(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
目次
はじめに
みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね『マスカレードホテル』についてお話していこうと思います。
本記事は作品のネタバレになるような要素を含む感想・解説記事になります。作品を未鑑賞の方はお気をつけください。
良かったら最後までお付き合いください。
『マスカレードホテル』
あらすじ
東京で突如として、予告連続殺人事件が起こる。
既に3件の殺人が起きており、その現場には共通して謎の暗号が残されていた。
警視庁は苦心しながらも暗号の解読に成功し、4件目の殺人が起こる場所を突き止めることに成功する。
暗号の指し示す場所は「ホテル・コルテシア東京」という高級ホテルだった。
警視庁はそのホテルにフロントクラークやベルボーイに扮した警官を配置することを決定する。
捜査一課の刑事である新田浩介は帰国子女であり、英語が堪能であるということからホテルのフロントクラークとして任務に就くこととなる。
そして、そんな新田の教育係に任命されたのが、ホテルでも優秀なフロントクラークとして知られる山岸尚美でした。
警察は「人を疑う仕事」、ホテルスタッフは「お客様を信じる仕事」という仕事の特性の違いもあり、当初は反りが合わない2人。
しかし、共に行動するうちに少しずつ相手の考え方や行動原理を理解していき、信頼関係を気付いていくこととなります。
徐々に警察の捜査も進んでいき、それと並行してホテルでも不審なことが起こり始める。
そしてホテルで結婚式が行われるある日、ホテルは超厳戒態勢が敷かれ、完璧な犯人包囲網が作られるのだが・・・。
キャラクター
新田浩介(木村拓哉)
警視庁で優秀な成績を収め、30代半ばにして一目置かれる存在となっている刑事。
精悍な顔つきをしているものの、少しだらしない素振りが目立ち、言葉遣いも不愛想である。
ホテルのフロントクラークとして潜入捜査に携わることとなり、気乗りしない様子を見せる。
ホテルマンを演じなければならないにも関わらず、やって来る客に鋭い目つき(疑いの眼差し)を向けてしまうため、たびたび山岸に指摘を受けている。
推理力も一流で、警視庁の犯人特定が一向に進まないことに痺れを切らし、独自に捜査を進めるなど、刑事としての情熱は強く感じられる。
優秀な刑事なんだったら、その辺りのコンプライアンスもしっかりしてくれよな!!って感じではありました(笑)
ただ、この手のミステリーは内部情報をベラベラと喋ってくれるキャラクターがいないと成立しないので、作品には欠かせない「口軽」要因ではあります。
もう映画のキャストは知っている状態で呼んだんですが、おそらく映画化が決まっていない時に読んでいたとしてもこんなのキムタクしかいないじゃん・・・と感じていただろうと思います。
とにかく新田というキャラクターはキムタク過ぎます。
年齢こそ新田の方が若いですが、たたずまいや雰囲気、言葉遣い、性格等の様々な要素が、どれをとってもキムタクが演じたら最高だろうなぁというものに仕上がっています。
東野圭吾さんもこのキャラクターを描くにあたって、映画化されたらキムタクにやってもらおう・・・と思ってたんじゃないでしょうか?(笑)
山岸尚美(長澤まさみ)
「ホテル・コルテシア東京」にてフロントクラークを務める女性。優秀なホテルマンで一目置かれる存在である。
おそらく年齢は新田と近い30代。(婚期を逃した三十路と推測されている。)
新田の教育係を務めることとなり、当初は不愛想で疑い深い彼に手を焼く。
新田とは対照的に、お客様を徹底的に信じる、ホテルのルールはお客様次第という信条を持っており、全く相いれない様子であった。
しかし、信じるだけでは、上手くいかないこともある、逆に疑いを持つことで上手くいくこともあるんだということを新田と主に過ごす中で学び、徐々に信頼関係を築いていく。
本当にこれなんですよね・・・。とにかく彼女のセリフにいろんなヒント散りばめられすぎです(笑)
彼女もこの手のミステリーには欠かせない「一見関係がないけど実はめちゃくちゃ関係のある情報提示する奴」ですね。
まあ、山岸のキャストはクール系の女性を上手く演じられる女優であれば、たいていイメージからは外れることはないと思いますし、長澤まさみさんであれば、間違いないでしょう。
その他キャラクター(キャスト)
能勢(小日向文世)
品川警察署の刑事。いかにも仕事ができなさそうな風貌をしているが、刑事としての能力は高い。
新田に頼まれると、捜査に出向き、貴重な情報を持って現れる。
藤木(石橋凌)
「ホテル・コルテシア東京」の総支配人。
学生時代にこのホテルを訪れた山岸は彼に憧れ、ホテル業界を志すようになった。
高山 佳子(前田敦子)
「ホテル・コルテシア東京」にて結婚披露宴を行う予定の女性。
しかし、式を目前にして不審なストーカーに付き纏われている。
他にも豪華キャスト陣が集結していますね!!
