原作ありの映画を見るときは、映画から見る派?それとも原作から読む派?

はじめに

みなさんこんにちは。ナガです。

久しぶりの雑談記事になります。今回のテーマは、タイトルの通りで「原作ありの映画を見るときは、映画から見る派?それとも原作から読む派?」です。

毎年たくさんの小説やマンガが映画化されますよね。これは日本の映画界も海外の映画界も同じです。多くの映画がオリジナルではなく、原作ありきで作られれています。

そうなってくると当然生じる迷いとして今回の議題がありますよね。原作を読んでから映画を見に行った方が楽しいのか?それとも映画を見てから原作を読む方が楽しめるのか?

今回はそれぞれのメリットやデメリットを鑑みながら、私個人の意見や見方も書いていけたらと思います。良かったら最後までお付き合いください。

原作ありの映画を原作から読む

 

まずは原作ありの映画を見る際に、先に原作を読んでから映画を見に行くという順番に関してのメリットやデメリットをお話してみようと思います。

私の考える原作→映画の順番で見る場合のメリット、デメリットは以下のようになっております。

  1. 映画的な演出を細かく分析できる
  2. 改変ポイントを探すのが楽しい
  3. 新鮮な気持ちで見られなくなる
  4. 粗探し大会が始まってしまう

まず、映画的な演出を細かく分析できるということに関してですが、これは原作を知った上で映画を見るからこそできる視点ですよね。確かに映画を見た後で、原作を読んでという順番でも出来なくはないんですが、映画って2時間でかなりの情報量を訴えかけてくるので、細かい部分まで記憶に留めるというのは非常に難しいんですよね。

だからこそ原作ありの映画を監督を初めとするスタッフ陣がどのように映画的に味付けしたのか?という視点で楽しみたいのであれば、原作を読んでから映画を見に行く方が圧倒的に望ましいと思います。

特に小説原作の映画に関してですが、小説と映画って特性が全く異なるものなんですね。小説は活字メディアですので、心情や情景もきちんと文字にしなければ読み手に伝えることが出来ません。一方で映画はそれを明確にせずとも、映像で見る人に受け取らせることが出来ます。この違いをきちんと踏まえた上で映画が作られているのか?という視点は非常に大切だと思います。邦画の場合は特にその辺りがダメで、ビジュアルノベルの様な冗長さが拭えない作品が多いです。

原作という言い方は不味いかもしれませんが、是枝監督の『万引き家族』のノベライズ版を見てから、映画版を見に行くと、彼の映画監督としての圧倒的な手腕に驚かされます。もうとんでもない映画的演出力に富んでいます。ぜひぜひ比較してみてください。

次に改変ポイントを探すのが楽しいという点に関してですが、これも原作を読み込んでから映画を見に行った際の楽しみの1つです。ここが変えられているという気づきが映画を見ている間にたくさんあるんですよね。そこから、じゃあ監督を初めとするスタッフ陣はなぜこのように原作から改変したんだろうと考える楽しみが生まれます。

個人的に面白いと思うのは、叙述トリックがある小説原作をどうやって映画化するのかという部分なんです。というのも先ほど小説と映画のメディアの特性の違いを少しお話しましたが、叙述トリックはその小説の特性に依拠する部分が非常に大きいんです。だからこそ実写化する際に再現できるケースがほとんどありません。

こういう状況に直面した時に、では映画はどういうアプローチを取るのか?という興味が湧いてきませんか?今年の作品だとそれが面白かったのが『去年の冬、君と別れ』という作品でした。この作品の原作には映画では再現不可能な叙述トリックが含まれています。だからこそ映画版では、原作とは全く異なる手法でトリックを成立させているんです。

参考:【ネタバレ】『去年の冬、きみと別れ』は叙述トリックを大胆な発想で映画化した意欲作!

映画を見ている時にこういう違いに気がつくと、おもわずニヤニヤが止まらなくなるんですよね。「そうきたか!!!」という驚きと感動があります。これはまさに原作を読んでから映画を見た人だけが体感できる楽しみですね。

次にデメリットですが、新鮮な気持ちで見られなくなるというものは当然挙げられると思います。原作とは異なる展開で進行する映画版ももちろんありますよ。例えばMCUのようなアメコミヒーロー映画は確かに原作こそ存在しますが、映画版では全く違う展開が用意されています。

ただ大半の原作ものの映画は、原作のストーリーを踏襲しますので、原作を読んでから見に行くと、映画を見る際にストーリー自体へのワクワク感や緊張感が感じられなくなってしまうという弊害は当然出てくることと思います。

最後に粗探し大会が始まってしまう</sp an>という点ですね。これはマンガ原作の映画版の時に原作ファンがよくやっていますよね。原作を読んで、それをある種のスタンダードのように自分の中に据えて、映画を見に行くからこそ、原作主体で映画を見てしまい、映画をフラットな目で見れないということは当然人間の心理として起こりうるものです。

