!?そうだったの!!(笑)
じゃあこの違和感はむしろ原作そのままだったりするんだ・・・。
原作の千棘の再現度で言うと、見た目は20点くらいと思いますが、当ブログ管理人終盤は疲れなのか、目が慣れたのか分かりませんが、だんだん違和感を感じなくなってきました(笑)
池間夏海:小野寺小咲
おそら4人のヒロインの中では一番原作に近いイメージを出せていたと思います。
映画では今回初めて拝見しましたが、透明感があって美しかったです。
島崎遥香:橘万里花
何だかぶりっ子演技が板についている感じがして、個人的には嫌いではなかったです。
ただ、そもそも実写版では万里花の扱いが雑すぎるのが気になりました。
青野楓:鶫誠士郎
今回の実写版に関して言うならば、登場させる必要なかったのでは?とは思いました。
どちらかというと、最初から「女の子じゃん」って感じではありました(笑)
河村花:宮本るり
加藤諒:ゴリ沢
DAIGO:クロード
原作からの再現度が高いクロード (C)2018映画「ニセコイ」製作委員会
ビジュアル面で言うと、原作の再現度が95%くらいだったのではないでしょうか?
ただ、演技面でちょっと不安を感じさせる一幕も10回くらいありました(笑)
主題歌:ヤバイTシャツ屋さん
ボーカル(ギター)、ボーカル(ベース)、ドラムの構成で成り立つ3ピースバンドなんですが、非常に疾走感のある曲調でした。
主題歌の『かわE』は非常にこの映画の雰囲気に合っていました!
これ、実はサントラに収録されている「アコガレ」という曲なんです。
時折挿入される挿入歌もコミカルで面白かったです。
ぜひぜひ劇場でご覧になって見てください!!
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映画『ニセコイ』感想
全体的な脚本は良し
実写映画『ニセコイ』は大体原作6巻までの内容を引き算式に再構築した物語に、映画オリジナルのラストを加えたものになっています。
「ロミジュリ」のエピソードは原作の『ニセコイ』史上最も良く出来たエピソードの1つだと思っているので、ここを映画のクライマックスに持ってきた点はさすがだと思いました。
個人的に感じた映画『ニセコイ』の良かった点は以下の2つです。
- 「ニセコイ」というタイトルの意義を表現しようとしている
- きちんと映画としてのラストを描いた
まず、「ニセコイ」というタイトルの意義を表現しようとしているという点についてですが、それは「ロミオとジュリエット」をラストシーンに持ってきたことからも明白です。
冒頭に楽と千棘が家族の事情によって偽物の恋人関係になるんですが、そんな偽物の関係を続けていくうちに、いつしか2人は本物の恋心に目覚めていきます。
そんな家庭の事情を背負って、恋人関係を演じる2人というのは、どこか家庭の事情のために結ばれない運命にある『ロミオとジュリエット』を彷彿させます。
そんな2人が映画の終盤に文化祭で「ロミオとジュリエット」を演じることになるわけですが、劇の途中でオリジナルのプロットから脱線し、自分たちの物語を語り始めます。
「ロミオとジュリエット」という作品そのものはフィクションであり、虚構です。
楽と千棘はそんな虚構の殻を破ることで、初めて自分の言葉で相手への思いを口にするんですよね。
そしてラストでは、「ニセコイ」から始まった2人がきちんと結ばれて幕を閉じます。
原作ではこの後、ヒロインがどんどんと増えていき、さらには鍵を持っている女の子が乱発して物語がめちゃくちゃになっていきます(笑)
その点で、今回の実写版は「続く!!」的な感じで終わらせるものとばかり思っていたので、きちんと楽と千棘の物語として纏めてきた辺りは好感が持てますね。
Z級ララランド?笑ってはいけないラブコメ24時?
まああんまりオブラートに包んでいても伝わらないことが伝わらない気もしますんで、はっきりと書きますね。
個人的には、全く笑えない「笑ってはいけない24時」シリーズを見せられている気分でした。
とにかくコント仕立ての映画らしくない演出が冒頭から怒涛の勢いで投げ込まれるんです。
- 安っすい効果音の使い方
- 昭和のコント番組みたいな挿入歌の使い方
- 漫画のセリフそのまま読みました感
- 空回りするコミカル演技
正直かなりきつかったです・・・。
いや笑わせてくれていいんだからね?ケツ思いっきり叩かれていいんだからね?
なんて思っていたんですが、精神的には無の境地に達していて、危うく悟りを開きそうになりました。
ただ、後半になるにつれて、脚本の良さが出てきましたし、心が疲れたのか目が慣れてきたのか序盤はやたら鼻についていた演出も気にならなくなり、比較的安心して見られる内容でした。
とりあえず私から言えるのは、前半は耐えろ!!耐えるんだ!!ということくらいです。
まず、この2作品の物語的な共通点は「自分が自分の生き方を選択する」というところにあるでしょうか?
