みなさんこんにちは。ナガと申します。
今回はですね、本日から公開の映画「未成年だけどコドモじゃない」についてお話していこうと思います。
本記事は作品のネタバレになるような内容を含む感想・解説記事となります。
作品を未鑑賞の方はお気をつけください。
良かったら最後までお付き合いください。
目次
「未成年だけどコドモじゃない」
あらすじ・概要
「今日、恋をはじめます」など数々のヒット作を生み出す漫画家・水波風南による同名コミックを、「Sexy Zone」の中島健人、「ReLIFE リライフ」でヒロインを演じた平祐奈、「Hey! Say! JUMP」の知念侑李の主演で実写映画化。
成績優秀でスポーツ万能な鶴木尚にひとめぼれした折山香琳。世間知らずのお嬢様である香琳が16歳の誕生日に両親からプレゼントされたのは、なんと片思いの尚との「結婚」だった。
大好きな尚との新婚生活に香琳は心ときめかせるが、尚は学校では見せなることのない冷たい表情で「顔で結婚決めるような女、大っ嫌いなんだ」と香琳に言い放つ。
そんな尚を振り向かせようと、家事や勉強に挑戦する香琳。そんな香琳に尚も少しずつ心を開いていく。
しかし、絶対秘密である2人の結婚が香琳に思いをよせる幼なじみの海老名五十鈴にばれてしまい……。尚
役を中島、香琳役を平、五十鈴役を知念がそれぞれ演じる。監督は「あさひなぐ」「ヒロイン失格」の英勉。
(映画com.より引用)
予告編
「未成年だけどコドモじゃない」感想・解説(ネタバレあり)
今回もコテコテの演出目白押しの英勉新喜劇!!
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
皆さん、英勉監督と聞くと何を思い浮かべますでしょうか?とりあえず名前が読みにくいのは確かですよね。
何と読むかご存知ですか?
これはなかなか初見で読める人はいないのではないでしょうか?
彼が監督した映画作品で、私が鑑賞したものをいくつか紹介しておきましょう。
最も酷いのはダントツで「高校デビュー」です。これはもうダントツです。キャストの演技が酷すぎるのもそうですが、あまりにもうすら寒い演出が続きすぎて凍え死にそうになる映画です。
2008年に公開されたドランクドラゴンの塚地が出演したことでも話題になった映画「ハンサムスーツ」は皆さん覚えていらっしゃいますか?
これが英勉監督の初監督作品のようですが、この作品の時点で既に、コメディ路線のコテコテ演出が目立っていましたね。ただ、この作品に関してはギリギリスベっていないラインだったと思います。
続いて2015年に公開された「ヒロイン失格」ですね。
これももう酷いにもほどがありました。全編にわたってコメディ描写が空回りしていて、見ていて心が死にました。特に心理描写の演出がもう映画の水準にはなくて、とても見ていられませんでした。
そして今年の作品になります映画「トリガール!」ですね。
これももう言うまでもなく残念な出来です。とにかくハイテンションコメディなのは良いのですが、完全にその熱さと露骨なギャグ描写・演出が化学反応を起こして、究極に寒い映画に仕上がっていました。
もう一つ今年の作品になります映画「あさひなぐ」ですね。
前述の作品の中では、一番良かったと思います。コテコテの演出はところどころに見られながらも、全体としてはしっかりと映像作品として仕上がっている印象でした。ただ、この作品に関しては、脚本が酷かったですね。
英勉監督の作品は個人的には苦手です。
やはり私は映像で語れる映画監督を高く評価する傾向にあるので、彼の演出やセリフでの説明、安易なコメディ描写で作品を誤魔化してしまうような手法が気に入りません。
登場人物の動きに安っぽいCGやスローモーションをつけてみたり、明らかに不必要な笑いを取るためだけの効果音を挿入していたり、説明を全てキャラクターのセリフでやらせてしまったりともう映画として個人的に受け入れられない要素のオンパレードなのです。