- 濱田岳
- 前田敦子
- 笹野高史
- 髙嶋政宏
- 菜々緒
- 生瀬勝久
- 宇梶剛士
- 橋本マナミ
- 田口浩正
- 勝地涼
- 松たか子
- 渡部篤郎
原作を読んでいると、あの予告を見て、何となく犯人役が誰なのかは察しがつきます。
一体犯人役のあの方がどんな演技を見せてくれるのかが個人的には楽しみです!
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映画スタッフ
さて、最後に少しだけ映画版『マスカレードホテル』のスタッフ陣もご紹介しておきましょう。
監督を務めるのは鈴木雅之さんですね!
違います!!(笑)
同じ名前ですが、『マスカレードホテル』の監督の鈴木雅之はティアドロップの人ではありません!!
『世にも奇妙な物語』の監督としても有名で、テレビドラマの監督・演出として徐々に知名度を上げた人物です。
また『プリンセストヨトミ』や『本能寺ホテル』の監督としても有名ですね。
ただ、ドラマそして映画版の『HERO』を監督した人物でもあり、キムタクを主演に据えた作品の撮り方は心得ている人物だと思います。
その点では、安心して見れるのかなとも思います。
脚本には映画『ライアーゲーム』シリーズや『信長協奏曲』の岡田道尚さんが参加しています。
劇伴音楽には、私の大好きなアニメ『交響詩篇エウレカセブン』でも知られ、近年は実写映画の劇伴もしばしば担当されている佐藤直紀さんが参加しています。
より詳しい作品情報を知りたい方は公式サイトをご参照ください。
『マスカレードホテル』感想
ミステリーとしてはコテコテ
(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
本作『マスカレードホテル』は一応ジャンルとしては「ミステリー」になるんですよ。
東野圭吾さんってミステリーやサスペンスで有名になった小説家だと思います。
東野圭吾さんって有名な作品は大抵ミステリー作品でありながら、ドラマ部分が注目を集めていることの方が多いように思います。
最近映画化された『ラプラスの魔女』や本作『マスカレードホテル』もミステリーとしては「コテコテ」でして、トリック云々はあまりありません。
ただ、デビュー作の『放課後』や『学生街の殺人』、『仮面山荘の殺人事件』などトリック志向のミステリー作品も多く世に送り出していて、やはり本格ミステリー作家としても評価されています。
そういう点で、東野圭吾作品には、本格ミステリー作品とミステリーに伴うドラマを楽しむ作品があるように思いますが、『マスカレードホテル』は後者に分類されると思います。
さらに言うと、映画版は原作以上にミステリー要素が薄いです。
どう考えても怪しいですもん(笑)
映画版は原作以上にミステリーに割く時間のウエイトが低かったように思いますし、犯人が事前に出回っている情報と映画の序盤30~40分ほどでほとんど分かってしまうんですよね・・・。
まあミステリー要素を減らして、事件の内容や捜査の内容がいまいち分かりにくかっただけに、犯人が分かりやすくなったことでバランスが取れたという言い方もできるかもしれません。
そんな具合に『マスカレードホテル』はミステリーとしてはそんなに期待できる内容ではありません。
では、本作の見どころはどこになるのでしょうか?