『ララランド』は夢追い人が、恋愛と夢の間に揺れながらも決断し、自分の人生を選択していくミュージカル映画になっています。
一方で『ニセコイ』は、親にきめられた「ニセコイ」の関係から自分たちの選択と決断で本物の恋愛関係へと辿り着く映画になっています。
その点で、物語としても2つの作品には共通解があると思います。
さらに言うと、実写映画『ニセコイ』にはすごく『ララランド』を意識したんじゃないかというシーンがあるんですよ。
1つ目が映画館に行くシーンですね。
ちなみに『ララランド』では「理由なき反抗」、『ニセコイ』では「冬のカナタ」(冬ソナのパロディ)をメインキャラクターの2人が見に行きます。
『ララランド』では、「理由なき反抗」を劇場で2人で見ていると、映写トラブルで上映が中止になってしまい、その後ミアとセブがグリフィス天文台(同作に登場)に実際に向かうことになります。
これがフィクションという虚構の殻を脱し、自分の言葉で人生を語っていくんだという2人の決意表明にもなっているという点が面白いですよね。
一方の『ニセコイ』でも映画館のシーンが登場し、2人は自分たちの見たい映画の間を取った結果、「冬のカナタ」を見ることになります。
面白いのが、楽が映画に触発されて、映画の真似をして千棘の手を取り、キスをしようとするんですが上手くいかないんですよ。
これはひとえに楽が自分の意志ではなく、映画という虚構や周囲にいる取り巻きたちの影響を受けての行動だったがために失敗しているんです。
ただ、『ニセコイ』にもきちんと「理由なき反抗」の役割を果たす作品が登場します。
まさしくその通りです。
楽と千棘は「ロミオとジュリエット」の物語やセリフを途中で脱線し、自分たちの言葉で物語を紡ぎ始めます。
このシーンがまさに実写映画『ニセコイ』における虚構からの逸脱の役割を果たしているのです。
- 小さな光が輝く、暗闇の空間で2人がキスをするシーン
- 夜景をバックにした「fin」の文字
映画『ララランド』のラストカット (C)2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
前者のシーンは、グリフィス天文台でセブとミアが踊るシーンに影響を受けているのではないでしょうか?
また実写映画『ニセコイ』のラストカットは、『ララランド』の「The End」の出し方に非常に似ています。
ということで当ブログ管理人的には映画『ニセコイ』は「Z級ララランド」みたいな映画だったという印象があったりします。
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漫画の実写化ではなく、実写の漫画化
漫画やコミックスの実写版として、最も成功していてかつ最も予算がかかっているのは間違いなくMCU(マーベルシネマティックユニバース)作品でしょう。
ディズニーが主体となり製作されているMCUでは、徹底的にアメコミの中のヒーローが我々の生きている世界と地続きの世界に存在しているように錯覚させるようなリアリズムを追求しています。
一方で日本で公開される「実写版」ってすごく否定的な意見が多い印象です。
というのも日本の漫画実写化映画って予算もアイデアも足りていないのに、原作の再現ばかりを求められて、その路線に寄せようとするので、結果的に「漫画の劣化版」を量産してしまうんです。
その辺りのバランスを上手く取りながら「漫画の実写化」を成功させた例としては、最近だとやっぱり福田監督の『銀魂』なんかは挙げられるでしょう。
これは徹底的に漫画の世界を実写ベースで再現しようとした結果生まれた映画です。その点で予算の都合上無理も垣間見えますが、良く出来た作品でした。
一方で、実写映画『ニセコイ』は「漫画の実写化」としては完全に失敗してしまっていると思います。
背景から完全に浮いているキャラクター (C)2018映画「ニセコイ」製作委員会
まず、漫画の世界観を実写に落とし込むという校正作業をした形跡が見られないので、その点で実写化としてはよろしくない内容です。
ただ個人的に思ったのが、今作って「実写の漫画化」的なアプローチで作られているんじゃないかという点です。
『ニセコイ』という作品は、コテコテの王道ラブコメでして、出だしから通学中にぶつかった女の子が転校生としてやって来て・・・なんてベタな展開で幕を開けます。
そんなコテコテのラブコメマンガを実写の世界でそのままやったらどうなるのか?という実験的な側面が垣間見えるんですよね。
だからこそマンガっぽいセリフや、演出、演技などは一通り作品から浮きまくっていますし、違和感が仕事をしすぎています。
ただ、漫画の世界で我々が「当たり前」に読んでいる世界が、実際にあったらこんなに荒唐無稽なんだぞ!!というイメージを突きつけられているような感覚すらあるんですよね(笑)
作中で楽のセリフの中にこんなものがありました。
『俺たちにとっては普通が特別で、特別が普通なんだ。』
個人的には実写『ニセコイ』のアプローチは嫌いではないです。
もちろん原作に思い入れがある方は受け入れられない部分も多いと思いますし、その気持ちはすごく分かります。
おわりに
いかがだったでしょうか?
もちろん実写映画『ニセコイ』に関して良くなかったところを指摘しようと思えばいくらでも挙げることはできますが、とりあえずは映画としてのクオリティが「Z級」であるという一言に集約しておきます。
積極的におすすめはしませんが、刺さるひとには刺さる映画にはなっているのではないでしょうか?
これから鑑賞する人へのアドバイスとしては、
に限ります。
ぜひぜひ興味のある方は劇場でご覧になって見てください!
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
はじめまして。いきなりのコメント失礼致します。
「橘万里」ではなく「橘万里花」ではないでしょうか?
ふたばさんご指摘ありがとうございます!
誤字でした。修正いたします!