ただ映画「あさひなぐ」では、脚本が残念過ぎたものの演出面や説明描写等で若干改善しつつあるように感じられたんですね。そのため、本作「未成年だけどコドモじゃない」には期待している節がありました。そして鑑賞直後の感想はこんな感じです。
もうこれまでの英勉監督の全てを注ぎ込んだかのようなコテコテのお笑い描写の連続で、あまりの寒さに映画館で凍りつきそうになりました。吉本新喜劇っていわばコテコテの大阪のお笑いで、ある意味、様式美的ですよね。
だからこそ吉本新喜劇はあの場で、その様式美を楽しむものでもあります。
一方で、英勉監督は吉本新喜劇を究極まで劣化させた英勉新喜劇を自分の作品の中で、映画「未成年だけどコドモじゃない」の中でやって見せました。
執事の声がめっちゃいい声とか、香琳の友人にJ.K.ローリングやジャスティンビーバーがいるとか、サッカーボールが直撃した香琳の露骨なCG宙返りとか、項垂れる時の首がボキボキする効果音とか、もやし1100円とか・・・もう超王道のギャグを延々と見せ続けられる苦痛ですよ。
コテコテのお笑い様式美で笑いを取り続ける吉本新喜劇と、コテコテのお笑い様式美でスベリ散らしている英勉新喜劇の差は歴然でした。今年の冬一番の寒さだったように思います。
JK音声解説付き上映で鑑賞してきました。
初日だったこともあって、若い女性で劇場が賑わっておりました。自分の座席の近くにも女子高生らしき人たちが座っていました。
予告編の時からキャーキャーと騒いでいたのですが、まさかそのままのテンションが本編が始まっても続くなんて思ってもみませんでした。本編が始まってからも私語と絶叫のオンパレード。
本編開始から5分ほどはもうイライラが止まりませんでした。
しかし、若い女性で溢れスクリーン内、自分のようなゴリゴリの男には完全アウェイ。
こういうタイプの映画はむしろキャーキャー言いながら見る方が正常なのかと割り切り、何とかこの不運をチャンスに変えられないかと考えました。
私は、普段からこういう映画がなぜ若い女性たちに人気があるのか?こういったスイーツ系の映画に対して若い女性たちはどんな反応をしているのか?という点が気になっていましたので、そのキャーキャーと騒いでいる女子高生たちの反応をサンプルにさせていただくことにしました。
今回はそんな私の観察記録をランキング形式で紹介したいと思います。題して、「当ブログ管理人調べ映画『未成年だけどコドモじゃない』のかっこよすぎて思わず絶叫してしまうシーンTOP3」です!
第3位:中島健人のサッカーシーン
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
これは作品の超序盤のシーンで、尚と香琳が学校のサッカーグラウンドで出会うシーンですね。
女子高生たちも思わず絶叫し、「ヤヴァイヤヴァイヤヴァイヤヴァイかっこいいかっこいいかっこいいかっこいい」と連呼、いきなりのイケメン中島健人の登場に興奮を隠しきれなかったようですね。
サッカーが上手くてイケメンというまさに少女漫画のステレオタイプ的王子様です。羨ましいですよね。これくらいイケメンだったら、顔だけで女性にキャーキャー言われるんですね。
自分はと言いますと、球技がド下手な中の下でしたので、もう正反対にいるような人物ですね。
第2位:平祐奈を押し倒す中島健人
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
これは作品の中盤のシーンで、平祐奈演じる香琳の家に泊まることになった尚が香琳をベッドに押し倒して、驚かせようとするシーンですね。
このシーンはもう悲鳴に近い叫びをあげていましたね。
「キャー!キャー!キャー!キャー!もう・・・もう・・・すごい・・・かっこいい・・・抱かれてもいいよね・・・。」と供述しておりました。
まあ自分のような人間寄りのゴリラが押し倒したらただの事案ですけどね・・・。
第1位:部屋での2人の初めてのキスシーン
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