原作が至上のものと思えてしまって、些細な改変にも目くじらを立てて、批判的に見てしまうようになると、結果的に映画を見る楽しみが軽減してしまう恐れがあります。

原作ありの映画を映画から見る

次に、原作ありの映画を見る際に、先に映画を見てから原作を読むという順番に関してのメリットやデメリットをお話してみようと思います。

私の考える映画→原作の順番で見る場合のメリット、デメリットは以下のようになっております。

  1. 純粋に映画を楽しめる
  2. 余計な先入観がなくフラットな視点で見れる
  3. 脚本とストーリーの境界が見えない
  4. 比較しようにも記憶が薄れていく

まず、純粋に映画を楽しめるということに関してですが、これはやはり原作を読まずに映画を見た場合の大きなメリットですよね。原作を知らないわけですからストーリーやキャラクターに関してもほとんど前情報がない状態で見ることになるわけです。

だからこそ映画を見るときに、どうやって物語が展開していくのか?どんな結末を迎えるのかといった緊張感や高揚感をより強く味わうことが出来ます。

そしてそれに関連して2つ目の余計な先入観がなくフラットな視点で見れるということが当然挙げられます。先ほど原作を先に読んでしまうと、それを基軸にして映画を「粗探し」のようなスタンスで見てしまうという弊害をお話しましたが、そういう余計な先入観を排除できるんですよね。

比較対象がないからこそ、より純粋に映画というものを(原作から)独立した1つの作品として見ることが出来ます。これは非常に大切な視点です。

最近見た映画なんかですと、映画『ちはやふる』シリーズを映画→原作の順番で鑑賞したのは、個人的に正解でしたね。この作品は公開前から原作ファンが原作のイメージと違うと批判の嵐が起こっていましたが、私は映画を見るまで原作を読んでいなかったんで、余計な雑音や先入観なく映画を楽しむことが出来ました。

参考:【ネタバレ】『ちはやふる結び』は最高の青春映画だ!!

さてここからは個人的に考えるデメリットの部分をお話しますが、まずは、脚本とストーリーの境界が見えないという点が挙がるかなと思います。

映画を見た時に、ストーリーが良いと脚本が良いを割と混同してしまうケースがあると思います。というのも原作ありの作品の場合、たいてい「脚本」だと思っているものは原作の踏襲です。映画の脚本という視点で見ようとすると、原作のストーリーを知った上で、それを如何にして2時間の作品に落とし込んだかという視点がないとできないんです。

ストーリーが良いのは、原作のストーリーが良いからなんですよ。だからこそ映画の脚本としてどこがどう素晴らしいのかを評価しようとすれば、当然原作を軸にして、どう再構成したかを見なければなりません。ストーリーと脚本の境界が曖昧になってしまうので、評価がぶれるという点は、原作より先に映画を見た場合に起こり得る問題点です。

そしてもう1つは、比較しようにも記憶が薄れていくという点ですね。映画は2時間で一気に情報を訴えかけてくるので、全てを記憶しようにも見終わった瞬間から記憶が薄れていきます。特に細かい部分となるとなおさらです。

しかし、その後で原作を読もうとすると原作が小説の場合は当然読むのに時間がかかります。纏まった時間が取れなければ1週間ほどかけて1冊を読破するということにもなり得ます。そうすると映画と原作の細かいディテールの比較がどんどんとしづらくなっていくんですね。

おわりに

もちろん原作を読んで、映画は見に行かないというケースもあると思いますし、映画だけを見て原作は読まないというケースもあるとは思います。

ただ仮に映画と原作、どちらも鑑賞するとしてみなさんはどちらから派ですか?原作を先に読みますか?それとも映画を先に見に行きますか?

当然この問いかけに正解はありません。ちなみに当ブログ管理人はいつも記事を読んでくださっている方は分かるとは思いますが、原作を読んでから映画を見に行く派です。全作品がそうと言うわけではないですが、その傾向が強いということですね。

1つ言えることがあるとすれば、順番は前後するにせよ、原作と映画どちらも鑑賞した方が楽しみは倍増するということですね。ですので、映画を見て良いなぁと思ったら、ぜひ原作も読んでみて欲しいです。逆に気になる映画の原作を読んでみるというのもアリだと思いますね。

そして最後に原作と映画を比較していつも非常に面白い記事を書いてくださっている映画ブロガーさんがいらっしゃいますので、勝手ながら紹介させてください。リンク集にも掲載させていただいているのですが雁丸さんと言う方です。

参考:雁丸の原作代読映画レビュー

当ブログよりも数段素晴らしい文章を書いている方のブログです。ぜひぜひ1度読んでみてください。原作と映画を比較する楽しみが見えてくると思います。

今回も読んでくださった方ありがとうございました。




2件のコメント

原作が先か?映画が先か?
確かに悩ましい所です。
まっさらの状態、つまり、事前に情報を入れずに観る映画が、一番だと自分は思っています。
しかしながら、原作の面白さを如何に映像化するかを楽しむのも捨てがたい。
あくまでも、映画は別物と割りきった方が、良いのかもしれませんね。

@ランデブーさん
コメントありがとうございます!
> まっさらの状態、つまり、事前に情報を入れずに観る映画が、一番だと自分は思っています< これも1つ大切な見方ですよね。自分は「脚本」にフォーカスしたいので、どうしても原作を読んでから…となってしまいます:(;゙゚'ω゚'):

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