それが次にお話するメインキャラクター2人の関係性ということになります。
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木村拓哉と長澤まさみのバディ
(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
本作のメインキャラクターである刑事の新田とフロントクラークの山岸を演じているのは、木村拓哉さんと長澤まさみさんです。
お二人とも映画にもドラマにも引っ張りだこの俳優ですので、名前を知らないという方はほとんどいらっしゃらないかと思います。
本作『マスカレードホテル』というのは、先ほども書いたように基本的なミステリー部分は「よくある」展開と内容です。
そう考えた時に、本作の魅力として挙げられる最たるものは、やはりメインキャラクター2人の関係性にあると思うんですね。
ホテルマンと刑事という相反する職業に就く2人が、連続殺人が予告されているという緊迫の状況下でバディとなり、お互いを理解しあっていくというプロセスは『マスカレードホテル』という作品をただの「ミステリー」以上のものにしています。
そしてそんな作品の要とも言えるメインキャラクター2人を演じるのが、木村拓哉さんと長澤まさみさんというわけですね。
木村拓哉さんと言えば、ジャニーズ随一の人気俳優です。
先日「モニタリング」というテレビ番組の再放送を見ていると、木村さんが勝地さんの「俳優辞めたい。」という相談を受けるというドッキリが放映されていました。
まあテレビ番組なので、ある程度台本等はあるんだとは思いますが、その際に木村さんがこんなことを言っていたんです。
「自分だって言われる。何を言ったって『キムタク』だもん」「つらいのはみんなつらい。つらくない人なんていないよ、絶対。」
SMAP解散の騒動の際も、「裏切り者」「ユダ」と批判を散々浴びた彼ですが、それでも俳優としての「キムタク」はブレることはありません。
特に2018年に公開された『検察側の罪人』は「キムタク」復活を印象づける内容だったように思います。
公開当時のインタビューを読んでみましょう。
沖野&松倉の聴収シーンについてこんなエピソードも飛び出した。「前日に、木村さんが『明日、やりたいようにめちゃくちゃにやってきていいよ』とメールをくれたんです。当日も『楽しみにしてるね』と。自分が稼働してない日のスケジュールも把握されていて、多分僕だけじゃなく、やっしー(八嶋智人)や松重さんにもメールしているはず。現場にいなくても『よし、ちゃんとやらなきゃな』と常に思わせてくれるんです。」
二宮和也が語る木村拓哉という存在より引用
木村さんってこれまでも『HERO』や『無限の住人』など、どの映画でも主役を張ってきた俳優です。
また「ブレない」という点では、『検察側の罪人』にて木村さんが演じたキャラクターって原作では前半は勝ち誇っているんですが、後半はどんどんと追い詰められて最終的には「闘い」に敗れるという設定なんです。
ただ映画版で、木村さんが演じるとそんなプロットまでもが影響を受けてしまいました。
というのも原作では「敗北」を突きつけられるはずのキャラクターが全然「敗北」しない、それどころか「勝利」の臭いすら漂わせていました。
作品としての是非は置いておいて、こういうところに木村拓哉さんが俳優として自分のキャラクターを持っていて、それを絶対に見失わない素晴らしさがあるんだなと感じさせられます。
『マスカレードホテル』では、ぶっきらぼうながらも確かな嗅覚を持つ刑事の新田を演じています。
刑事としての心情を心に抱き、決してホテルマンには染まらないんだという意志を見せつつも、山岸との関わりの中で少しずつ「信じること」の大切さを学んでいきます。
そんなキャラクターだからこそ木村拓哉さんにすごく似ているキャラクターだと個人的には感じました。
確固たるブレない自分を持っていて、それでいて他人を受け止める懐の深さがある。
「キムタク」という俳優の持つ特性がこんなに生きる役もなかなかないのではないでしょうか?