これは終盤のシーンですね。様々な障害を乗り越えた2人がようやくあの部屋で誓いのキスをするという何とも感動的なシーンですね。
このシーンでは、どうやら余りの興奮で悶えすぎて、ポップコーンBOXに激突して、危うくポップコーンをばら撒きそうになったようですね。隣からゴン、ガタガタといった物音が聞こえてきました。
おそらく平祐奈を排除して、自分が中島健人とキスをしているかのような疑似体験を味わっているのでしょう。なるほど、そういう楽しみ方もあるんですね。
いやはや今回、鑑賞マナーが悪いことは残念でしたが、おかげさまで若い世代の女性たちがこういった作品のどんなシーンに感動しているのか?という点がよく分かりました。
やはり王道の俺様タイプの王子様キャラクターには、女性たちは弱いようです。そしてやっぱりキスシーンが一番の盛り上がりだということもよく分かりました。今
後こういったスイーツ映画を鑑賞する際には、キスシーンには特に注目して見るようにしてみたいと思いましたね。一番盛り上がるシーンということは、作り手もいろいろと趣向を凝らしてくるはずですから。
とりあえず自分はイケメンにはなれないですし、今からサッカーが上手くなる見込みもないので、とりあえず王様タイプのゴリラ系ゴリラでも目指しますね。王様タイプは世の女性に大人気なようですので・・・。
男性目線で見ると一番カッコいいのはあの人!!
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
先ほど女性目線ではこういうシーンがキュンキュンするらしいというお話をしましたが、この章では、私が男性目線でこういうシーンにキュンキュンするというお話をしていこうと思います。
演じているのは俳優の村上新悟さんですね。いやはやファーストインプレッションはただの強面のおじさんというだけだったのですが、その第一声で完全にハートをつかまれました。
何と言いますか、もう地響きのようなスーパー低音ボイスでかつ、年季の入った渋さを孕みつつ、「いい声」に纏め上げた、耳ではなく心に響く素晴らしい声なんですよね。そんな声で、第一声が「お嬢様、朝でございます。」なもんですから、男の自分が思わずお嬢様だと錯覚させられてしまいました。
そして要所要所で登場しては、作品に華を添える名脇役っぷり。
常に香琳の幸せを思って行動する姿がとても素敵でしたね。
香琳が屋敷にいた時は、少し厳しくすることもありながら、彼女が出ていってしまうとある種の「親バカ」っぷりを発揮してしまうところもまたギャップ萌えというやつでしたね。
何よりラストシーンですよ。香琳と尚の5年後の結婚式のシーンで、鏑木は思わず大号泣してしまいます。あの男泣きに、当ブログ管理人、完全に惚れてしまいました。
執事の鏑木さんは、女性受けという点では、尚や五十鈴には劣るのかもしれませんが、男性が惚れる男性キャラクターNO.1だと思います。本当にかっこいいです。
境界線とそれを踏み越える動線が導き出す2人の誓い
今作においてすごく光るポイントだと感じたので、ここは絶対に語っておきたいと思っておりました。
それは境界線とそれを踏み越える動線の演出なんですね。
映画においてキャラクターの動線というものは、皆さんが思っているよりもずっと重要なものです。
キャラクターが映画の中の空間でどのように配置されて、どのように移動するのかという点に製作側は何らかの意図を孕ませている場合が少なくないのです。
今作「未成年だけどコドモじゃない」はほとんど間違いなく確信犯的にその動線の演出を施していました。
まず注目したいのは、香琳と尚の部屋を隔てていた襖の壁ですよね。これは本作の最重要モチーフです。
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
本作においては2人の間に在る様々な障害を乗り越えて、2人が一緒になる、夫婦として歩み始めるところが帰結になっています。
そのため、あの襖の壁、襖の境界線を越えることがそのまま、様々な障害を乗り越えることを含意しているわけです。