そしてそんな木村拓哉さんとバディを組んだのが長澤まさみさんです。
彼女の役者としての特性に関して『嘘を愛する女』の際のインタビューで高橋一生さんがこんなことを述べていました。
Q:桔平役をつくる上で、相手が長澤さんだからこうなったと思える部分はありますか?
高橋:ええ。長澤さんのお芝居のつくり方として、芯の強さみたいなものが役柄ににじみ出ていると思うんです。そこに感化された部分はあると思います。そういう由加利に対し、桔平がこういう在り方だと女々しく見えてしまうかもしれないとか。そこは上手くバランスを取りながら。そういうことは感覚的に、反射としてやっていたと思います。
長澤さんって、確かにすごく「芯の強さ」を感じさせる役者像を持っています。だからこそ山岸の様なキャリアウーマンの役は間違いなく似合います。
そう考えると、木村さんと長澤さんはどちらも「芯が通った」俳優でして、まさしく劇中の新田と山岸のように反りの合わない関係性と言えるでしょう。
その一方で、長澤さんは『散歩する侵略者』や『嘘を愛する女』といった近年の作品でもそうですが、向かいあうキャラクターの影響を受けて、自分のキャラクターを変化させていくという演技も巧いんですね。
その点で、山岸という新田の存在に振り回されながらも、その影響を受けて少しずつ自分を変化させていく役どころは最適と言えるのではないでしょうか?
メインキャラクター2人の関係性が命とも言える作品で、きちんとキャラクターに適した配役が施されているという点は、映画『マスカレードホテル』のストロングポイントでしょう。
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『マスカレードホテル』解説
ホテルという舞台設定
本作『マスカレードホテル』において重要なのが「ホテル」という舞台設定です。
「マスカレード」という言葉には「仮面舞踏会」「虚構」「見せかけ」という意味があります。
それはまさに「ホテル」という舞台装置を的確に表現する言葉と言えるでしょう。
ホテルという場所は宿泊施設であるわけで、宿泊する際には自分の名前や住所、連絡先等の情報を記入した上で数日間滞在することとなります。
ただ、この個人情報は必ずしも「真実」かと聞かれると、そうではない可能性もあります。
そこが今回の『マスカレードホテル』という作品の面白さにも繋がってきます。
やって来る人は「仮面」を被っている可能性があって、それでもホテルマンの立場として「お客様」として信じなければならないわけです。
信じるのか、疑うのか。
そしてここで刑事とホテルマンというある種の対照的な特性の職業に就くキャラクターが生きてきます。
刑事である新田は常に人を見る際に「仮面」の存在を疑い、人間の本性を暴こうとしてきました。というよりもそれが刑事の仕事です。
一方で、山岸はホテルマンとして「仮面」を被っていることも承知で「お客様」として全幅の信頼を置いた上で、人を受け入れ、もてなしてきたわけです。
つまり、「仮面」を引き剥がして剥き出しの本性に迫る前者と、「仮面」の存在を知りつつもそれも含めて受け入れるという後者では全くもって特性が異なるんですね。
そんな相反する2人がバディとなり、連続殺人の捜査を進めることとなるというのが何とも面白いんですよね。
信じるのか?
それとも疑うのか?
新田は常に人に対して、疑いの目を持って行動してきましたが、「信じる」ことでしか得られないものもあるということを思い知らされます。
対照的に山岸は、人を信じるだけでは、上手くいかない事態に直面します。
2人が自分のこれまでの生き方では解決できないような問題に直面しながら、少しずつ自分を変化させ成長していく姿は、やはり『マスカレードホテル』の見どころです。
カフカがこんな名言を残しています。
『人間を吟味せよ。疑う者には疑わせ、信じるものには信じさせよ。』
人間と人間が関わり合う中で100%信頼し合うなんてことは、ほとんど不可能に近いと思いますし、常に相手が「仮面」を纏っている可能性は脳裏をよぎります。
ただそれって当たり前のことなんだと思います。
相手を妄信的に信じる必要もありませんし、逆に徹底的に疑う必要もありません。
人と人が関わる時に大切なのは、信じることと、疑うことの先にあるまさに「吟味する」という咀嚼ができるかどうかなのではないでしょうか?
100%信じるのでは、相手を理解できませんし、逆に最初から100%疑っていたのでは、同様に相手を理解することはできません。
「信じることは大切」なんだ!!と声高にメッセージを発する映画作品は数多く存在しています。
ただ『マスカレードホテル』が描こうとしたのは、「信じること」も「疑うこと」もその両方があって初めて人と人の関係は成立するんだということでした。
『マスカレードホテル』という作品を通して、新田と山岸が辿り着いたのは、おそらく1つの同じゴールなのでしょう。
ペーパーウェイトとロゴマーク
映画『マスカレードホテル』においてペーパーウェイトというモチーフは非常に重要でした。
冒頭から彼女がホテルの部屋に入った際に、必ずペーパーウェイトのロゴが正位置になるように調整していました。
一方の新田はそのロゴの向きなんかには無頓着で、気にする素振りもなく置いていたことが、彼が英語のキーボード入力を託されたシーンで明白にされています。
しかし、彼はホテルマンとして成長していくにつれて、そういった細かな気配りの重要性に気づいていくわけで、ロゴが正位置になるようにペーパーウェイトを置くという行為の意義にも気がついたはずです。
だからこそ彼は最後の最後で山岸が監禁されている部屋に気がついたんでしょうね。
このようにペーパーウェイトというモチーフは単に新田の成長や山岸のパーソナリティを示すためだけのものではありませんでした。
きちんとミステリー要素のキーアイテムにもなっているわけですね。
そしてこのペーパーウェイトにも印字されている「ホテルコルネリア東京」のロゴに要注意です。
(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
ホテルコルネリアですので、「H」と「C」のイニシャルがあしらわれていると思いますよね。
ただ見方を変えるとこのロゴには「K」と「Y」のイニシャルも隠されているんです。
そう考えると、「片桐瑶子」という人物の名前を暗示していたようでもありますよね(強引ですが…)。
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『マスカレードホテル』徹底解説(ネタバレ注意)
先ほども書きましたが、映画『マスカレードホテル』のミステリーパートって原作からかなりウエイトが下がっているので、非常に分かりにくい部分が多いんですよ。
ここでは、本作の事件の概要をざっくりと整理しておこうと思います。
第1の事件
- 日時:10月4日
- 場所:品川(品川シーサイド駅付近)
- 殺害方法:絞殺(鈍器等も使用)
- 被害者:岡部哲晴(会社員)
第2の事件
- 日時:10月10日
- 場所:千住新橋
- 殺害方法:扼殺
- 被害者:野口史子(主婦)
第3の事件
- 日時:10月18日
- 場所:首都高速中央環状線の葛西ジャンクション
- 殺害方法:撲殺
- 被害者:畑中和之(高校教師)
そしてその現場全てに次の犯行現場を指し示す経度と緯度を導き出す暗号が置かれていたということで、連続殺人の可能性が示唆されていました。
まず事件解決に向けての争点になったのが、第1の事件の際の被疑者にアリバイがあったことです。
第1の事件アリバイ
井上浩代と本多千鶴の2人は、事件の在った夜に一緒に過ごしていて、さらに事件への関与も疑われる男手嶋正樹と電話をしていたというアリバイがあり、警察は切り崩すことができませんでした。
第1の事件アリバイのギミック
手嶋と本多の関係性は元恋人同士でした。
そこを利用して、井上は本多に元カレである手嶋に電話するように勧めたわけです。
そしてここから通話履歴を残すためのギミックが発動します。
- 井上は本多の携帯に登録されている手嶋の電話番号を犯行現場からも繋がるものに書き換えた。
- 2人が通話を終えた後、隙を見て井上は本多の携帯の手嶋の番号を元の自宅番号に戻し、その状態で発信する。
- 最初に本多と手嶋が話した際の通話履歴を削除する。