ただ本作には、他にもいくつか境界線が登場しています。例えば、川ですね。作品の中盤過ぎ辺りで川にかかっている橋を渡ろうとする香琳を五十鈴の使用人たちが連れていってしまうシーンがありますよね。
あのシーンでは、香琳の動線は橋の右から左でした。この動線を見て、2人の部屋の配置を考えてみると右にある香琳の部屋から、左にある尚の部屋への動線に繋がるんです。
まさにこのシーンの時点では、徐々に2人の仲が深まり、2人がちゃんと愛情で結ばれた夫婦へと変容していくことが予見されていたところでした。
しかし、その動線が橋の途中で途切れてしまい、香琳は五十鈴の下へと連れていかれてしまいました。つまりこの動線とその断絶は2人がまだ通じ合う段階ではないということを視覚的に提示していたわけです。
そして江ノ島にあった「誓いの鈴」のシーンですよね。
このシーンで、観客の多くが2人がようやく結ばれることを確信しましたが、実は境界線の演出を見てみると、そうはならないことが明示されています。
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
2人が鈴を鳴らすシーンでは、鈴から垂れる縄を挟んで2人が並び立つ構図になっていました。そのため鈴から垂れている縄が2人の境界線のように見えるんですね。
さらには、2人が鈴を鳴らすまさにその時、カメラが逆方向からのショットに切り替わって、2人の配置があの部屋の間取りと同じになります。尚が左、香琳が右です。つまり2人の間には、依然として境界線が存在していることが明確になっています。
その後、香琳との離婚を決断した尚が鏑木から受け取った絵本を自分の部屋で呼んでいるシーンですね。
実はこのシーンにも境界線が隠されています。
それは窓際に置かれた間接照明の支柱です。支柱の左側には絵本を読んでいる尚がいますが、その右側には誰もいません。これまで境界線の右側には、必ず香琳がいました。
それを鑑賞している我々も視覚的に焼き付けられてきたわけです。
そしてこのシーンでは境界線の右側に不自然な空白があります。そこに我々は落ち着かなさと失ったものの大きさを感じるんです。これはまさしく劇中で、尚が感じていた空白感と同じ類のものなんだと思います。
そして尚が2人の住んでいた家へと走るシーンです。尚が走っていく様はスクリーンの左から右方向で捉えられています。この動線は、2人の部屋の配置を考えた時に尚の部屋から香琳の部屋の方向を表しています。
(C)2017 「みせコド」製作委員会 (C)2012 水波風南/小学館 実写映画「未成年だけどコドモじゃない」予告編より引用
そうして2人はあの部屋で再会し、抱擁とキスを交わします。そして長らく2人を隔てていた襖の壁が開かれて、ようやく2人は夫婦として真の愛を誓い合うわけです。
この境界線と動線の演出は実に見事じゃないですか?視覚的なトリックを使って、上手く2人の距離感や思いの方向なんかを表現しているわけです。
おわりに
いかがだったでしょうか?
今回は映画「未成年だけどコドモじゃない」についてお話してきました。
動線と境界線の演出は本当に素晴らしかったと思います。
こんな高度な演出をサラッとやってのける監督ってそんなにいないと思います。
そしてギャグとコメディ描写がことごとくスベリ散らしてるのもまたしんどいんです。
しかし、「あさひなぐ」「未成年だけどコドモじゃない」と徐々に英勉監督作品にも適応してきたような感じがしますね。あの様式美に慣れつつあるのかもしれません。
あと、いくらキャストがイケメンだからって本編中にキャーキャー言うのはやめてくださいね。心の中に留めておいて、鑑賞後に思いっきり吐き出してください。
今回も読んでくださった方ありがとうございました。
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観に行っただけで凄いと思いました(笑)
@きーさんさん
返信が遅くなり申し訳ありません。
なかなか勇気が要りましたが、楽しかったです笑