そしてここから事件が同一犯による連続殺人ではなく、それぞれに単独犯が存在する殺人事件であるということが判明しました。
4人の犯人たちはインターネット上で知り合い、x1・x2・x3・x4を名乗り、メールのやり取りをしながら、殺害の計画を進めていました。
不可解なポイント
- 4人の犯人の殺害方法や凶器がバラバラである。
- 4人のうち3人は足がつかないようにネットカフェ等からメールを送っているが、x2のみは自宅のパソコンを使用していた。
そしてそこから新田が導き出した結論が以下のものでした。
事件の真相
- x4はx1~x3の事件が連続殺人であるかのように見せかけつつも、単独犯による犯行だと解明されることも気にしていない。
- x4はx1~x3による殺人に、自分の事件を混ぜることで、もう一件の殺害を隠蔽しようとした。
つまり自分はハナから2つの殺人事件を計画していて、そのうちの1つを他の連続殺人に混ぜ込むことで、2つの事件が繋がらないように仕向けたということですね。
そして作品の終盤に真犯人が判明することになります。
真犯人(x4)の正体とは?
- 冒頭にやって来た盲目の老女(片桐瑶子)に扮していた長倉麻貴
- 冒頭でホテルにやって来たのは、山岸を殺害するための下見だった。
- 1年前に自分のお腹の中の子供の父親である男(松岡)に会うためにホテル・コルテリアを訪れたが山岸に追い返された。
- 仕方なく冬の寒い時期だったが、ホテルの前で待機することとなり、それが原因で流産してしまった。
- 既に松岡を薬物殺害しており、山岸を殺害することで復讐を果たすはずだった。
こういう経緯で事件が展開していき、犯人が明らかになっていったのが『マスカレードホテル』という作品です。
映画版では、捜査の初期段階の情報がほとんど提示されなかったので、あまり謎解き的な楽しみ方は出来なかったのではないかと思います。
さんまさんはどこに出演していたの?
(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社
以前に「さんタク」の中で『マスカレードホテル』へのカメオ出演を明かしていた明石家さんまさんは、なんと元奥様の「大竹しのぶ」さんを彷彿させる「大竹」という名字で出演されていました。
かなり映画を見た人の間でも話題になっている案件です。
当ブログ管理人も鑑賞前に、絶対に見つけてやるぞ!という気持ちで望み、「そうじゃないかな?」と思える人物を発見することはできましたが、100%確信したとは言えません。
ただ、「さんタク」の映像で、長澤さんと木村さんがラストの事件後に再会した時の服装だったので、出演していたのは本当に最後の最後だと思います。
一瞬だけではありますが、終盤の新田が捜査を終えた後に再びホテルにやって来るシーンで、フロントにてハットをかぶった男性が宿泊手続きをしている姿が映し出されます。
これがおそらく明石家さんまさんでしょう。
皆さんは明石家さんまさんの登場シーンについてどう思いますか?間違いなく見つけたぞ!という方は良かったら教えてください・・・。
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おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は『マスカレードホテル』についてお話してきました。
正直ミステリーとしては全然面白くないんですよ・・・(笑)
犯人の動機もただの逆恨みというか、そんなの自分が悪くないか?レベルの内容ですし・・・。
謎を解くヒントもわざとらしく登場人物に喋らせますし、推測が都合よく当たりまくって真相に辿り着いてしまった感もありまして、ミステリーとしての面白さは個人的にはあんまり感じられませんでした。
ただ、メインキャラクター2人が魅力的なので、その点で楽しめた部分も大きかったように思います。
ぜひぜひご鑑賞ください!!
今回も読んでくださった方ありがとうございました。